ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

老舗しらす屋、オーダーメイド設計の『新型自動釜』導入による事業展開

株式会社山利

成果釜揚げしらすの1時間あたり生産量 1t/時間→1.5t/時間

この事例のポイント

  • 加工の衛生や鮮度など、加工の質を高める必要があった。
  • しらすの煮沸、水切り、冷却までをライン上で加工できる新型自動釜を導入した。
  • 釜揚げしらすの1時間あたり生産量 1t/時間→1.5t/時間。新釜の導入により生産量が増え、作業効率が上がって時間が生まれた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社山利
所在地和歌山県 和歌山市
業種食料品製造業
技術分野製造環境,複合・新機能材料
従業員数9人
資本金1,000万円
設立2009年

事業の背景

和歌山市本脇で160年以上にわたり水産加工業を営み、西脇漁港で水揚げされたしらすを釜揚げ、天日干しちりめん、つくだ煮などに加工して販売している。商品は地元スーパーマーケットや飲食店に卸すほか、自社HPでネット販売も行っている。同社の売上高の約8割は卸売販売が占めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度加工の衛生や鮮度など、加工の質を高める必要があった。
  • 生産能力旧釜では釜揚げしらすを1時間に1t生産しており、作業時間を短縮して生産量を増やす必要があった。
  • 人手・技能旧釜は操作が難しく、経歴の一番長い代表が現場に付きっきりになっていた。
  • 人手・技能釜の清掃に3人が1時間30分かかっており、人的資源の負担が大きかった。
  • コスト・採算機械操作を円滑にして省エネ化を実現する必要があった。
  • 販路・情報発信売上高の約8割を卸売販売が占めており、一般小売販売を強化する必要があった。

やったこと

しらすの煮沸、水切り、冷却までをライン上で加工できる新型自動釜を導入した。導入機種は河村バーナー製作所のFAB-2500-TC-800で、長年の信頼関係がある釜装置の製作会社に相談し、オーダーメイドした。新釜はボタン式の操作で簡素化されており、従業員が扱えるようになった。

加工機河村バーナー製作所/FAB-2500-TC-800(新型自動釜)

新しい製品・サービス:凝ったパッケージデザインと少量サイズの商品(ギフト向け)

事業の効果

  • 釜揚げしらすの1時間あたり生産量 1t/時間→1.5t/時間
  • 釜の清掃に要する人時 4.5人時→2人時

新釜の導入により生産量が増え、作業効率が上がって時間が生まれた。短時間で加工できるため、乾燥による質の低下や雑菌の発生を抑え、より質の高い商品を提供できるようになった。操作の簡素化により代表が他の業務に取り組めるようになり、清掃も短時間で衛生的に行えるようになった。こうした人的資源の問題の解消により、オンラインストアや直営店の開設につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    160年以上の老舗で、しらす加工の既存事業を基盤に新釜導入と販路拡大を進めた点は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは詳述されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    売上の約8割が卸売で、一般小売強化を目標にしたことはうかがえるが、市場動向や競争優位性の記述は見当たらない。

  • 課題の認識と解決4

    旧釜は1時間1t、新釜は1.5tに改善し、清掃は3人1時間30分から2人1時間へ短縮と、課題と効果が数字で示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量1t→1.5t/時、清掃時間の短縮など具体的な数値目標と実績が示されており、達成の根拠が読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    操作を従業員に任せられるようになり代表が他業務に回れた点から体制の変化はわかるが、体制整備の計画内容は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    衛生・鮮度向上や少量ギフト向け商品が好評との記述はあるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後は県外展開やケータリングを行う意向と書かれているが、遂行方法やスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    しらすの釜揚げ加工は一般的な分野で、同分野で高水準の品質(水産庁長官賞)を図る点がわずかにうかがえる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地元の漁港や飲食店との取引、観光客の立ち寄りスポットとしての役割など地域性はうかがえるが、波及効果の数値はない。

  • 費用対効果3

    生産性向上と時間創出の効果は示されているが、補助金額に対する費用対効果の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    和歌山の漁港から水揚げされたしらすを地域で加工し、イベント主催などで地域に貢献している点が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は県外にも商圏を拡大し、食のイベントでしらすのケータリングを行うなど、さまざまな方法で商品をPRして営業機会を増やす方針である。顧客が求める商品のリサーチを進め、時代に即したオリジナル品の開発も展開する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。