ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

「魚の干物」の付加価値向上に重点をおいた取り組み利益率を上げて地域の漁師へ還元

この事例のポイント

  • 魚の大きさの選別は全て手作業で人の感覚に頼っており、明確な基準がなかった。
  • 高鮮度加工による商品の付加価値向上を目的として、最新式の小型魚体高速選別機を導入した。
  • 小型魚体高速選別機の導入により、魚の大きさの選別が半分以下の時間でできるようになり、作業効率が飛躍的に向上した。

事業者のプロフィール

所在地和歌山県 串本町
業種食料品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境
従業員数25人
設立1948年

事業の背景

和歌山県南部の串本地域で水揚げされた魚を仕入れ、工場で干物に加工して地元スーパーや中央市場に卸売りするほか、店頭やネットでも販売している。アジやサンマの丸干し、みりん干しが長年の定番商品である。和歌山県南部地域の漁獲高は年々少なくなっており、漁獲量が多かった時代の薄利多売は通用しなくなってきていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度魚の大きさの選別は全て手作業で人の感覚に頼っており、明確な基準がなかった。
  • 生産能力魚の大きさを正確かつ迅速に選別する手段がなく、作業効率に課題があった。
  • 品質・精度魚の大きさが均一でないと調味料による味付けも均一にならず、干物の品質を安定させられなかった。
  • コスト・採算漁獲量が減る中で薄利多売は通用しなくなり、商品の付加価値を高めて利益率を上げる必要があった。
  • 生産能力得意先の卸売市場やスーパーから大きさの揃った魚の出荷を求められていたが、用途別の出荷に対応しきれていなかった。

やったこと

高鮮度加工による商品の付加価値向上を目的として、最新式の小型魚体高速選別機を導入した。従来は全て手作業だった魚の選別を、この機械で正確かつ迅速に魚の大きさごとに行えるようにした。大きさによる分別で用途別の出荷も可能となり、干物の味の均一化につなげた。

加工機小型魚体高速選別機

事業の効果

小型魚体高速選別機の導入により、魚の大きさの選別が半分以下の時間でできるようになり、作業効率が飛躍的に向上した。大きさの揃った魚を使えるようになったことで干物の味が均一になり、大阪・神戸の卸売市場の関係者から高い評価を得た。得意先の用途に合わせた大きさの干物を販売できるようになり、出荷量を増やす一歩も踏み出せた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の干物加工の延長で、味の均一化と卸売の大きさ揃えを目的とした設備導入と読める。経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    紀州ブランドで他地域と競うには生産効率と出荷量増加が必要とあり、外部環境への言及はある。具体的な市場データは示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    従来は全て手作業で明確な基準がなく、薄利多売が通用しなくなったという課題を示し、選別機で付加価値を高める計画が読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上の目標はあるが、数値目標は示されていない。作業時間は半分以下とあるが目標値としての記載は薄い。

  • 事業を進める体制3

    社長が代表として店舗・工場を運営している記述はあるが、補助事業の実施体制や人材配置の具体的な記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大きさ揃えで卸売市場や量販店の要望に応え、用途別出荷と味の均一化で選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は付加価値向上と海外販路を模索するとあるが、スケジュールや遂行方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    干物の一般的な普及度に触れ、食べやすさ重視の商品と高付加価値化を図る記述がある。数値による高水準の根拠は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地域の漁師への還元と串本地域の水産業を後押しする意図が書かれており、地域波及の記述がある。定量的な雇用効果は示されていない。

  • 費用対効果3

    作業時間が半分以下になったとあるが、投資額や付加価値増加額との比較は示されておらず費用対効果は読み取りにくい。

  • イノベーションへの貢献2

    小型魚体高速選別機の導入は示されるが、先端的なデジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は記載されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    串本地域の漁師への還元や地域の水産業を後押しする意図があり、地域の特性を活かした事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も商品の付加価値を高める方法を検討し、消費者に高い値段で買ってもらうことで漁師への支払額を増やしていく方針である。加工した干物の海外販売も視野に入れ、中国や台湾を市場として関心を持っている。串本地域で養殖が行われている近大マグロの商品化も機会があれば進めたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。