ものづくり補助金平成24年度佐賀県

危険物質を使用しない省エネ塗装用顔料の焼成受託生産プロセス強化

日研カシマ株式会社

この事例のポイント

  • 鉛・クロムなどの有害物質を含まない塗料・顔料への需要が高まっている。
  • 鉛・クロムなどを使用しない複合酸化物系顔料の原料調合を用い、遮熱性能を保つ焼成を目指した。
  • 小LOT対応のバッチ式シャトル焼成炉の導入により、焼成工程の生産効率が上がり、低価格を実現できる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名日研カシマ株式会社
所在地佐賀県 佐賀県鹿島市
業種化学工業
技術分野プラスチック成形加工
資本金5,000万円

事業の背景

遮熱塗装は塗装市場全体が縮小する中で唯一伸長を続けている分野である。日本塗料工業会の集計では、2011年の市場規模は塗料出荷量ベースで11,000t、金額ベースで100億円を超え、7年前に比べ約7倍になっている。本事業で生産強化を目指す有害物質不使用の遮熱顔料は、遮熱塗料製品中に約10%〜30%含まれており、遮熱塗料と同様に伸びている。さらに東日本大震災後の節電対策の高まりも後押しとなり、今後も出荷量・出荷金額の拡大が予想されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術鉛・クロムなどの有害物質を含まない塗料・顔料への需要が高まっている。
  • 新製品・新技術地球温暖化防止やヒートアイランド対策に向けて、太陽光を反射して省エネ効果をもたらす遮熱性能の高い新素材の開発が求められている。
  • 生産能力大量生産型の海外メーカーと競合しており、きめ細かな顧客ニーズに応えられる生産体制を整える必要がある。

やったこと

鉛・クロムなどを使用しない複合酸化物系顔料の原料調合を用い、遮熱性能を保つ焼成を目指した。弊社試験設備で各種顔料の試作を重ね、データを蓄積した。その上で、焼成温度領域管理と焼成雰囲気ガス管理の技術を高めた小LOT対応型バッチ式シャトル焼成炉を導入した。大量生産型の連続トンネル炉ではなく小ロット対応の炉を選び、設備の一部を独自に改造して焼成効率の最適点を探った。

  • 加工機小LOT対応型バッチ式シャトル焼成炉

新しい製品・サービス:有害物質不使用の遮熱顔料(塗装用新素材顔料)

事業の効果

小LOT対応のバッチ式シャトル焼成炉の導入により、焼成工程の生産効率が上がり、低価格を実現できる見込みである。製品の受託加工費は従来の一般焼成受託加工費に比べ価格優位性を持ち、生産量の増加と収益性の向上が見込まれる。大量生産型の海外メーカーには対応できない、顧客ごとのきめ細かなニーズに応える体制が構築される。焼成受託生産プロセスの強化は、収益性の向上と地域経済・地域雇用への貢献につながると考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    顧客とニーズの裏付け有害物質不使用で遮熱効果を持つ顔料という価値、遮熱塗料市場の伸長、小LOT対応による顧客ニーズ対応など、選ばれる理由が整理されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値遮熱塗料は塗装市場で唯一伸長し、市場規模が約7倍になったと数字で示され、有害物質不使用の高機能顔料として位置づけられている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制体制としての人材や事務処理能力の記載はなく、設備導入と顧客対応体制の構築が述べられるのみである。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として試作やデータ蓄積、試験設備の活用が書かれているが、経営戦略上の位置づけは明確に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外大量生産メーカーに対し小LOT・顧客ニーズ対応で差別化する方針が書かれているが、自社の経営資源の強み・弱みの分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決3

    課題として焼成効率と低価格化、顧客対応の必要性が示されているが、事業計画の数値的な実効性は限定的に読める。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間2000万円〜3000万円の売上見込みと受託加工費の10%〜20%程度の価格優位性が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値はない。

  • 事業を進める体制2

    体制としての人材や事務処理能力の記載はなく、設備導入と顧客対応体制の構築が述べられるのみである。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    有害物質不使用で遮熱効果を持つ顔料という価値、遮熱塗料市場の伸長、小LOT対応による顧客ニーズ対応など、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の機能向上や市場成熟への対応は述べられているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    遮熱塗料は塗装市場で唯一伸長し、市場規模が約7倍になったと数字で示され、有害物質不使用の高機能顔料として位置づけられている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    省エネルギーや有害物質削減という社会的要請、地域経済と地域雇用への貢献が述べられているが、波及効果の定量的な根拠は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されず、売上見込みと価格優位性のみがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    先端デジタル技術の活用は書かれていないが、新素材顔料による低環境負荷化とサプライチェーンへの寄与がわずかにうかがえる。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    低環境負荷社会や省エネ・温暖化対策という国の政策方向に沿う分野への進出が述べられているが、構造転換への言及は限定的である。

  • 地域経済への波及3

    地域経済と地域雇用への貢献が述べられているが、佐賀県鹿島市の地域特性を活かした具体的な記述は少ない。

今後の展望

本事業で事業化を目指す市場における売上・収益は、年間2000万円〜3000万円を見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。