ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

腎臓病患者の生活の質(QOL)向上に向けて低タンパクパンの量産化に乗り出した“町のパン屋さん”

有限会社 下津フードサービス

この事例のポイント

  • 低タンパクパンを製造する人材の確保が課題となっている。
  • パンの製造から出荷に関わる設備機器一式を導入し、増産が可能な体制を整えた。
  • 低タンパクパンの生産体制が強化され、深夜までかかっていた袋詰め作業の負担が軽減されて量産が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 下津フードサービス
所在地和歌山県 和歌山市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数5人
資本金3,000万円
設立1982年

事業の背景

1982年6月の設立以来、「ピノキオ」の屋号でパンの製造販売を行っており、腎臓病の人向けに医師から依頼を受けて開発した低タンパクパンが代表商品となっている。2011年から低タンパクパンの試作・開発を始め、全国から問い合わせが寄せられていた。販売は卸売業者への販売、インターネットによる個人客への直接販売、店頭販売で行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能低タンパクパンを製造する人材の確保が課題となっている。
  • 生産能力大型オーブンなどの設備機器をフル稼働できていない。

やったこと

パンの製造から出荷に関わる設備機器一式を導入し、増産が可能な体制を整えた。導入したオーブンは1時間あたり200個を焼き上げることが可能である。試作段階から医師、栄養士、患者会の人との試食や食品分析を繰り返し、食感と風味を改善した。真空包装と脱酸素剤の封入により、1か月程度の長期保存も可能になった。

加工機オーブン
加工機ミキサー
加工機包装機

事業の効果

低タンパクパンの生産体制が強化され、深夜までかかっていた袋詰め作業の負担が軽減されて量産が可能になった。出荷量は時期による波はあるものの増加している。食感と風味が向上し、普通のパンに近い美味しさで長期保存もできるようになった。腎臓病患者のQOL向上に貢献できていることが従業員のやりがいにもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    2011年から低タンパクパンの試作・開発を続け、2015年に特許取得とあり、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    腎臓病専門病院が近くにあり、全国から問い合わせが来る状況と特許取得が、競争優位の根拠として具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    課題は人材不足で、オーブンを1時間あたり200個焼けるのに稼働できていないと具体的に示され、設備導入で解決する構成になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    1時間200個の焼成能力は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性を判断する数値が薄い。

  • 事業を進める体制3

    従業員5人で人材補充が喫緊の課題とあり、体制の不足が示されている。補充の具体策は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    腎臓病患者向け低タンパクパンで、医師や患者会との試食を重ね、全国から依頼が来るという顧客とニーズの裏付けが書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として食感改善や糖尿病向けパンの開発が触れられるが、スケジュールや遂行方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の低タンパク質パンは美味しくないと評価され、食感と風味を従来より大きく高めた点が、同分野で高水準の付加価値化として読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    腎臓病患者のQOL向上や大規模医療施設の需要が書かれ、社会的意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値はない。

  • 費用対効果2

    投資額や付加価値増加の数値は書かれておらず、出荷量が増えたという定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    真空包装や脱酸素剤で1か月の長期保存を可能にした点はあるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    和歌山市の町のパン屋が県外客を集め、地元の食材を使った商品企画に触れており、地域特性の活用はうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

糖尿病患者向けのパンや乳製品を使わないパンなど、全国から寄せられる新たな条件付きパンの要望に対応していく。既存の低タンパクパンは食感の改善を進め、より普通のパンに近づけていく。地元フルーツを使った一点ものの商品企画も進めている。

事業者の声

何物にも代えがたい嬉しさがあります

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。