ものづくり補助金平成26年度製造業石川県

病院・高齢者施設向け介護食、嚥下食、栄養調整食の製造および販売

株式会社大和

この事例のポイント

  • 温めて食べたいという顧客要望が多いが、既存のムース食は温めると商品特性であるやわらかさや冷凍耐性が損なわれやすい。
  • 加えるゲル化剤と増粘剤の種類と配合を検討した。
  • 温めても素材本来の味を損なわず、温かく食べられるムース食の開発を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大和
所在地石川県 小松市
業種食料品製造業
従業員数268人
資本金1,000万円
設立1984年

事業の背景

株式会社大和は石川県小松市でシニア向けチルド惣菜を製造し、高齢者向けの食事や栄養調整食(医療食)を全国にチルドで届けている。メニューは2,000種以上あり、客先は高齢者施設、病院、OEM先、全国の生活協同組合である。ムース食は主に病院や高齢者施設で利用されており、当社のムース食は惣菜そのものをミキサーで処理してゲル化剤等で固める方式で、準備が簡便で一口で惣菜を楽しめる利点がある。一方で温めて食べたいという顧客要望が多くあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術温めて食べたいという顧客要望が多いが、既存のムース食は温めると商品特性であるやわらかさや冷凍耐性が損なわれやすい。
  • 品質・精度ムース食の充填を手での計量で行うと品質が劣化する。
  • 品質・精度嚥下食に求められるやわらかさ、トロミ(離水がないこと)、口内への付着しにくさのバランスを客観的に評価する手段がなく、試食による食感の判定に頼っていた。

やったこと

加えるゲル化剤と増粘剤の種類と配合を検討した。文献情報や石川県工業試験場、メーカー研究室の協力のもと数種類を試作し、両剤ともそれぞれ特定銘柄が最適であることを確認した。ゲル化剤と増粘剤の濃度を変えて実験を繰り返し、食感が良く40℃までの温めに対しても形を保てる基本配合率を決定した。基本配合率をレシピに当てはめ、レシピ113アイテムのうち106アイテムの試作に成功した。レオメーターでの測定方法は「かたさと付着性と凝集性」を採用し、試作品から5品を選び10検体を測定した。カップの形状・量、ミキシング、充填方法、シーリングなど商品仕様も大幅な工程変更を含めて改善した。導入した設備は卓上モデルシステムデポジター(充填機)、スチームコンベクションオーブン(加熱成型機)、ブラストチラー(加熱成型後の冷却)、カッティングミキサーロボクープ(大型ミキシングツール)、レオメーター(物性値測定)、間欠式半自動シーラー機(業務用ムース用シール機)である。

加工機卓上モデルシステムデポジター
加工機スチームコンベクションオーブン
加工機ブラストチラー
加工機カッティングミキサーロボクープ
検査測定レオメーター
加工機間欠式半自動シーラー機

新しい製品・サービス:温めても素材本来の味を損なわないムース食

事業の効果

温めても素材本来の味を損なわず、温かく食べられるムース食の開発を実現した。ゲル化剤と増粘剤の選定と配合により、40℃までの温めでも形を保つ配合を見つけた。レオメーターによる測定結果は試食評価とおおむね一致し、人の感覚を数値化する方法として有用で、従来の試食のみの判定をより客観的に評価できるようになった。既存ユーザーからは新商品が歓迎されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の介護食・嚥下食事業の延長として温かいムース食を開発しており、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢者向け施設・病院への供給実績や2,000種以上のメニュー数は示されるが、外部環境分析や競争優位の根拠は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    顧客要望の「温めて食べたい」という課題を明示し、温かいムース食の開発と新商品リリースで解決している点が具体的に読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    当初計画の200アイテム目標や売上微増の現状は書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数268人や取引先は記載されるが、補助事業を遂行する担当体制や事務処理体制の記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    温められるムース食という製品特性と、既存ユーザーの歓迎の声、高齢者施設・病院という顧客ターゲットが具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作113アイテム中106成功などの進捗と今後の200アイテム目標は示されるが、中長期のスケジュールや課題解決の方法は詳細に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ムース食を温めて食べられる形に改良した点が、一般的な素材のムースとの差別化として具体的に示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    高齢者の食事を支える介護食の供給という社会的役割はうかがえるが、国が補助する積極的理由や波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    導入機械は列挙されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、売上は微増とだけ書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    物性値の見える化や測定手法の開発はうかがえるが、先端デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    石川県小松市の地元契約農家からの野菜仕入れや県工業試験場との連携は読み取れるが、地域経済成長への牽引効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ムース食事業はユーザーから好評を得ており、今後の展望は明るい。新製品のリリースを継続しており、現在製造するラインナップは約100アイテムである。売上は微増で推移しているため、さらなる成長に向けて当初計画の200アイテムを目指し試作開発を継続する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。