ものづくり補助金平成26年度製造業島根県

低コスト金型製作技術の試作開発によるプレス加工の競争力強化

協栄金属工業株式会社

この事例のポイント

  • 旧型のワイヤ放電加工機は作業ごとに加工速度などの細かい数値を入力する必要があり、熟練社員にしか扱えない部分があった。
  • 新型のワイヤ放電加工機と三次元CAD/CAMシステムを導入した。
  • 金型化により、他工法で製造していた部品の大幅なコストダウンと短納期対応が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名協栄金属工業株式会社
所在地島根県 雲南市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数82人
資本金4,500万円
設立1972年

事業の背景

過疎地域の掛合町に雇用を生み出すため1971年に工場が操業を始めたが、円高不況により約8か月で倒産した。その後、有志の出資と町ぐるみの再建により協栄金属の歴史が始まった。2008年のリーマンショックなどで再び経営が行き詰まり、2010年に社長に就任した人物が社内の大改革に取り組んだ。現在は農業機械、厨房機器、自動車、建設資材などの部品に加え、自社商品のごみ収集ボックスなど年5,000品目以上を生産し、売上高の35%を農業関連、35%を外食産業が占めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能旧型のワイヤ放電加工機は作業ごとに加工速度などの細かい数値を入力する必要があり、熟練社員にしか扱えない部分があった。
  • 人手・技能熟練社員が経験を基に行っていた微調整は数値化されておらず、若い世代への技術伝承が業界全体の課題になっていた。
  • 生産能力工程や人の動きに無駄があり、社員の力を十分に引き出せていなかった。

やったこと

新型のワイヤ放電加工機と三次元CAD/CAMシステムを導入した。新型機は加工に最適な数値を機械が自動で設定するため、作業者の経験を問わず作業時間が大幅に短縮された。三次元データで加工プログラムを作成するCAD/CAMシステムにより、金型製作が初めての若手社員でも短期間で精密な設計・加工ができるようになった。それまで他の工法で製造していた部品を金型化したことで、大幅なコストダウンと短納期対応が可能になった。熟練社員が行っていた微調整を数値にして記録し作業を再現できるようにしたため、技の習得にかかる時間が半減した。

事業の効果

金型化により、他工法で製造していた部品の大幅なコストダウンと短納期対応が実現した。機械による数値自動設定により加工の作業時間が大幅に短縮された。若手社員でも短期間で精密な設計・加工ができるようになった。熟練社員の微調整を数値で記録して再現できるようになり、技の習得にかかる時間が半減した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の大改革で業績を回復し、以後ワイヤ放電加工機やCAD/CAMを導入した経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    農業機械・厨房機器・自動車部品など多分野に対応し山陰最大級の設備を持つと書かれ、強みは読み取れるが市場動向との関係は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    旧型機は熟練者しか扱えず技術伝承が課題だったと明記され、新型機で作業時間が大幅短縮されたと課題と効果が対応して書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    労働生産性25%近く向上や売上15%以上増の実績はあるが、今回導入機の付加価値向上の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    若手社員が短期間で精密加工できるようになり、社員教育や新入社員指導に取り組むとあるが、補助事業の実施体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    金型化による大幅コストダウンと短納期対応が書かれ、顧客ニーズへの対応は読めるが、ターゲットの明確な整理はない。

  • 事業化までの道筋2

    医療など新分野への進出を検討中とあるが、導入機械の中長期的な遂行方法やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    金型製作は一般的な分野であり、高付加価値化や高価格化を図る記述は事例からは明確に読み取れない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    過疎地域の雇用創出や地域社会への貢献が理念として書かれ、地域雇用への寄与はうかがえるが、国の補助の必要性を示す記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金を活用し黒字化したとあるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    数値を記録し作業を再現する仕組みで技術伝承を進めるとあるが、デジタル技術の活用がサプライチェーン全体の革新に及ぶかは読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    医療など新分野への進出を検討中とあり、成長分野への展開の意図がうかがえるが、構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及4

    過疎地域の掛合町で雇用を生み出し、地域社会の活性化に貢献する目標を掲げ、地域内連携も強化していると具体的に書かれている。

今後の展望

今後はさらに多くの分野へ取引を広げることを目標としており、安定した経営のため医療など新しい分野への進出を検討している。

事業者の声

みんなで良くなろうと思った瞬間、信じられないくらいの大きなパワーが出た

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。