ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

印刷トラブルの削減と短納期化で競争力を強化

富士精版印刷 株式会社

成果検版作業時間 60分→1分

この事例のポイント

  • 検版作業を複数の作業者が長時間かけて行っており、人手と時間がかかっていた。
  • 同社は情報処理に関わるものづくり技術を活用し、デジタル検版システムを導入した。
  • 検版作業時間 60分→1分。デジタル検版システムの導入により、検査品質のムラがなくなり、常に高精度な検査ができる品質管理体制が構築された。

事業者のプロフィール

事業者名富士精版印刷 株式会社
所在地大阪府 大阪市淀川区
業種印刷・同関連業
技術分野情報処理
従業員数150人

事業の背景

同社は総合印刷会社として企画、デザインから製本まで印刷の一連の作業を受注しており、商業印刷が主力である。顧客には表記間違いが許されない医薬関連会社や、掲載商品を美しく見せたい通販会社、メーカーなどが多い。同業他社が顧客となるケースもあり、高品質・高精細印刷と企画提案、品質保証を方針としている。一方で印刷業界は縮小傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能検版作業を複数の作業者が長時間かけて行っており、人手と時間がかかっていた。
  • 品質・精度人の目によるアナログ検版は作業者の熟練度や疲労度によって検査品質にムラが出ていた。
  • 納期・工程検査の速度と品質が両立せず、納期を急ぐ要求に追われて作業を焦ったことで見逃し事故が起きていた。

やったこと

同社は情報処理に関わるものづくり技術を活用し、デジタル検版システムを導入した。ソフトウェアは専属担当者を置いて複雑な操作に習熟させる必要があるものは選定対象外とし、事前に各種処理パターンを自動化した。複数の作業者が容易に操作できるようにカスタマイズできるものを選んだ。前工程の制作現場における変更データの検査と、後工程の刷り出し印刷物の検査も含めて、複合的な品質管理フローを再構築した。

ソフトデジタル検版システム

事業の効果

  • 検版作業時間 60分→1分

デジタル検版システムの導入により、検査品質のムラがなくなり、常に高精度な検査ができる品質管理体制が構築された。システムがチェックしたものをWチェックする作業者には熟練度が求められなくなった。目視の見落としによる印刷ミスの損紙が減り、印刷工程の省資源化と省エネ化も進んだ。検版作業の高速化により、繁忙期に外注していた仕事も内製化できる体制が整い、今期は見落としによる印刷事故も発生していない。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組との連続性は書かれず、高品質・高精細印刷や生産プロセス刷新を方針として掲げている点にとどまる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    医薬・通販などの顧客動向と縮小傾向の業界を踏まえ、受注を1.2〜1.5倍に高める想定が書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    検版作業は1人30分、ダブルチェックで1時間かかっていた課題を示し、1分以内に短縮できた点を具体的に挙げている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    受注を1.2〜1.5倍にする目標はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    専属担当者を置いて習熟させる体制や、検版作業を内製化できる体制を整えたことが書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医薬・通販など顧客の表記精度や見せ方へのニーズを挙げ、検査精度の高さを選ばれる理由として示している。

  • 事業化までの道筋3

    検版作業の自動化や品質管理フローの再構築が書かれているが、スケジュールや中長期の検証は記載がない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金の数字のみで、財務状況の確保や金融機関からの資金調達については書かれていない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    同業他社との差別化や高品質・高精細印刷を掲げているが、分野の普及度や高価格化の裏付けは書かれていない。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    省資源化や省エネ化が推進されると書かれているが、雇用創出や川上川下への波及効果は記載がない。

  • 費用対効果4

    損紙削減や作業時間30分から1分以内への短縮など具体的な効果は示されるが、費用対効果の金額比較はない。

  • イノベーションへの貢献4

    デジタル検版システムの導入で検査工程を刷新した点は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は記載がない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    縮小傾向の印刷業界で受注拡大を想定する記述はあるが、成長分野への進出や構造転換の記載はない。

  • 地域経済への波及2

    所在地が大阪市とあるのみで、地域の特性を活かした付加価値や雇用の創出については書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

検版作業者の数を減らせることを確認しており、削減した人的資源は別の仕事に活用することを検討している。今後は費用効果を上積みし、トラブル削減と省力化で効率を高めながら新規顧客開拓にも力を注ぐ。受注を1.2倍から1.5倍に高めることを想定している。

事業者の声

技術と信頼をベースにお客様、協力会社、地域から必要とされる会社になり、社員と共に会社の繁栄を創っていきます。そのためには、お客様とともに経営環境の変化に対応し、さらに変革と挑戦を行います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。