ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

紀州桐箪笥製造で培った伝統技術を現代のニーズにチューニング建築需要の取り込みを狙う

有限会社 家具のあづま

成果加工可能な板材の長さ 2m→5m

この事例のポイント

  • 桐箪笥業界の営業環境が厳しくなっており、大工(建築業者)が家の建築時にクローゼットを作ることで、家具製作の仕事が大工側に移っている。
  • 建築用の大型材料に対応するため、板材・角材を直線切断できるパネルソーを導入した。
  • 加工可能な板材の長さ 2m→5m。パネルソーの導入により加工可能な板材の長さが2m程度から5m程度に広がった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 家具のあづま
所在地和歌山県 紀の川市
業種家具・装備品製造業
従業員数5人
資本金300万円
設立1891年

事業の背景

1891年に桐材の販売を目的に創業し、100年以上にわたり紀北の地で桐に関わる仕事を行ってきた。現在は桐箪笥などの桐家具の製造・販売に加え、机や椅子、収納棚などの各種家具も手掛け、コップやカッティングボードなど桐を使ったインテリア雑貨も開発している。桐箪笥業界は営業環境が厳しくなって久しく、家具業界全体の需要も低迷している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信桐箪笥業界の営業環境が厳しくなっており、大工(建築業者)が家の建築時にクローゼットを作ることで、家具製作の仕事が大工側に移っている。
  • 生産能力建築用の大型材料など長尺物を精度よく加工する設備がなく、2m程度までの加工に限られていた。
  • 新製品・新技術新規(リフォーム)住宅の内装、備え付け家具、オーダー家具に必要な加工木材の長さ制限が技術的な課題になっていた。
  • 人手・技能家具業界の需要が低迷し、低価格の建売住宅が広がったことで、腕の良い職人が少なくなっている。

やったこと

建築用の大型材料に対応するため、板材・角材を直線切断できるパネルソーを導入した。これにより木板を5m程度まで加工できるようになり、従来の2m程度までの加工から対応範囲が広がった。熟練の職人でも時間を要していた長尺物の板加工が、ボタン1つで精度よく短時間に自動加工できるようになった。パネルソーに合わせた独自の治具を作ることで、直角のカットだけでなく三角形や多角形のカットも可能になった。木材加工から内装までを自社で手掛けるショールームを整備し、自社製の備え付け家具やオーダー家具の展示も行う予定である。

加工機パネルソー

新しい製品・サービス:建築内装(備え付け家具・オーダー家具を含む)

事業の効果

  • 加工可能な板材の長さ 2m→5m

パネルソーの導入により加工可能な板材の長さが2m程度から5m程度に広がった。従来2〜3人がかりで息を合わせて行っていた長尺板の加工が、ボタン1つで精度よく短時間に自動加工できるようになり、作業環境は大きく改善した。導入機械で短縮できた時間を職人技が必要な加工工程に充てられるようになり、全体の生産効率も向上した。独自治具により直角以外の三角形や多角形のカットも可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業1891年から桐に携わり、桐箪笥の技術を現代ニーズに合わせる方針と、大工からの仕事を取り戻す計画が一貫して書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    建売住宅の興隆や家具需要の低迷に触れ、伝統工芸士など技術力を強みとして挙げているが、競争優位の定量的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    大工の仕事を取り戻す課題認識に対し、建築内装・家具の一括受注という事業計画が示され、2m→5m加工可能になった点も具体的。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、加工時間短縮の定性的な説明にとどまる。

  • 事業を進める体制4

    従業員5人の体制、伝統工芸士の職人、代表自ら機械を使いこなす点、今夏完成予定のショールームなど体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ノベルティグッズとしてスポット採用されるなど実績はあるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    ショールーム完成や受注につなげる考えなど今後の展開は示されるが、スケジュールや課題解決の方法は詳細に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    桐箪笥は営業環境が厳しい分野で、建築内装という新分野への挑戦が述べられるが、高価格化の数値根拠はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    後進育成や地元中学生の職場体験、地元建築業者との連携など地域雇用への言及があるが、波及効果の規模は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額などの費用対効果を示す数字は見当たらず、作業時間短縮の定性的記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    パネルソーと独自治具による加工は述べられるが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は明確でない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    建売住宅の興隆や家具需要の低迷に触れ、建築内装への進出を示すが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    紀の川市の伝統技術を活かし、建築内装事業への進出と地元建築業者・中学生との連携が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ショールームを拠点に建築内装の需要を獲得し、そこからの引き合いを受注につなげていく考えである。あわせて後進の育成と、地元中学生の職場体験や外部講師の受け持ちを通じて伝統技術の継承に努める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。