ものづくり補助金平成26年度製造業静岡県

鋳造プロセスの革新による、高機能無欠陥鋳物の安定供給体制の構築

有限会社平野鋳造所

この事例のポイント

  • 鋳物づくりが職人の経験やカンに頼っており、技術が職人の頭の中にとどまって蓄積されにくかった。
  • 不良が発生した際には原因の仮説を立て、鋳型の中で起こっている事象をイメージしながら、その仮説を実際の製造現場で検証する取り組みを繰り返してきた。
  • 鋳造欠陥の事前予測により鋳造方案を設計できる体制が整い、高機能無欠陥鋳物の安定供給を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社平野鋳造所
所在地静岡県 掛川市
業種鉄鋼業
技術分野材料製造プロセス,情報処理,測定計測,複合・新機能材料
資本金500万円
設立1950年

事業の背景

当社は1950年に繊維機械や製茶機械などの開発事業所として創業し、1957年には火炉の鋳造部品を自社製造するため鋳造部を新設した。1997年に有限会社化し、2012年には掛川市遊家に新工場を建設した。鋳鉄品は組織のあり方によって剛性が大きく変わるため、不良原因を物理的・工学的に解明しながら高品質な素形材づくりを行ってきた。鋳物業界では職人の資質や経験則に頼る傾向が強く、工学的理論に基づかない場合もあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鋳物づくりが職人の経験やカンに頼っており、技術が職人の頭の中にとどまって蓄積されにくかった。
  • 品質・精度製品の形状や大きさによっては鋳物を作ってみて不良になるなど、製品のバラツキや不良率が高く、安定した製品の製作に多大な時間を要していた。

やったこと

不良が発生した際には原因の仮説を立て、鋳型の中で起こっている事象をイメージしながら、その仮説を実際の製造現場で検証する取り組みを繰り返してきた。本事業では最新の鋳造シミュレーションシステムを導入し、鋳造欠陥を製造前に三次元化して動画や静止画で可視化し、その解析結果から鋳造方案の設計プロセスを構築できるようにした。あわせて発光分光分析装置を導入し、溶けた鉄に含まれる微量元素を高精度で安定して分析できるようにした。これにより溶解・調合・分析の精度を高め、鋳鉄製品の品質安定化を図った。

ソフト鋳造シミュレーションシステム
検査測定発光分光分析装置

事業の効果

鋳造欠陥の事前予測により鋳造方案を設計できる体制が整い、高機能無欠陥鋳物の安定供給を実現した。発光分光分析装置により微量元素の分析精度が向上し、鋳鉄製品の品質安定化が進んだ。これまで外部委託していた鋳造シミュレーションを内製化でき、品質要求の高い製品に対する安定供給体制を構築できた。その結果、鉄道車両向け高効率モーター素材の製造で既に数社の新型鉄道車両に採用されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1950年創業から鋳造部新設、工学的な不良原因追究の蓄積など過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    鉄道車両向け高効率モーター素材に全社注力し、鉄道関連市場へのシェア拡大を目指すとあるが、強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工頼みや不良率の高さという課題を挙げ、鋳造シミュレーションで不良を事前予測し高機能無欠陥鋳物の安定供給につなげる流れが具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の目標値や数値は示されておらず、新型鉄道車輛で採用が始まったとあるのみで、目標の実現可能性は読み取りにくい。

  • 事業を進める体制3

    社長と専務が大学工学部で専門教育を受け数十年現場に携わったとあり、人材面の体制はうかがえるが、事務処理能力などは書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鉄道車両向け高効率モーター素材という製品と、重要保安部品として高い品質と安全性が求められる顧客ニーズは読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    鋳造方案の設計から木型製作段階で不具合を排除する手法や、現場検証を繰り返す進め方は書かれているが、スケジュールは不明。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    鉄道車両向けモーターフレーム用の高機能無欠陥鋳物という分野の特徴は読み取れるが、普及度や市場での高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    鉄道関連市場へのシェア拡大や新型鉄道車輛での採用はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    外部委託していた鋳造シミュレーションの内製化や分析精度の向上は書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    鋳造シミュレーションや発光分光分析装置というデジタル技術の活用は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    掛川市遊家の新工場での事業とあるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

鉄道関連市場へのシェア拡大を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。