ものづくり補助金平成26年度製造業島根県

國酒の魅力を伝え、品質向上と高付加価値化を目指す製造工程一新の酒造り事業

隠岐酒造株式会社

この事例のポイント

  • 普通酒の量産体制から純米酒など上級酒の生産を強化する必要があった。
  • 原料米に水分を含ませる浸漬タンクと、米を蒸し上げて次工程へ移す蒸米設備を更新した。
  • 蒸し米工程でネットによるつり上げ方式を採用したことで、原料米のこぼれや水の混入がなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名隠岐酒造株式会社
所在地島根県 隠岐の島町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境
従業員数18人
資本金4,000万円
設立1972年

事業の背景

隠岐酒造は1972年に島根県西郷酒造組合の5社が合同して誕生し、「隠岐誉」の銘柄で島内外に根強いファンがいる。清酒のほか焼酎やリキュールも扱い、酒類卸売にも業容を広げている。バブル崩壊や焼酎ブーム、若者の日本酒離れの影響を受け、ディスカウント店の出店で卸売部門にもかげりが出た。日本酒の消費動向は、会などでの飲用から個人レベルで好みの酒を飲む傾向へ変わってきている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力普通酒の量産体制から純米酒など上級酒の生産を強化する必要があった。
  • 品質・精度酒造工程の原料処理部分の設備が古く、品質向上を図る必要があった。
  • コスト・採算従来の連続蒸米機はコンピューター制御盤を要し、機器の故障や米のこぼれなどのトラブルが絶えず、その分の経費がかかっていた。

やったこと

原料米に水分を含ませる浸漬タンクと、米を蒸し上げて次工程へ移す蒸米設備を更新した。従来のコンベア方式を廃止し、蒸米吊上げ装置でネットにより米をつり上げる方式を採用した。高所にあった浸漬タンクは地上式に改めた。これにより米のこぼれや水の混入がなくなり、作業員の上下移動もなくなって安全性と洗浄・点検のしやすさが向上した。多様なラインナップの上級酒増産にも対応できる体制が整った。

  • 加工機GW特型蒸米装置蒸米吊上げ装置地上式浸積タンク

事業の効果

蒸し米工程でネットによるつり上げ方式を採用したことで、原料米のこぼれや水の混入がなくなった。機器のトラブルによる経費も節減できる。地上式の浸漬タンクにより作業員は高所作業から解放され、安全性と点検のしやすさが大きく向上した。多様な上級酒の増産に対応できる体制が整い、純米酒や吟醸酒などの上級酒でファン層の拡大と海外展開を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    普通酒量産から純米・吟醸など上級酒生産強化へ方向転換し、今回の設備更新がその戦略に沿うと読める。過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    日本酒の消費動向変化と良質な水、2005年以来2度目の品評会最優秀賞が強みとして示される。市場の数値や競合比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    連続蒸米機の故障や米のこぼれ等の課題を挙げ、上級酒増産体制を整えると述べる。増産量や売上目標などの数値は示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されていない。上級酒の増産体制が整ったという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    社員杜氏の小島修一さんが仕込みを担当し、品評会受賞で安定した酒造りに定評があると書かれる。体制の具体的な人数や事務体制は不明。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    純米酒・吟醸酒など消費者の上級酒指向に応えること、ソムリエ協会幹部の高評価を得たことが書かれる。顧客ターゲットは女性や若年層と示される。

  • 事業化までの道筋2

    海外展開を視野に一歩ずつ市場を広げると述べるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    日本酒は普及が進むジャンルではないが、高水準の上級酒へ高付加価値化を図る点は読み取れる。価格や市場シェアの数値はない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    和食のユネスコ無形文化遺産登録を好機とし、地域の名水を活かす点がうかがえる。国が補助する理由としての雇用や波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果2

    トラブル解消で経費が節減できると述べるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    日本酒の海外展開や上級酒への転換が語られるが、日本経済の構造転換に資する具体的な位置づけは示されていない。

  • 地域経済への波及4

    隠岐の島の名水2つを活かした酒造りで、島内外の根強いファンを持つと書かれる。地域の経済成長への寄与は数値で示されていない。

今後の展望

今回の設備更新を機に、純米酒や吟醸酒などの上級酒を通じて日本酒の潜在需要を掘り起こし、女性や若年層にもアピールしてファン層を拡大する考えだ。海外では一気に大量受注を狙うのではなく、着実に一歩ずつ市場を広げたいとしている。

事業者の声

近年日本酒に対する風向きが変わってきました。会などで飲んでいただくのはもちろん歓迎ですが、個人レベルで好みのおいしいお酒を飲んでいただく傾向が強まってきました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。