ものづくり補助金平成26年度学術研究、専門・技術サービス業岡山県

高精度な修復作業と詳細な修復報告書の作成を実現

成果モニターで200倍までの拡大データが取得できるようになった。

この事例のポイント

  • 高倍率視野下での観察・修復作業の手段がなく、高精度な修復が難しい。
  • モニター付実体顕微鏡を導入し、200号のような大きな絵にも対応できる可動範囲を持つアームを製作して取り付けた。
  • モニターで200倍までの拡大データが取得できるようになった。高倍率視野下での観察・修復作業が可能になり、納得のいく精度に達した。

事業者のプロフィール

所在地岡山県 岡山市
業種技術サービス業
従業員数1人
設立2006年

事業の背景

絵画修復工房YeYは2006年に2人の絵画修復士が岡山で設立し、美術館・画廊や個人コレクターを顧客に油彩画と額縁の保存修復を行っている。日本ではほとんどの美術館が絵画の修復を専門業者に外注しており、業者選定では修復の確実さに加え、作品研究や管理のためのデータを提示できるかが重要になっている。同工房は油彩画の科学的データの収集や専門家との共同研究を行い、それが顧客獲得やリピート、新規紹介につながっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力高倍率視野下での観察・修復作業の手段がなく、高精度な修復が難しい。
  • 生産能力借用の実体顕微鏡はアームが短く、大きな絵の中央を観察・修復できない。
  • 人手・技能データ・画像が効率的に管理されておらず、修復報告書の作成に時間を要する。
  • 人手・技能業務予定が立てにくく、過去の顧客情報・修復カルテの検索にも手間がかかる。

やったこと

モニター付実体顕微鏡を導入し、200号のような大きな絵にも対応できる可動範囲を持つアームを製作して取り付けた。アームはイーゼルに絵を立てた状態でも使えるようにし、イーゼル使用時は顕微鏡と絵の傾きが一緒になるようにした。顕微鏡の種類も変更した。データ・画像管理システムは既存ソフトをカスタマイズして導入し、美術作品調査カルテを作成してデータ・画像を一元管理した。

  • 検査測定モニター付実体顕微鏡
  • その他可動式アーム
  • ソフトデータ・画像管理システム既存ソフトのカスタマイズ

事業の効果

  • モニターで200倍までの拡大データが取得できるようになった。
  • 新たに2館の美術館と取引が成立した。

高倍率視野下での観察・修復作業が可能になり、納得のいく精度に達した。美術作品調査カルテによりデータ・画像を一元管理できるようになり、修復報告書の作成が容易になった。これらの結果、新たに2館の美術館と取引が成立した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    設立以来の油彩画・額縁の保存修復の専門性と、科学データ収集を顧客獲得につなげている取り組みは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    美術館の外注が多い市場で、科学データ提供を強みに取引先拡大を図る点が具体的に書かれている。新たに2館の美術館と取引成立とある。

  • 課題の認識と解決4

    高倍率視野での作業不足と報告書作成の手間という課題を特定し、顕微鏡・アーム・管理システム導入で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上拡大を目指すとあるが、具体的な増加額や目標数値は示されておらず、実現可能性を判断する材料が乏しい。

  • 事業を進める体制3

    代表が資格を持つ修復技師で修業経験もあるが、従業員1人の体制で、事務処理能力や遂行体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    200倍までの拡大データ提供と詳細な科学データ、修復報告書を顧客ターゲットの美術館向けに提供する点が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    初期の棒状顕微鏡が使えず卓上タイプをアームに取り付けて解決した経緯があり、課題解決の過程は読み取れるが、中長期のスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    美術館向けに200倍の拡大データと科学的データを提供する高付加価値の修復サービスで、一般に普及した分野ではないと読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    日本では美術館の修復が外注中心とあり、文化財保存の基盤に関わる点はうかがえるが、波及効果や雇用創出の具体的記述はない。

  • 費用対効果2

    作業性の向上や報告書作成の効率化は述べられているが、補助金額に対する付加価値増加額などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    科学分析や化学の専門家との共同研究、データ・画像の一元管理による取り組みは読み取れるが、業界全体への波及は具体的でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    岡山で開業し地域の工房として美術館と取引する点は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への寄与は具体的に書かれていない。

今後の展望

高精度の修復で実績を築き、美術館との信頼関係を広げていくことが目標。科学的データを集積して研究も進めたい。

事業者の声

今は修復を終えた時に達成感があり、過程の説明もスムーズにできます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。