ものづくり補助金平成27年度製造業群馬県

高精度捺染台による浸透染め技術の確立

株式会社松原新

成果機械染めでは最高で7色までだったが、蒸気式鉄板捺染テーブルでは何色でも染色が可能になった。

この事例のポイント

  • 伝統的な手捺染作業では染料を生地の裏側まで十分に浸透させることが難しく、伝統的な染色技法を再現できなかった。
  • 数少ない捺染台メーカーに製作を依頼し、蒸気式鉄板捺染テーブルを導入した。
  • 機械染めでは最高で7色までだったが、蒸気式鉄板捺染テーブルでは何色でも染色が可能になった。蒸気式鉄板捺染テーブルの導入により、生地の厚さや染料粘度に応じた最適な浸透染めが実現し、伝統的な手法の再現が可能になっ…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社松原新
所在地群馬県 伊勢崎市
業種繊維工業
技術分野デザイン
従業員数14人
資本金3,000万円
設立1956年

事業の背景

伝統的な手捺染から機械捺染、天然染料から化学染料へと技術革新が進み、伝統的な染色方法を行う工場が少なくなった。高齢化や後継者不足で廃業や事業規模縮小の工場も増えている。一方で消費者ニーズは個性的な商品を好む方向に変化し、昔ながらの手法で作られた商品へのニーズが高まりつつある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力伝統的な手捺染作業では染料を生地の裏側まで十分に浸透させることが難しく、伝統的な染色技法を再現できなかった。
  • 人手・技能高齢化や後継者不足により、伝統的な染色方法を行う工場が減り、廃業や事業規模の縮小が進んでいた。
  • コスト・採算機械染めは低価格の大量生産品が中心で常にコストダウンが求められ、高価格帯製品への移行が課題だった。

やったこと

数少ない捺染台メーカーに製作を依頼し、蒸気式鉄板捺染テーブルを導入した。設備の試運転と使用講習を経て、浸透染めとして製品化可能な染色方法を模索した。地張り剤は非水溶性と溶剤系の2種類を比較し、何度も張れて接着強度が強く生地の伸縮も抑えられる溶剤系を選択した。生地の厚さに応じて染料粘度と染色回数を変えて浸透具合を比較し、乾燥方法として蒸気熱と自然乾燥も比較した。

加工機蒸気式鉄板捺染テーブル
その他地張り剤(溶剤系)

新しい製品・サービス:浸透染めの技法で製作した製品(祭礼用はっぴ、丸紡や厚手の半纏、火消し柄の刺子バッグ、色柄祭り帯など)

事業の効果

  • 機械染めでは最高で7色までだったが、蒸気式鉄板捺染テーブルでは何色でも染色が可能になった。
  • 天笠(薄い生地・低い染料粘度)は2回(1往復)、タッサー(薄い生地)は3回で浸透染めを実現した。

蒸気式鉄板捺染テーブルの導入により、生地の厚さや染料粘度に応じた最適な浸透染めが実現し、伝統的な手法の再現が可能になった。多色染めや何色でも染色できる小ロット生産も可能になり、機械捺染で時間を要した型枠交換が不要となって作業時間が短縮された。高価格帯の製品を提供でき、大量生産部門では仕入れ先との交渉による価格競争力の向上も見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    伝統的な手捺染から機械染め・化学染料への技術革新を踏まえ、浸透染め技法の復活を事業として位置付けている。ただし過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    伝統的染色を求める消費者ニーズの高まりを外部環境として挙げ、高価格帯への移行を狙う。自社の経営資源の強み・弱みの記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    高齢化・後継者不足や機械染めの限界を課題として認識し、高価格帯化で売上増を図る計画だが、数値目標は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    設備の試運転・講習や熟練技術者の活用、人材育成に触れているが、体制の具体的な人数や役割は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットは祭礼用衣装のこだわりユーザーや小ロット需要と明確で、浸透染め製品の価格・在庫リスクの優位性も示されている。

  • 事業化までの道筋4

    染料粘度や染色回数、乾燥方法を試作で検証し、4つのポイントごとに手順と結果を整理している。今後の問屋カタログ採用も計画に含む。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    機械捺染で最高7色までだった制約を、蒸気式鉄板捺染テーブルで多色染めに広げ、伝統的な浸透染めを高価格帯で提供する点を示す。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    伝統的染色の廃業・縮小が進む業界で技術を将来に伝える意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    設備投資額や付加価値増加額は示されておらず、費用対効果は定量的に読み取れない。小ロット化で作業時間が短縮した点のみ触れている。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    伝統技術の見直しという消費者ニーズの変化に触れるが、構造転換や成長分野への進出としての位置付けは明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    伊勢崎市の繊維工業として祭礼用衣装など地域の伝統的製品を扱うが、地域経済への波及効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

こだわりユーザーや嗜好性の強いユーザー、小ロットで自分らしさを追求するユーザーをターゲットに、高価格帯での依頼拡大を見込む。2年に1度発行される問屋筋のカタログへの新規採用を目指す。人材育成と熟練技術者の活用にも今後力を注ぐ。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。