ものづくり補助金平成26年度製造業山梨県

立体造形(3Dプリンタ)用フィラメント材料製造装置の開発

株式会社 立沢化成

この事例のポイント

  • 既存のルーダー(押出機)は射出成形用ペレットを作る機械で、線径の精度が求められる3Dプリンタ用フィラメントの製造には使えなかった。
  • 3Dプリンタ用の線材を、直径φ1.75mm±0.025という高精度かつ高生産性で仕上げられる装置の開発に取り組んだ。
  • 補助事業により、3Dプリンタ用フィラメントを製造する専用の押出成形装置を開発し、ABS材の生産に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 立沢化成
所在地山梨県 笛吹市
業種プラスチック製品製造業
技術分野機械制御,材料製造プロセス,測定計測,複合・新機能材料,立体造形
従業員数70人
資本金3,000万円
設立1948年

事業の背景

主力はメディアケースなどのプラスチック製品で、特にスリムケースは国内生産の大半を同社が担っているとされる。プラスチック成形加工をコア事業とし、開発段階から参画する提案型の受注と、金型の設計・製作までの社内一貫生産を強みにしている。取引メーカーから3Dプリンタ用フィラメントを製作できないかとの相談があったことが、今回の取り組みのきっかけになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存のルーダー(押出機)は射出成形用ペレットを作る機械で、線径の精度が求められる3Dプリンタ用フィラメントの製造には使えなかった。
  • 品質・精度フィラメントの線径のばらつきは造形物の仕上がりに致命的な影響を与えるが、送り出し量や添加剤、コンパウンドの程度など多くの要素の条件が分からず、安定したABS材の生産に多くの実験が必要だった。

やったこと

3Dプリンタ用の線材を、直径φ1.75mm±0.025という高精度かつ高生産性で仕上げられる装置の開発に取り組んだ。社内で行ってきたルーダー加工の技術を基に、ストランド1本出しの専用機として特注線材押出成形装置を設計・製作した。ギヤの回転数や送り出しスピード、添加剤、コンパウンドの程度などを調整しながら試作を繰り返した。あわせて、この線材を大手樹脂メーカーへ受託納入するとともに、新素材に対応した生産技術の開発を行った。

加工機特注線材押出成形装置

新しい製品・サービス:3Dプリンタ用フィラメント(ABS材)

事業の効果

補助事業により、3Dプリンタ用フィラメントを製造する専用の押出成形装置を開発し、ABS材の生産に成功した。ただし、気温や湿度、発生ガスなどの影響でばらつきが生じることがあり、まだ完成とは言えない段階にある。今後は多くの要素の絶対バランスを数値化し、安定して生産できるようにすることが目指されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    コア事業はプラスチック成形加工で、社内のルーダー加工技術を基に3Dプリンタ用フィラメント装置を開発したとあるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    既存機は線径精度の要求に応えられず、金型設計製作を社内一貫で行える体制を強みとして挙げているが、市場動向の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決2

    線径のばらつきを課題として認識しているが、事業計画としての高付加価値化や成長の数値・道筋は読み取れない。

事業の実現可能性36%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    社内の成形技術や試行錯誤の経験はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引メーカーからの相談を起点とし、ABSの外観部品適性やPLAの特徴に触れているが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    ABSの安定生産に向けた実験の継続は示されるが、中長期のスケジュールや課題解決の方法は明示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    3Dプリンタのフィラメント製造で、線径±0.025mmの高精度を目指す点は読み取れるが、市場の認知度や高価格化の具体的数字はない。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    特許切れで安価な3Dプリンタが普及している点に触れるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述は読み取れない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材に対応した生産技術の開発に触れるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献の具体性は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    3Dプリンタ用フィラメントという成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する根拠の記述は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    山梨県笛吹市に立地する企業だが、地域特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製造の絶対バランスを数値化し、フィラメントを安定して生産できるようにすること。

事業者の声

まだ不安定な部分もある。理論上頭の中では完全に出来上がっているんだけどね。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。