ものづくり補助金平成26年度製造業奈良県

高濃度でサプリメント成分を抽出する為の生産プロセスの確立

ワキ製薬株式会社

成果ミミズのヒ素含有量 10ppm→5ppm

この事例のポイント

  • 従来の製法ではミミズ特有の臭いや芽胞菌が残ってしまう。
  • 従来の土中での飼育に代えて、椰子の表皮繊維を用いたピットでミミズを養殖する方法に見直した。
  • ミミズのヒ素含有量 10ppm→5ppm。椰子の表皮繊維を用いたピット養殖により、ミミズのヒ素含有量を10ppm以上から5ppm以下に軽減できた。

事業者のプロフィール

事業者名ワキ製薬株式会社
所在地奈良県 大和高田市
業種化学工業
技術分野バイオ,材料製造プロセス
従業員数46人
資本金3,000万円
設立1951年

事業の背景

奈良県は古くから漢方・生薬の生産販売に関わり、江戸時代中期から幕末にかけては置き薬の製造販売で全国に行商圏を築いた。近年は配置員の減少により置き薬市場が低迷している。当社は明治15年の創業以来130年の医薬品づくりの歴史を持ち、従来の風邪薬「みみとん」に含まれるミミズ成分の血栓溶解酵素(ルンブロキナーゼ)に着目し、約40年前から和漢薬のサプリメントとして研究・開発を続け、主力商品として展開してきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の製法ではミミズ特有の臭いや芽胞菌が残ってしまう。
  • 品質・精度土中で養殖したミミズは体内のヒ素含有量がサプリメント原料の基準値を超えるものが発生していた。
  • 品質・精度試作では芽胞菌の完全除去に至らず、他社の製造法特許を使った機器が必要だった。
  • 生産能力ミミズの生息密度が一定数を超えると、ピットからあふれて逃げ出すことが発生していた。

やったこと

従来の土中での飼育に代えて、椰子の表皮繊維を用いたピットでミミズを養殖する方法に見直した。この方法により、ミミズのヒ素含有量を従来の10ppm以上から5ppm以下に軽減し、サプリメント原料の基準値10ppm以下の半分以下に抑えられるようになった。生産プロセスの確立のため、真空凍結乾燥機を導入した。試作試験で確定した条件は、真空凍結温度-40℃、真空度2.2×10Pa、最高乾燥温度60℃、1回あたり原料仕込み量60kg以上、出来上がりエキス量7kg以上、抽出エキス量10〜15kgにコントロール可能というものである。ミミズは夜行性で光を嫌うため、光をあてて眠らせておく方法で行動を抑制し、生息密度の問題を解決した。

  • 加工機真空凍結乾燥機
  • その他養殖ピット椰子の表皮繊維を用いたもの

事業の効果

  • ミミズのヒ素含有量 10ppm→5ppm

椰子の表皮繊維を用いたピット養殖により、ミミズのヒ素含有量を10ppm以上から5ppm以下に軽減できた。真空凍結乾燥機の導入により芽胞菌・大腸菌を完全に除去し、高純度かつ高品質で、予想外に高濃度な成分抽出が可能になった。生産プロセスの効率化、エキス含量の向上、ミミズ臭の軽減、エキスに含まれる酵素の安定化、人件費・電力使用量の軽減などの効果も得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    明治15年創業で130年の医薬品づくりと、40年程前からのミミズ成分研究を経て主力商品化した経緯が具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    独創的な医薬品・サプリメントの展開や海外販路の記述はあるが、競争優位の根拠となる市場データや比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    芽胞菌の完全除去やヒ素含有量の課題が特定され、真空凍結乾燥機導入という解決策と売上目標が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    初年度1,400万円から5年目40,000万円、海外25,000万円の売上目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員46名や大学連携による技術者育成の記述はあるが、補助事業を遂行する具体的な人員配置や事務体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    循環器分野の健康素材やベトナム・台湾など海外の認可取得の記述はあるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは具体的でない。

  • 事業化までの道筋3

    ミミズの生息密度の課題に夜行性を利用した解決策を示し、5年目までの売上目標を段階的に示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ヒ素含有量5ppm以下、高濃度・高純度の成分抽出を実現し、循環器分野に特化した高付加価値化を図る内容が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    奈良県の薬狩りの歴史や地域の製薬協同組合との関わりはあるが、波及効果や雇用創出の規模は数字で示されていない。

  • 費用対効果2

    人件費や電力使用量の軽減、ミミズ臭の軽減などの効果は挙げられているが、投入額に対する数値的な費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    土を使わない養殖やピット方式など生産方法の工夫はあるが、デジタル技術や地域・サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    健康産業への貢献や海外市場への展開が述べられているが、日本経済の構造転換に資する根拠は書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    奈良県の薬狩りの里という地域特性を活かした生薬製造で、地域の製薬会社として雇用育成に取り組む姿勢が示されている。

今後の展望

国内市場の拡大と海外向け製品・原料輸出を進める。ベトナム・台湾・香港・ロシアでは認可・許可を取得済みで、インドネシア・カナダ・アメリカへの新規海外市場の拡大を図る。既存サプリメント分野では初年度1,400万円、5年目40,000万円の売上を目標とし、新規海外市場では5年目25,000万円を目標とする。

事業者の声

当社は研究開発型の企業ではありませんでしたが、長年、大学との連携により、技術者の雇用と育成を同時に進め、研究開発型企業へと成長しました。現在、当社が開発した新機能性成分は、世界にも普及しており、日本のみならず世界の健康産業へ貢献できると確信しています。今後も研究開発に注力し、奈良県を盛り上げていきます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。