ものづくり補助金平成26年度製造業滋賀県

微小な燃料電池部品に適した精密溶接・短納期加工を可能とする技術と生産体制の確立

株式会社大島商会

成果スポット径 2mm→0.6mm

この事例のポイント

  • 取引先から依頼された燃料電池の基幹部品の試作には、スポット径1mm以下の微細溶接が必要だったが、現有のTIG溶接では実現できなかった。
  • 取引先からの試作依頼に応えるため、TIG溶接の代わりとなる溶接方法と溶接機を調査した。
  • スポット径 2mm→0.6mm。微小素材への精密溶接加工技術を確立し、顧客要望の品質の試作品を納期どおりに完成させた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大島商会
所在地滋賀県 湖南市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数73人
資本金1,000万円
設立1985年

事業の背景

当社の業績は現在順調だが、経営の安定化のためにさらなる付加価値の増大と収益拡大を目指していた。主な業務は金属加工の受託生産で、主な得意先は約14社、ほかに業務請負を兼業している。多品種小ロット生産(月6300品種)を行い、リードタイム5日の短納期対応を特徴としていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術取引先から依頼された燃料電池の基幹部品の試作には、スポット径1mm以下の微細溶接が必要だったが、現有のTIG溶接では実現できなかった。
  • 生産能力微細溶接ができないため、これまで失注していた案件があった。
  • コスト・採算経営の安定化のため、付加価値の増大と収益の拡大が必要だった。

やったこと

取引先からの試作依頼に応えるため、TIG溶接の代わりとなる溶接方法と溶接機を調査した。設備や製品の小型化・コンパクト化という当社方針に合うレーザー溶接機を選び、社内と機器メーカーで機能・性能を検討して最適な仕様を設計した。その結果、図1のファイバーレーザー溶接機を導入した。スポット径は現状のTIG溶接の2~3mmから0.6mmまで絞ることができ、その後も工夫を重ねて現在は0.6mm加工の体制を構築できている。

加工機ファイバーレーザー溶接機

新しい製品・サービス:燃料電池の基幹部品(微小部品)の精密溶接加工

事業の効果

  • スポット径 2mm→0.6mm
  • リードタイム 5日→3日

微小素材への精密溶接加工技術を確立し、顧客要望の品質の試作品を納期どおりに完成させた。TIG溶接ではできなかった案件の受注を確保し、既存のビジネスでもレーザー溶接への変更により作業の合理化に貢献した。従業員の習熟度向上に伴う作業の効率化により、リードタイムを5日から3日に短縮し、短納期対応にも応えられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    主事業の金属加工受託を強めるため新技術に取り組むと述べられているが、過去の取組との連続性や戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    TIG溶接では0.6mm・2~3mmに対し0.6mmまで絞れたこと、リードタイム5日から3日への短縮が数字で示され、自社技術の強みが読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    TIG溶接の技術課題を調査して解決し、年間1,000万円程度の売上増見込みとともに、失注案件の獲得が述べられている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間1,000万円程度の売上増、リードタイム5日から3日への短縮、設備投資の5年回収見込みなど、数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制3

    新設備を使えるのは現在2名で倍増を予定とあり体制の一端は読めるが、事務処理能力や補助事業の遂行体制全体は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客要望の試作や微小部品の精密溶接という価値・ターゲットは読めるが、ニーズの裏付けや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の受注増に伴う増設や燃料電池部品への貢献が触れられているが、遂行スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    燃料電池の基幹部品の微細溶接で、0.6mmの精密加工を実現し高利益率商品と述べられており、高水準の付加価値化がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    燃料電池の普及が予測され、次世代部品の試作にも貢献するとあるが、経済波及や雇用創出などの国が補助する理由は具体的に示されていない。

  • 費用対効果3

    売上増年1,000万円、設備投資5年回収、リードタイム短縮など費用対効果をうかがえる数字はあるが、補助金額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザー溶接機による精密加工の高度化はあるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献としては記述が少ない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    燃料電池自動車やコージェネレーションの普及という成長分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及は具体的ではない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在新設備を使えるのは2名だが、これを倍増して技術力を高めていく。受注量の増加に伴い新設備の増設が必要になると予測している。水素燃料電池自動車やコージェネレーションシステムの普及により燃料電池が使われる生活システムが広がると見込み、次世代の燃料電池部品の試作にも貢献できると考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。