ものづくり補助金平成24年度高知県

黒鉛球状化用Hi-Mgコアードワイヤーの開発

東洋電化工業株式会社

この事例のポイント

  • 置き注ぎ法ではマグネシウムの反応で煙が発生し、密閉できないため煙が大気に拡散してしまう。
  • Mg合金の製造技術とコアードワイヤーの製造技術を基に事業を行った。
  • Mg25〜30%のHi-Mg合金を安全に粉砕・分級し、Hi-Mgコアードワイヤーの製品化を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名東洋電化工業株式会社
所在地高知県 高知市
業種鉄鋼業
技術分野鋳造
従業員数237人
資本金3億円
設立1919年

事業の背景

当社のコア事業は特殊アロイ(合金)事業で、粒状Mg合金製品は既に製造販売している。従来の鋳鉄では、取り鍋に塊状品を投入して反応させる置き注ぎ法が大半で、煙の拡散を避けられない。コアードワイヤー法は環境改善と材料の効率的利用に利点があり、今後ダクタイル鋳鉄市場で主流になると考えられている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他置き注ぎ法ではマグネシウムの反応で煙が発生し、密閉できないため煙が大気に拡散してしまう。
  • 新製品・新技術Mg含有量の高いHi-Mg合金を安全に粉砕する設備がなく、コアードワイヤー化できなかった。
  • コスト・採算コアードワイヤー法はユーザーにとって置き注ぎ法よりコスト高になりがちだった。

やったこと

Mg合金の製造技術とコアードワイヤーの製造技術を基に事業を行った。Hi-Mg合金・製品の粉塵爆発危険性試験を実施した結果、装置内の酸素濃度を4.2%以下に保つ必要があることが分かった。これに基づき高気密性を有する破砕設備を設計・製作し、ジャイレトリー破砕機、酸素ガス検知器、原料供給装置の3設備を一つの破砕ユニットとして導入した。破砕機は密閉して窒素封入し酸素濃度を下げた中で粉砕する。完全密閉型の破砕設備でHi-Mg合金のコアードワイヤー試作品を製造し、1450度の鋳鉄溶湯で黒鉛球状化処理を行い、狙いのMg歩留まりなどの性能が得られることを確認した。

新しい製品・サービス:Hi-Mgコアードワイヤー(Mg25〜30%のHi-Mg合金を薄鉄で被覆したもの)

事業の効果

Mg25〜30%のHi-Mg合金を安全に粉砕・分級し、Hi-Mgコアードワイヤーの製品化を実現した。Hi-Mgとすることで反応性が向上し、ユーザー側のコスト低減と環境負荷低減を可能にした。皮膜する薄鉄の厚みやワイヤー直径をユーザーニーズに応じて調整できる製品が完成した。品質面と販路拡大の面でも効果が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性既存の粒状Mg合金を製造販売している点と、コア事業が特殊アロイ事業である点が書かれ、過去の取組との一貫性は読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決置き注ぎ法の煙拡散や反応の激しさという課題を挙げ、コアードワイヤー法で解決し品質・コスト優位を図る流れが具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けユーザーのコスト高や環境負荷に対し反応性向上で応えると書かれ、顧客ニーズへの対応と選ばれる理由が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値化や賃上げの目標値は示されておらず、目処がたったという定性的記述にとどまる。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    既存の粒状Mg合金を製造販売している点と、コア事業が特殊アロイ事業である点が書かれ、過去の取組との一貫性は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    既存の技術と販路を活かしてシェア獲得を目指すとあるが、競合比較や市場規模の数字は示されておらず具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    置き注ぎ法の煙拡散や反応の激しさという課題を挙げ、コアードワイヤー法で解決し品質・コスト優位を図る流れが具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されておらず、目処がたったという定性的記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    Mg合金製造とワイヤー製造の技術を持つことや爆発危険性試験を実施した点から体制はうかがえるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ユーザーのコスト高や環境負荷に対し反応性向上で応えると書かれ、顧客ニーズへの対応と選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    爆発危険性試験で酸素濃度4.2%以下と特定し、完全密閉型破砕設備を設計製作した経緯が具体的で、課題解決の方法が明確。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    置き注ぎ法が大半の鋳鉄市場で、コアードワイヤーは今後普及する主流になるとし、高水準の付加価値化を図る点が書かれている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    環境負荷低減や作業安全性の向上はうかがえるが、雇用創出や波及効果の記述はほぼない。

  • 費用対効果2

    歩留まり向上や原料の効率的利用が挙げられているが、投入額に対する効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動充填や定量供給などの改善はあるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献の記述は薄い。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    環境改善を進める方向性は示されるが、日本経済の構造転換に資するという記述は限定的。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

Hi-Mgコアードワイヤーの製品、生産技術、設備の開発を継続し、溶解・破砕・ワイヤー成型の各工程で合理的な設備投資を続ける。既存ユーザーへの供給と改良を進めるとともに、コアードワイヤー化していないユーザーへの拡販と新規市場の開拓を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。