ものづくり補助金平成25年度製造業宮崎県

最新オンデマンド印刷機で自費出版・電子書籍の小ロット市場を創出し、需要を拡大する。

株式会社宮崎南印刷

この事例のポイント

  • 少量印刷でも紙質に対応した高品質を満たすには専用のオンデマンド印刷機が必要だが、製品の幅を広げる差別化機能がないため導入が進まなかった。
  • 最新オンデマンド印刷機の機器構成を検討して設置し、専用コントローラーに各在庫紙のサイズ等の情報を登録した。
  • オンデマンド印刷は少量でも紙質・紙厚を問わず高品質に製品化できる設備と体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社宮崎南印刷
所在地宮崎県 宮崎市
業種印刷・同関連業
技術分野情報処理,製造環境

事業の背景

当社は印刷・製本から企画制作・編集・出版までを請け負う総合印刷会社で、創業50年を迎えた。25年前にカラー多色印刷機を導入し、地域の情報発信基地として「月刊パームス」を創刊した。近年は家庭用プリンターやオフィス用複合機など少量カラー対応機器が普及し、内容の改訂が多い印刷物はオンデマンド印刷で製造するのが一般的になった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力少量印刷でも紙質に対応した高品質を満たすには専用のオンデマンド印刷機が必要だが、製品の幅を広げる差別化機能がないため導入が進まなかった。
  • 人手・技能オンデマンド印刷機の生産・運用には人員の確保とそれに見合う売上が必要だが、既存の内製化では十分に対応できなかった。
  • 販路・情報発信需要を拡大するため、既存の企業・団体の得意先に加えて新たな顧客層を開拓する必要があった。

やったこと

最新オンデマンド印刷機の機器構成を検討して設置し、専用コントローラーに各在庫紙のサイズ等の情報を登録した。紙質ごとに見本に合わせて色を調整し、基準値を設定して色が違わないようにした。毎日1枚出力して日々の調整を行い、他との色ズレを定期的に比較・照合して専用測定器で調整する体制を規定した。導入機で、サイズ・紙質・紙厚を組み合わせた運用検証を行い、折り・綴じ・パンチ穴開けなどの後加工機能と封筒・長尺紙の生産性と品質を検証した。チケットなどの特定印刷物では既存機器の集約と新規導入により、工程・時間・納期の短縮と生産性、コストダウンの効果を測定した。

  • 加工機最新オンデマンド印刷機
  • その他オンデマンド印刷機の専用コントローラー

新しい製品・サービス:個人向け自費出版「黒潮文庫」と電子書籍を連携させた小ロット印刷物

事業の効果

オンデマンド印刷は少量でも紙質・紙厚を問わず高品質に製品化できる設備と体制が整った。環境・安全に配慮した機械により、納期・生産性は50%向上した。製造コストの低下も確認できた。自費出版「黒潮文庫」と電子書籍、オンデマンド印刷を連携させて市場を創出し、新たな個人向けの取引につなげた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業50年で25年前にカラー多色印刷機を導入し、月刊パームス創刊や2012年の電子書籍ポータル開設など、過去の取組とつながる計画になっている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    家庭用プリンターやオンデマンド印刷の普及という市場動向を踏まえ、封筒・長尺紙に対応できる差別化機能を強みとして示している。

  • 課題の認識と解決4

    既存内製化では対応しきれないという課題を認識し、顧客拡大と市場創出で需要を増やす具体的な方策を示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    納期・生産性の50%向上や製造コスト低下が確認されたと記載があるが、今後の目標値としての設定や付加価値額の数値目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    生産・運用には人員確保が必要と述べ、社内募集や運用検証を行ったとあるが、補助事業を遂行する体制の具体的な内容は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    個人向け自費出版「黒潮文庫」を対象に、小冊子や詩集の製造検証や絵画プレゼント企画など、顧客ターゲットとニーズの裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    高付加価値のオリジナルカレンダーへの挑戦や全国組織の設立が示されるが、遂行方法やスケジュールの記載は限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    小ロット高品質印刷による新たな市場創出を掲げているが、ジャンルの普及度や認知度に関する具体的な記述は乏しい。

公的補助の必要性80%
  • 波及効果・雇用4

    県内の電子書籍ポータルが4年で全国の半数近くに開設され、全国組織の設立へ広がるなど、地域外への波及効果が具体的に示されている。

  • 費用対効果4

    ものづくりの面で納期・生産性の50%向上や製造コストの低下を確認したと、数値を伴う効果が記載されている。

  • イノベーションへの貢献4

    電子書籍やSNS拡散、デジタルサイネージなど多様なデジタル媒体を組み合わせ、新たな連携による事業モデルを構築している。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    紙媒体から電子媒体への展開や電子書籍市場の拡大に触れ、構造転換の方向性はうかがえるが、経済全体への言及は薄い。

  • 地域経済への波及4

    宮崎県の電子書籍ポータルや地元若者への呼びかけなど、地域特性を活かした取組と地域経済への波及が記載されている。

今後の展望

オンデマンド印刷は生産・品質・納期に応えられる環境ができたため、今後は写真付きオリジナルカレンダーなどの高付加価値商品に挑戦したい。紙媒体やWEB制作、動画作成などとの協業も広げていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。