ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

電熱ヒーター技術と提案力の進化で独自の地位を築く

株式会社 加島

この事例のポイント

  • 樹脂成形の現場では、外観不良を起こすウエルドラインの発生を防ぐために金型を急速に加熱する必要があった。
  • 上限温度まで急速に加熱できるカートリッジヒーターの製作に取り組み、顧客の要求に応じて改良を重ねながら段階的にワット密度を引き上げた。
  • 新カートリッジヒーターを要望する顧客からの受注が拡大した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 加島
所在地大阪府 大阪市都島区
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工,測定計測
従業員数26人
資本金1,000万円
設立1955年

事業の背景

昭和30年の創業時は商社として、ヒーターに使うニクロム線など電熱素材を販売していた。その後、顧客の依頼に応じて線を巻きつける加工やヒーターの製作・開発も手がけるようになり、現在は売上の30〜40%を自社製品が占めている。中でも樹脂成形用金型の加熱などに使われるカートリッジヒーターが主力で、主な取引先は大手家電メーカー、大手自動車メーカー、半導体メーカーなどである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度樹脂成形の現場では、外観不良を起こすウエルドラインの発生を防ぐために金型を急速に加熱する必要があった。
  • コスト・採算従来の加熱に使う蒸気はボイラーの設置が必要で手間がかかり、蒸気による腐食も問題だった。
  • 生産能力顧客から目的の温度に達するまでの時間短縮が求められていたが、それに応えられていなかった。

やったこと

上限温度まで急速に加熱できるカートリッジヒーターの製作に取り組み、顧客の要求に応じて改良を重ねながら段階的にワット密度を引き上げた。目標としていた同60Wを達成した。ヒーターの直径を5.9~10mmの幅に加工できる新しいスエージングマシンを導入し、従来機に比べて小径にしやすくなったことで加工精度が上がった。工程内で絶縁効果を高めるノウハウも生かし、ヒーターの内部密度や熱伝導効率の向上に成功した。遠赤外線サーモグラフィーを導入して金型の熱分布を解析するソフトとともに性能を確立し、新カートリッジヒーター製造向けの専用機とすることで段取り替えが不要になり、工程の内製化も進んだ。

加工機スエージングマシン(新カートリッジヒーター製造向け専用機)
検査測定遠赤外線サーモグラフィー
ソフト金型の熱分布を解析するソフト

新しい製品・サービス:新カートリッジヒーター

事業の効果

新カートリッジヒーターを要望する顧客からの受注が拡大した。新たに増設したスエージングマシンにより人員も増強され、生産能力が高まり、これまで対応しきれていなかった新規の大口案件の引き合いにも応えられるようになった。解析ソフトによって金型の熱分布や経時的変化を把握でき、顧客への技術支援やヒーターの設計にも役立っている。生産効率化とリードタイムの短縮にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ヒーター製造を売上の30―40%の自社製品に育て、一品ずつ作り込む特徴が読み取れる。ただし過去取組との連続性の説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    顧客の要望に応じて一品ずつ作り込み、提案力に長けるという強みは読み取れる。市場動向との関係は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    蒸気加熱の手間と腐食という課題を電気加熱で解決し、工程短縮・コスト削減につなげた点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    ワット密度を1㎠あたり10W以下の一般品から同60Wへ段階的に引き上げ、目標を達成したと書かれている。賃上げ目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    従業員26名で設備や解析ソフトの導入体制が示されるが、人材や事務処理能力の具体的な確保策は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ウエルドライン防止という顧客ニーズ、温度到達時間短縮の要望、一品ずつ作る提供形態が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    半導体や電池分野への展開を見込むと書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ワット密度60Wを達成し、一般的な10W以下の水準を大きく超える高性能ヒーターを提供している点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    半導体や電池など市場拡大分野への展開がうかがえるが、雇用創出や波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果3

    加工精度向上や生産効率化、リードタイム短縮が書かれるが、補助金額と付加価値増の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    遠赤外線サーモグラフィーや解析ソフトによる温度分布の提供がうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    半導体や電池など成長分野への進出が見込まれると書かれるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    大阪市の中小企業としての事業活動はうかがえるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

半導体や市場が拡大している電池などの分野で、カートリッジヒーターの性能を生かせる用途への展開を見込んでいる。

事業者の声

顧客からニーズを聞き出し、提案する力には長けている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。