ものづくり補助金平成26年度製造業鳥取県

キチン類素材の非晶化前処理による高効率製造と新規素材の開発

甲陽ケミカル株式会社

成果フィルタープレス導入や原料改善により約20%の収率改善を達成した。

この事例のポイント

  • N-アセチルグルコサミンは健康補助食品等の需要増で価格競争が激化し、より低コストで高品質(純度96%以上)なものが求められている。
  • カニ殻由来のキチン・キトサンを非晶質化し、酵素分解できるように前処理をする設備を導入した。
  • フィルタープレス導入や原料改善により約20%の収率改善を達成した。非晶質キチンの前処理により工程数が大幅に減り、NAGを低価格で製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名甲陽ケミカル株式会社
所在地鳥取県 境港市
業種食料品製造業
技術分野バイオ,製造環境,複合・新機能材料
従業員数81人
資本金8,088万円
設立1974年

事業の背景

当社は「食」を通じて健康で快適な生活に貢献することを目指し、カニ殻からキチン・キトサンを取り出して、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などの素材を生産・研究している。国内で唯一のキチン・キトサン事業を専業で行う企業とも言える。キチン・キトサンは地球上で年間推定1000億トンが生物生産される天然資源として注目され、食品、化学、医療分野で広く利用されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度N-アセチルグルコサミンは健康補助食品等の需要増で価格競争が激化し、より低コストで高品質(純度96%以上)なものが求められている。
  • コスト・採算キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖は免疫機能に関わる食品素材として売上を伸ばしているが、流通量を増やすためにはコストダウンが求められる。

やったこと

カニ殻由来のキチン・キトサンを非晶質化し、酵素分解できるように前処理をする設備を導入した。フィルタープレスを非晶質キチン製造、キトサンオリゴ糖製造、再生キトサンの各脱水工程で使用し、収率を高めた。事業期間は平成27年9月から平成28年6月までである。

新しい製品・サービス:非晶質キチンの商品化、低価格のN-アセチルグルコサミン、キチンオリゴ糖の固液分離工程の効率化による新たな製品

事業の効果

  • フィルタープレス導入や原料改善により約20%の収率改善を達成した。

非晶質キチンの前処理により工程数が大幅に減り、NAGを低価格で製造できるようになった。フィルタープレス導入などで収率が上がり、キチンオリゴ糖とキトサンオリゴ糖のコストが下がった。キトサンオリゴ糖は製造方法が確立され販売増に大きく寄与している。非晶質キチンは食品、化粧品、医用材料の各メーカーから情報交換の希望があり、最終製品形態を検討している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成16年の境港工場竣工以来、キチン・キトサンを専業で手がけてきた経緯が書かれ、事業の一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内で唯一のキチン・キトサン専業企業とあり強みは読み取れるが、市場動向との比較や競争優位の根拠は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    NAG価格競争の激化や純度96%以上の要求など課題が明示され、フィルタープレス導入による収率約20%改善で解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    収率約20%改善という数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、高付加価値化の目標は具体性が薄い。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    健康補助食品や免疫機能の素材としての用途と需要増は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    開始から完了までの期間と課題解決策の3項目は示されるが、工程ごとのスケジュールや検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    キチン・キトサンの高純度素材で、非晶質キチンの商品化や収率向上による高付加価値化が具体的に記載されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地域の水揚げ資源を活用し地域の新たな産業の地位向上に結びつくとあるが、雇用や波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    収率約20%改善とコストダウンは示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    酵素分解可能な前処理による工程数の大幅削減とあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    健康・美容志向の高まりに対応する市場とあるが、日本経済の構造転換に資する内容としての記述は限定的である。

  • 地域経済への波及4

    境港市のカニ漁場を活かした原料調達で地域の新たな産業の地位向上につなげると、地域特性の活用が明記されている。

今後の展望

今回の成果を基に新たな商品開発と価格体系の改善を検討している。非晶質キチン、NAG、キチンオリゴ糖の商品化を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。