ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

薄型レールの製作にハイブリット型レーザー溶接技術を確立

スリーナイン金属工業 株式会社

この事例のポイント

  • スポット溶接では加工後に直径5〜6mm程度の溶接跡や歪みが生じ、ガラス扉やベアリング部材などでは滑らかな走行に支障が出る場合があった。
  • レール溝を製作する工程で、曲げ加工した板と別の板をスポット溶接で接合していたが、その溶接方法をファイバーレーザー式に切り替えた。
  • 溶接の熱の影響範囲が局所に抑えられ、従来は点状で目立っていた溶接跡が小さな点の変色にとどまり、へこみも解消された。

事業者のプロフィール

事業者名スリーナイン金属工業 株式会社
所在地大阪府 大阪市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数17人
資本金3,000万円
設立1958年

事業の背景

親会社のスリーナイン島野の製造部門として昭和33年に設立された。市場規模の大きい建築関連に製品を広げず、小規模でも高品質で付加価値の高い内装用レールの分野に特化してきた。主力製品は硝子レール・袴・錠前で、弁当業や病院の受付小窓、店舗のショーケース、ゲームセンターの遊技機のガラス窓などの展示・陳列用レール袴の分野で採用を広げている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度スポット溶接では加工後に直径5〜6mm程度の溶接跡や歪みが生じ、ガラス扉やベアリング部材などでは滑らかな走行に支障が出る場合があった。
  • コスト・採算溶接後の加工には仕上げ作業が必要で、その作業を外部に発注しなければならなかった。

やったこと

レール溝を製作する工程で、曲げ加工した板と別の板をスポット溶接で接合していたが、その溶接方法をファイバーレーザー式に切り替えた。入熱の低いレーザー溶接と入熱の高いプラズマアーク溶接を組み合わせたハイブリット型溶接装置を検討し、(株)ウェルケンが開発した「ハイブリット・ファイバーレーザ溶接機」を導入した。主に0.6〜0.8mm厚のステンレス材料を対象に、ハイブリット型レーザー溶接技術の確立による凹凸のない薄型レールなどの開発に取り組んだ。熟練工の職人技やノウハウを実験と蓄積データの解析で数値化し、レーザー溶接の工程に運用した。

加工機ハイブリット・ファイバーレーザ溶接機

新しい製品・サービス:ハイブリット型レーザー溶接技術の確立による凹凸のない薄型レールなどの開発

事業の効果

溶接の熱の影響範囲が局所に抑えられ、従来は点状で目立っていた溶接跡が小さな点の変色にとどまり、へこみも解消された。滑らかなレール走行面が実現し、溶接後の仕上げ加工が容易になって内製化が可能になった。これにより運送経費を含む外部発注コストが削減され、3日以上かかっていた納期が即日にまで短縮されて顧客サービスの向上と他社との差別化につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    親会社の製造部門として内装用レール分野に特化してきた経緯と、特許・品種の多さは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内屈指の品種・特許件数と、内装用レール業界で製作標準とされる品質という自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    溶接跡の直径5―6㎜や仕上げを外注していた課題が示され、レーザー溶接で内製化し納期が3日以上から即日になったと具体的に述べられている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、納期短縮や内製化の効果が述べられるにとどまる。

  • 事業を進める体制3

    熟練工のノウハウを数値化し経験の浅い従業員も同等の作業ができるようになったとあるが、体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ショーケース袴など採用先の分野と、即日納期による顧客サービス向上という選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    創注部門の設置やBtoCに近い製品拡販、提案営業への展開など方向性は示されるが、スケジュールや課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    一般的な建築材料とは異なる薄型の内装用レールに特化し、0.6―0.8㎜厚のステンレスを扱う高付加価値分野とされている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    建築関連やショーケースなど業界への波及はうかがえるが、国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー溶接とプラズマアーク溶接を組み合わせたハイブリット型技術で、サプライチェーンへの貢献がうかがえるが具体性は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    大阪市の企業であることはわかるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済への言及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

社内に「創注部門」を創設し、受注活動を“注文を創る”営業形態へ変革する。“BtoB”中心の販売から“BtoC”に近い製品の拡販を進め、単体レールからショーケース、さらに店舗什器へと販売領域を広げる。納入先の仲介業者や関連業界を巻き込み、自社製品を提供する一段高い提案営業を目指す。

事業者の声

経験の浅い従業員であっても熟練工同様の作業が可能となり、各種製品の品質を均一化することができた

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。