ものづくり補助金平成26年度製造業京都府

市場要求が強い両面/真空昇華転写プリント加工システムの確立

株式会社向陵

成果加工単価 1倍→2.5倍

この事例のポイント

  • アパレルメーカー等から、生地の風合いを損ねず深い色表現を可能にする安定したプリントと短納期の両立が求められ、従来にないハイレベルなプリント品質の実現が必要になった。
  • 独自設計のトレイ回転式プリント加工機として、両面同時真空昇華転写機(プリント幅1,050mm×1,850mm)を特注で導入した。
  • 加工単価 1倍→2.5倍。両面同時転写と真空転写を備えた新しい加工システムにより、従来は困難だった生地の風合いを損なわず発色も豊かなプリントが可…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社向陵
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
技術分野機械制御
従業員数14人
資本金2億円
設立2000年

事業の背景

初代社長が印刷法を応用した捺染の特許を取り、昭和2年に京都市中京区で創業した。昭和56年に連続転写機を導入して転写捺染事業を始め、現在はポリエステル生地への昇華転写プリント加工を専業とする国内唯一の会社である。国内の昇華転写プリント企業は専業の同社を含めて4社がほぼ寡占しているが、中国・韓国・台湾・ベトナム・タイなどアジア勢の追随が厳しくなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度アパレルメーカー等から、生地の風合いを損ねず深い色表現を可能にする安定したプリントと短納期の両立が求められ、従来にないハイレベルなプリント品質の実現が必要になった。
  • 生産能力パンスト・ストッキング等の袋状商品は両面を別々に熱プレスする必要があり、従来は2度に分けて加工していたため、生産効率と納期に課題があった。

やったこと

独自設計のトレイ回転式プリント加工機として、両面同時真空昇華転写機(プリント幅1,050mm×1,850mm)を特注で導入した。導入にあたり、京都市産業技術研究所の知見と、転写プレス機のトップメーカーである直本工業株式会社の技術生産力を活かし、事業者3社による共同研究開発を行った。両面同時転写機能により、袋状商品に片側ずつ異なるデザインを加工でき、一度の熱プレスで両面を仕上げられるため、色の薄化や生地硬化を防ぎ納期を短縮できるようになった。真空転写機能により、低温での染着が可能となり、従来は昇華転写が困難だった毛布・フロアマットや極細繊維など毛足の長いポリエステル生地、ちりめん・クレープなど表面凹凸の大きい生地にも高品質な染色ができるようになった。

加工機両面同時真空転写機(プリント幅1,050mm×1,850mm)

新しい製品・サービス:両面/真空昇華転写プリント加工システム(独自設計のトレイ回転式プリント加工機による)

事業の効果

  • 加工単価 1倍→2.5倍
  • 本事業の導入により、会社全体の売上を最高時約30%向上させることができた。

両面同時転写と真空転写を備えた新しい加工システムにより、従来は困難だった生地の風合いを損なわず発色も豊かなプリントが可能になった。他社と比べて単位時間の生産効率は2倍のプリントシステムが確立できた。国内で業界初の両面/真空昇華転写を同時に行えるようになり、新たな販路・市場を開拓し、業界内での知名度と評価も大きく高まった。加工単価の向上と売上増により、会社全体の売上を最高時約30%押し上げた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和2年創業の転写捺染から昇華転写専業化への流れと、連続転写機導入(昭和56年)の経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内で昇華転写専業は4社ほどの寡占状態と記され、業界内での差別化と市場競争力の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    顧客からの安定プリントと短納期の両立要求を課題として挙げ、両面同時・真空転写機で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    加工単価が通常の2.5倍以上、会社全体売上が最高時約30%向上と数値で示されているが、目標値の設定時期や計画上の数値は明示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員14人の専業会社で、共同研究や京都市産業技術研究所との協業が書かれるが、補助事業を遂行する人材体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は大口アパレルメーカー等で、高品質・短納期の要求に応える点や、低温染着・毛足の長い生地への対応など選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後はフリースへの真空機能活用に注力すると書かれるが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    両面同時・真空昇華転写を備えた業界初の多機能プリント加工システムで、同分野で高水準の高付加価値化と2.5倍の加工単価が示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    業界内の寡占状態やアジア勢との競争に触れるが、雇用創出や川上川下への波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果4

    設備投資に対し、加工単価2.5倍、売上約30%向上、生産効率2倍と費用対効果を示す数字が書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    真空転写やデジタル技術の活用は書かれるが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ファッション性の高いフリースへの加工など新分野への進出が示唆されるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    京都の老舗繊維企業として地域の技術力を活かす様子はうかがえるが、地域経済の成長を牽引する記述は限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

真空機能を活かしたファッション性の高いフリースへの加工に現在特に注力している。アジア勢の追随を許さず、厳しい内外環境の中で新たな活路を見出し、業界と地域のモデルとなれるよう顧客ニーズに応え続ける方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。