ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

細胞のライブ輸送を実現

株式会社 サンプラテック

この事例のポイント

  • 従来はiPS細胞を凍結して輸送しており、細胞への影響があった。
  • iPS細胞を生きたまま凍結せずに運ぶライブ輸送用の培養容器デバイスを開発した。
  • 凍結せずにiPS細胞をライブ輸送できるようになり、細胞への影響とコスト・手間の問題が解消に向かった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 サンプラテック
所在地大阪府 大阪市北区
業種業務用機械器具製造業
技術分野バイオ
従業員数50人
資本金2,000万円
設立1960年

事業の背景

昭和35年に加藤光正氏が大阪市東区で創業し、理化学向けプラスチック製器具を一貫して製造している。主力製品は計量器、デシケーター、試薬瓶、保存容器で、約10,000アイテムを取り扱う。取引先は理化学器具商社、医療器具商社、学校教材商社などである。国内の再生医療関連市場は平成42年(2030年)に950億円、平成62年(2050年)に1.3兆円と試算され、その中で容器類などの消耗品が4割を占める。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来はiPS細胞を凍結して輸送しており、細胞への影響があった。
  • コスト・採算凍結して輸送する方法では、コストと手間がかかっていた。
  • 新製品・新技術当時は凍結による細胞輸送が常識で、ライブ輸送に対応した製品の開発が必要だった。

やったこと

iPS細胞を生きたまま凍結せずに運ぶライブ輸送用の培養容器デバイスを開発した。開放系の培養容器にそのまま被せられる専用カバーを作り、培養液を溢さずに輸送できるようにした。カバーの中央部を超薄肉成形してガス透過性を持たせ、炭酸ガス発生剤と組み合わせて容器内を細胞に適した二酸化炭素と酸素の濃度に保った。将来の再生医療での採用を見据え、人体に影響のない医療用途にも使われるシリコーンを素材に選んだ。開発したデバイスは平成28年に販売を開始し、米国の再生医療関連国際学会で大阪大学提供のヒトiPS細胞由来心筋細胞を日本から輸送して展示した。

新しい製品・サービス:ライブ輸送専用カバー、ライブ輸送専用フラスコ、蓄熱材と断熱BOXを組み合わせた輸送容器(「iPTEC」シリーズ)

事業の効果

凍結せずにiPS細胞をライブ輸送できるようになり、細胞への影響とコスト・手間の問題が解消に向かった。培養液量を削減できる専用フラスコや蓄熱材と断熱BOXの開発にもつながった。米国の学会での展示では世界各国の研究者から多くの関心を得た。一次から三次までの容器を一括で提供できることが、同社の強みとして評価されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のプラスチック器具製造の延長で再生医療向けに展開したとあり、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    IPS細胞の再生医療需要や専用カバー・断熱BOX開発、一次から三次容器まで一括提供できる強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    凍結輸送のコストと手間という課題認識と、ライブ輸送製品による売上拡大の方向は読み取れるが、事業計画の数値や実行手順は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    ライブ輸送関連機器の売上を現在の売上高25億円と同額程度に成長させるという目標が示されている。

  • 事業を進める体制3

    企画・設計・開発を自社で行い成形は協力工場に委託する体制が書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    IPS細胞の採用増とライブ輸送ニーズ、国内市場規模の試算、受注先として製薬会社や研究機関を挙げ、顧客ターゲットが明確。

  • 事業化までの道筋3

    海外展開元年としてシリコンバレーにオフィス設置や学会出展の計画は示されるが、課題解決の詳細な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    再生医療向けライブ輸送容器の市場が2030年に950億円と試算され、従来の凍結輸送からの転換を図る点で新市場性が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    再生医療関連市場の拡大や海外展開による需要創出は書かれているが、国が補助する積極的理由としての波及効果は明示されていない。

  • 費用対効果2

    培養液削減や凍結コスト削減の効果はうかがえるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ライブ輸送という新たな細胞輸送の仕組みを実証データとともに構築する点で、再生医療分野のイノベーションへの貢献がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    再生医療という成長分野への進出が書かれており、構造転換への寄与はうかがえるが、政策との関連は明確でない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大学の研究者や研究機関、iPS細胞を扱う製薬会社へのアプローチを行う。再生医療関係の学会に出展して製品の認知度を高める。平成29年を海外展開元年と位置づけ、シリコンバレーにオフィスを設置して海外の学会でも受注獲得を目指す。ライブ輸送関連機器の売上を、現在の売上高25億円と同額程度に成長させることを目指す。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。