ものづくり補助金平成26年度製造業京都府

UV印刷の輪転機応用による画期的コスト削減事業

有限会社アドバンク

成果用紙の重さ 20kg→16kg

この事例のポイント

  • 印刷原価の約3割を占める紙代を削減するため薄い紙への変更が有効だが、従来の油性インキによる輪転機印刷では20kg(厚さ0.04mm)が限界だった。
  • 環境配慮と省エネの観点から、長寿命・省電力・ハイパワーで熱やオゾンを発生させないLED-UVランプを選定し、試作ユニットを開発した。
  • 用紙の重さ 20kg→16kg。16kgの用紙への切り替えにより用紙コストを20%削減できる見込みとなった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社アドバンク
所在地京都府 京都市
業種印刷・同関連業
技術分野製造環境
従業員数24人
資本金3,000万円
設立1999年

事業の背景

当社は新聞折込チラシに特化した企画・制作・印刷を行い、近畿圏内の食品スーパーを主要取引先としている。印刷業界では紙価やエネルギー価格が上昇する一方で販売単価への転嫁が進まず、コスト削減が喫緊の課題となっている。経済産業省の商業統計によると食品スーパーの事業者数は2000年以降頭打ちで、売り場面積は拡大を続けて大手の大型化と中小規模の淘汰が進んでいる。環境意識の高い大手スーパーとの取引拡大には環境対策が不可欠だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算印刷原価の約3割を占める紙代を削減するため薄い紙への変更が有効だが、従来の油性インキによる輪転機印刷では20kg(厚さ0.04mm)が限界だった。
  • 品質・精度それより薄い用紙に印刷すると高温加熱乾燥が原因で「ひじわ」が発生し、印刷スピードや乾燥温度を下げると解消できるものの、輪転機で印刷する意味がなくなる。
  • 新製品・新技術UV印刷は薄紙に対応できるが、旧来のUVランプは水銀灯式で高エネルギーかつ環境負荷が大きく、高速の輪転機では硬化できず実用化できていなかった。

やったこと

環境配慮と省エネの観点から、長寿命・省電力・ハイパワーで熱やオゾンを発生させないLED-UVランプを選定し、試作ユニットを開発した。紫外線の照射出力は従来の13Wから17Wに高め、オフ輪の最大毎分600回転から速度を落とさずに薄紙を瞬時に硬化できるようにした。サカタインクスや東京インキと共同で高感度のオフ輪用UVインキをゼロから開発し、毎分600回転以上の高速でテスト印刷を繰り返して配合を決めた。米国AMS社やその子会社のAJC株式会社と協力して輪転機への応用を実証し、厚さ0.03mmの16kg用紙への印刷と印刷速度30,000rpm/hの維持を実現した。

加工機LED-UVランプユニット

新しい製品・サービス:LED-UVランプと新規開発のUVインキを用いた、環境配慮型の輪転機によるUV印刷体制

事業の効果

  • 用紙の重さ 20kg→16kg
  • 対応用紙の厚さ 0.04mm→0.03mm

16kgの用紙への切り替えにより用紙コストを20%削減できる見込みとなった。印刷速度は30,000rpm/hを維持しながら、ひじわの発生を解消できた。乾燥工程のガス使用をゼロにし、油性印刷に比べて印刷機の省電力化にも成功した。UV印刷はVOCが発生せず環境に優しいため、環境配慮型の印刷体制を整えられた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として環境配慮(無現像処理機、VOC抑制、認証取得)が挙げられ、LED-UV導入はその延長として読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    紙代が印刷原価の約3割、20kgから16kgへ用紙コスト20%削減、油性のガス代600万円/年など、外部環境と自社課題が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ひじわ発生という課題を特定し、LED-UVで解決して16kg用紙対応と印刷速度30,000rpm/hの維持を実現する流れが具体的。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    用紙コスト20%削減、印刷速度30,000rpm/h維持、ガス使用ゼロなど数値目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    代表が実施責任者で、AMS社・AJC社と連携しベテラン社員中心の体制と書かれているが、人員数や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    薄紙対応や環境配慮という価値は示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的。

  • 事業化までの道筋2

    試作開発と実証機による段階的な進め方はうかがえるが、中長期のスケジュールや課題解決の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    輪転機へのUV印刷適用は国内初・業界初と明記され、従来は不可能とされた高速印刷での新規性が具体的に書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    印刷業界全体や同業他社へのモデル事業となる可能性、輸送コスト削減などの波及効果がうかがえるが定量性は薄い。

  • 費用対効果4

    紙代削減20%、ガス代600万円/年の削減など、投入額に対する効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    LED-UVによる環境配慮や業界のモデル化は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    環境配慮型の印刷体制への転換は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    京都市南区の地域企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

AJC株式会社によると米国では輪転機応用の実績があり、国内での実証によりUVユニットの日本展開に目途が立った。紙コストやガス代、輸送コストの削減などの効果が期待でき、同業他社にとってもモデル事業になったと考えている。

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効果:製造ロット 32.5kg→65kg

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。