ものづくり補助金平成26年度建設業和歌山県

鉄筋挿入工の施工を効率化し、作業員の安全性向上を図る施工機械の開発

株式会社タニガキ建工

成果斜面上の機械操作人員 3名→1名

この事例のポイント

  • 鉄筋挿入工では容孔機械を斜面に仮設足場で固定し、機械を操作する作業者が斜面上でロープ高所作業をするなど、効率性と安全面に問題があった。
  • クレーン懸架に対応するため、小型・軽量ながら高出力なドリフタを採用し、打撃力を効率的に発生させる機構で機械の小型・軽量化を実現した。
  • 斜面上の機械操作人員 3名→1名。小型・軽量化により、クレーンで懸架して施工できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社タニガキ建工
所在地和歌山県 紀の川市
業種総合工事業
技術分野機械制御
従業員数41人
資本金6,000万円
設立1973年

事業の背景

創業以来、防災事業を中心に地質調査から設計、工事まで公共事業に携わり、斜面安定化や地滑り対策などのノウハウを積み重ねてきた。近年は土砂崩れや地滑りなど自然災害に対する国土強靱化の推進が進み、法面安定化を図る鉄筋挿入工のニーズが全国で増大している。鉄筋挿入工は経済性に優れ、もっとも一般的な工法として知られる一方、効率性や安全面に課題を抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力鉄筋挿入工では容孔機械を斜面に仮設足場で固定し、機械を操作する作業者が斜面上でロープ高所作業をするなど、効率性と安全面に問題があった。
  • その他労働安全衛生規則の改正でロープ高所作業にかかわる安全設備要件が厳格化され、さらなる効率化と安全性の向上が求められるようになった。
  • 新製品・新技術クレーンで懸架して施工できるよう、直径600mmの二重管掘削に対応する機械を小型・軽量化する必要があった。
  • 人手・技能機械を斜面に強固に固定する手法と、機械周辺で作業する人員を減らす操作方法の見直しが課題だった。

やったこと

クレーン懸架に対応するため、小型・軽量ながら高出力なドリフタを採用し、打撃力を効率的に発生させる機構で機械の小型・軽量化を実現した。斜面に固定装置を埋設する同社の新技術「法面固定装置」を導入し、機械を強固に固定するとともに正確な位置決めを可能にした。長尺ガイドセルの採用によりボーリングロッドの連結作業を不要にし、従来3名必要だった機械操作を1名でできるようにした。操作は無線コントロールによる遠隔操作とし、新型穿孔機械「スパイダー02C」として特許を取得した。

新しい製品・サービス:新型穿孔機械「スパイダー02C」

事業の効果

  • 斜面上の機械操作人員 3名→1名

小型・軽量化により、クレーンで懸架して施工できるようになった。法面固定装置の導入で機械を強固に固定でき、位置決めも正確になった。長尺ガイドセルと無線遠隔操作により連結作業が不要になり、斜面上の操作が1名で済むため、施工の効率化と安全性が大きく向上した。さらに新型機械の開発で特許を取得し、関連資材の販売事業にも着手した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の防災事業で培ったノウハウを基に鉄筋挿入工の機械を開発したとあり、一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許取得の法面固定装置や長尺ガイドセルで操作人員が3名から1名になった点など、自社技術による競争優位性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ロープ高所作業の安全要件厳格化を課題として認識し、作業員3名から1名への削減や無線遠隔操作で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げに関する目標値は書かれていない。販売先の拡大に触れるのみである。

  • 事業を進める体制3

    開発から特許取得、販売事業への着手まで取り組んできた実績はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    土工やとび、コンクリート工事業者を販売先と定め、県産資材が全国で採用されたとあるが、ニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後も資材を含めた開発を進めるとあるが、中長期の遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    無線遠隔操作や特許の法面固定装置など、鉄筋挿入工の機械で高い付加価値を狙う内容が具体的に示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    土砂崩れや地滑りなど自然災害に対する国土強靱化の推進という公共性が明確で、全国で需要が増大していると書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    無線遠隔操作や特許技術により安全性を高めた点はデジタル活用に通じるが、サプライチェーンへの波及は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    国土強靱化という政策分野への関連はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    和歌山県の県産品である鋳物技術を活かした資材が全国で採用されたとあり、地域特性の活用が具体的に書かれている。

今後の展望

新型穿孔機械を使った販売事業を建設業者へ広げるとともに、資材を含め多角的に開発を進め、安心・安全な町づくりに貢献したいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。