ものづくり補助金平成26年度製造業岐阜県

超低温(清酒の凍結直前温度)貯蔵による風味劣化の極めて少ない清酒の製造

株式会社小坂酒造場

成果超低温貯蔵庫には一升瓶3920本分を貯蔵することが可能

この事例のポイント

  • 搾りたての清酒の風味を損なわずに消費者へ届けたいが、従来の加熱処理殺菌は香り成分を蒸発させ、味をダレさせてしまう。
  • 超低温貯蔵設備を導入し、清酒の凍結直前温度(マイナス・清酒のアルコール度数÷2とされる温度帯)で貯蔵できる製造環境を整えた。
  • 超低温貯蔵庫には一升瓶3920本分を貯蔵することが可能。加熱処理を避けたことで、清酒の発酵や雑味、火落ち菌、老ね香の発生などの劣化を抑えられ、搾りたての芳香と天然の炭酸ガスを…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社小坂酒造場
所在地岐阜県 美濃市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数11人
資本金3,000万円
設立1951年

事業の背景

株式会社小坂酒造場は天保期以前から続く日本酒の蔵元で、清酒「百春」や「さんやほう」が知られる。清酒「百春」は全国新酒鑑評会で金賞を受賞している。国税庁の指針では清酒は2度の加熱処理殺菌が必要とされており、火落ち菌などを防ぐためとされている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度搾りたての清酒の風味を損なわずに消費者へ届けたいが、従来の加熱処理殺菌は香り成分を蒸発させ、味をダレさせてしまう。
  • 生産能力生酒を常温や低温で保管すると瓶内で二次発酵が進み、雑味や生老ね香が生じるため、熟成を止めて出荷まで管理する必要がある。

やったこと

超低温貯蔵設備を導入し、清酒の凍結直前温度(マイナス・清酒のアルコール度数÷2とされる温度帯)で貯蔵できる製造環境を整えた。圧搾後の清酒は加熱処理せず、酸素に触れる機会を減らすためタンクに貯蔵せず直接瓶詰めした。超低温貯蔵庫は一升瓶3920本分を貯蔵でき、温度管理はマイナス20度の冷蔵まで可能である。1カ月間の超低温貯蔵酒と常温保存酒について分析検査と官能検査を実施して比較した。

加工機超低温貯蔵設備(超低温貯蔵庫)

新しい製品・サービス:風味劣化の極めて少ない超低温貯蔵による「百春純米無ろ過生原酒」(720ml)

事業の効果

  • 超低温貯蔵庫には一升瓶3920本分を貯蔵することが可能

加熱処理を避けたことで、清酒の発酵や雑味、火落ち菌、老ね香の発生などの劣化を抑えられ、搾りたての芳香と天然の炭酸ガスを残した新鮮で清涼感のある清酒を年間を通じて消費者に届けられるようになった。超低温貯蔵酒は常温保存酒に比べて品質の劣化がほぼ認められなかった。冬季に醸造した生原酒を超低温貯蔵し、造りのシーズン以外も生のフレッシュさを残した日本酒を販売できている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    清酒「百春」の製造という既存事業の延長で、生原酒を超低温貯蔵する取組として位置付けられている。経営戦略上の明確な位置付けは記述が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「百春」など知名度のある銘柄や名水の仕込水が強みとして挙げられるが、市場動向との関係や競争優位の説明は限定的である。

  • 課題の認識と解決3

    加熱処理による香りや味の劣化という課題が示され、超低温貯蔵で解決する方針だが、売上や付加価値の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    従業員11人の小規模蔵元であることがうかがえるが、補助事業を遂行する体制や人材の具体的な記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    加熱なしの生原酒を超低温貯蔵し、新鮮で清涼感のある味わいを提供する点と、造りのシーズン外も販売できる点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    1カ月間の超低温貯蔵酒と常温保存酒を分析・官能検査で比較し製品化に至った経緯が示されるが、中長期のスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    加熱処理を行わない生原酒の超低温貯蔵という手法で、一般的な清酒とは異なる新鮮な風味の製品を開発した点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    清酒の需要拡大や日本の食文化の評価につながると期待が述べられ、観光や地域文化との関連も触れられている。

  • 費用対効果2

    超低温貯蔵庫の導入効果が示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    超低温貯蔵の技術開発は示されるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述はほぼない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    美濃市の「うだつの上がる町」や本美濃紙の産地という地域特性を挙げ、酒蔵ツーリズムや外国人観光客の誘致につなげる方針が書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新しいブランドを確立し、日本の食文化の可能性を追求していきたい。外国人観光客にもアプローチをかけ、販売につなげていきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。