ものづくり補助金平成26年度製造業鳥取県

放射線励起型触媒を表面処理した多機能インテリア向け繊維の開発

株式会社丸昌商店

この事例のポイント

  • 一般的な加工生産が主力だったが、リーマンショック以降の国内需要の落ち込みと素材・製品の海外調達の激化により受注確保が難しくなった。
  • 紫外線に依存しない「放射線励起型触媒」を繊維表面に処理し、抗菌、抗ウイルス、防カビ、消臭等の複合機能を持たせる商品開発を行った。
  • 従来の光触媒に代わり、紫外線に頼らず安心・安全に機能を発揮する放射線励起型触媒による繊維表面加工技術を開発した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸昌商店
所在地鳥取県 泉南市
業種繊維工業
技術分野表面処理,複合・新機能材料
従業員数51人
資本金2億円
設立1962年

事業の背景

当社は昭和37年創業で、インテリア向け資材である敷物用の表面パイル糸の生産、加工、販売を手掛けている。近年は大手製薬会社から技術協力を受け、敷物用パイル糸に抗菌・防カビ・防虫・防ダニの機能を付与する技術を開発している。リーマンショック以降、国内需要が落ち込み、素材・製品の海外調達が激化して受注確保が難しくなった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力一般的な加工生産が主力だったが、リーマンショック以降の国内需要の落ち込みと素材・製品の海外調達の激化により受注確保が難しくなった。
  • 生産能力景気の波に左右されない競争力を持つため、高付加価値な繊維加工糸を市場に送り込むことが課題となった。
  • 新製品・新技術日本の屋内環境では紫外線が十分得られず、繊維の機能性加工に使われる光触媒の効力が問題視されていた。

やったこと

紫外線に依存しない「放射線励起型触媒」を繊維表面に処理し、抗菌、抗ウイルス、防カビ、消臭等の複合機能を持たせる商品開発を行った。薬剤を糸に均一定量塗布し乾燥後巻き上げる表面処理装置を改造して試験プラントを完了させ、塗布量、均一性、耐久性、耐熱性を確認した。試作品では抗菌試験(大腸菌、肺炎桿菌等)、抗ウイルス試験、安全性試験(皮膚刺激性試験等)、消臭試験(酢酸、イソ吉草酸等)、防汚試験・接触角測定、物性測定を実施した。試作品について可視光下での消臭、抗菌、抗ウイルス機能を確認し、製品化への企画を固めた。

  • 加工機表面処理装置、乾燥機巻き上げ機改造
  • 検査測定各種試験、計測、計量器

新しい製品・サービス:放射線励起型触媒を表面処理した多機能インテリア向け繊維加工糸

事業の効果

従来の光触媒に代わり、紫外線に頼らず安心・安全に機能を発揮する放射線励起型触媒による繊維表面加工技術を開発した。試作品では可視光下で消臭、抗菌、抗ウイルス機能が確認され、製品化への企画が固まった。この加工糸は衣類、インテリア製品、自動車関連商品など人の接するあらゆる製品に利用でき、将来的に大きな効果を持つ製品を生み出す可能性がある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和37年創業のインテリア向けパイル糸事業と、製薬会社からの抗菌・防カビ技術協力という過去の取組から開発テーマへの流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    リーマンショック後の需要落ち込みと海外調達激化、高付加価値加工糸による競争力確保という外部環境認識は書かれているが、自社経営資源の強みとの対比は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決3

    課題として受注確保難と景気影響が挙げられ、高付加価値繊維加工糸が解決策とされているが、事業計画としての成長数値や実効性の詳細は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標値として付加価値額の増加や賃上げの数値は示されておらず、事業化の目標は商品企画・展示会出展などの定性的記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    試験プラント完了や各種試験の実施、外部の製薬会社からの技術協力など遂行体制の一部はうかがえるが、人材や事務処理体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    紫外線に依存しない放射線励起型触媒で抗菌・抗ウイルス・消臭などの複合機能を持たせる点や、用途としてカーペット・カーテン等が挙げられ、顧客ターゲットはある程度明確。

  • 事業化までの道筋3

    事業完了後1年後から3年後までの商品化・展示会出展・サンプル作成などの段階的なスケジュールが示されているが、課題解決方法の検証は限定的。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    光触媒が主流の機能性表面処理に対し、放射線励起型触媒という新たな加工技術を開発する点が明確に示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    人の接するあらゆる製品に応用できる将来性は述べられるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由の記述は乏しい。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    紫外線に依存しない安心・安全な表面加工技術という点で新技術性はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献の記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    安心・安全な繊維加工技術として将来的に多分野へ展開する可能性は示唆されるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    大阪府泉南市の本社と鳥取県大山町の工場という地域立地は示されるが、地域の特性を活かした付加価値創出の記述は乏しい。

今後の展望

事業完了後1〜2年で消臭機能に表示機能を制限した室内ラグ・ホームユースタイルカーペット等を企画する。事業完了後3年で抗菌、抗ウイルス、消臭商品を企画し、インテリア、自動車、医療介護関連に向けてサンプル作成と展示会出展を行い事業化を推進する。スポーツ関連商品のサンプルを作成し他社と性能比較を行い商品化を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。