ものづくり補助金平成26年度製造業兵庫県

次亜塩素酸分子水を浸透させたウイルス拡散防止シートの開発・製造

大阪油脂工業株式会社

この事例のポイント

  • 嘔吐物の処理では、必要な物品を探し集めてから作業するため、複数人の関与が必要となり感染拡大を招く危険があった。
  • 従来の高濃度次亜塩素酸水よりも高い濃度の次亜塩素酸水を低コストで製造できる生成設備を導入した。
  • キット内に必要な物品と作業手順を入れたことで、一人で簡単かつ迅速に嘔吐物処理を完結でき、作業および周辺の安全性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名大阪油脂工業株式会社
所在地兵庫県 尼崎市
業種化学工業
技術分野製造環境
従業員数33人
資本金9,762万円
設立1957年

事業の背景

当社は2008年からウイルスレスウォーターの名で次亜塩素酸分子水を発売し、介護施設や病院、飲食店などに10Lや20Lの濃縮品を供給していた。既存顧客からは、この製品を嘔吐物の処理に使っているとの声があり、より安全で簡便に使える製品を求められた。医療・介護現場では嘔吐物処理がマニュアル化されているが、飲食店など日常的に処理しない事業所では正しい扱いができるか疑問があるとのことだった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能嘔吐物の処理では、必要な物品を探し集めてから作業するため、複数人の関与が必要となり感染拡大を招く危険があった。
  • 新製品・新技術次亜塩素酸分子水は光で有効成分が分解され保管や取り扱いが難しく、そのままでは一般の事業所で正しく扱えるか不安があった。
  • 新製品・新技術次亜塩素酸水は有機物に触れると効力が失われるため、従来のようにウエットティッシュにしみこませて使うことができなかった。

やったこと

従来の高濃度次亜塩素酸水よりも高い濃度の次亜塩素酸水を低コストで製造できる生成設備を導入した。次亜塩素酸水は有機物に触れると効力が無効になるメカニズムを外部機関と連携して調査し、解決策を検討した。ウエットティッシュタイプのシートとして、使用時に濡れた状態で使えるよう製品の意匠を工夫し、新聞紙で処理していた際の大判で対象物が隠れる利点や、直接触れない厚みの感触もシートで再現した。シートの素材や色味、サイズ、保管箱の形状にもこだわり、一人で簡単・迅速に作業を完結できる物品入りのオールインワンキットとした。

加工機高濃度次亜塩素酸水生成設備

新しい製品・サービス:次亜塩素酸分子水を浸透させたウエットティッシュタイプのウイルス拡散防止シート(オールインワンキット)

事業の効果

キット内に必要な物品と作業手順を入れたことで、一人で簡単かつ迅速に嘔吐物処理を完結でき、作業および周辺の安全性が向上した。希釈が不要で、そのまま容易に使用できるため作業を確実に遂行でき安全性が高い。結婚式場や観光業、食品工場など様々な事業所から引き合いがあり、医療・介護以外の業種への展開が期待できる。競合製品と比べても作業間の凝固や吸収への待ち時間がなく、競争優位性の高い製品となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の次亜塩素酸分子水製品(2008年発売)の顧客利用実態を踏まえた展開とされ、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    競合の次亜塩素酸ソーダや吸水性ポリマーと比較し競争優位が高いとあるが、市場規模や自社資源の強み・弱みの数値的裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決3

    嘔吐物処理で物品を探し集める作業が感染拡大を招くという課題認識と、キット化による解決は書かれているが、付加価値向上や成長の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    外部機関と連携して検証協力を仰いだとあるが、人材や事務処理能力の体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    飲食店など日常的に嘔吐物処理をしない事業所向けに、希釈不要のオールインワンキットとし、結婚式場や観光業等の引き合いがあると具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として受託開発強化と販路拡大が挙げられているが、スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    次亜塩素酸分子水をシート化し希釈不要で使える点を競合と比較して優位性を示し、高付加価値化の方向性が読み取れる。

公的補助の必要性27%
  • 波及効果・雇用2

    ノロウイルス等の感染拡大防止という社会的課題への貢献がうかがえるが、経済波及や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    兵庫県尼崎市の企業とあるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自社製品の開発で培ったノウハウを生かし受託開発を強化するとともに、自社製品の販路を拡大していく。液体・粉体の製品化に悩む企業のパートナーとして、様々な開発提案を行っていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。