ものづくり補助金平成26年度製造業愛媛県

加工エリア可変式刺繍機を活用した、タオルへの大柄、連続柄の刺繍加工差別化戦略

有限会社山之内刺繍

成果現行機に比べて導入機は約30%増(加工ヘッド15→20頭)

この事例のポイント

  • タオル業界の刺繍は同一柄・大量生産向けの多頭式刺繍機が主流で、ワンポイント刺繍や名入れにとどまっており、デザイン性の高い刺繍や広範囲の連続柄を開発できていなかった。
  • 20ヘッド型の加工エリア可変式刺繍機を導入した。
  • 現行機に比べて導入機は約30%増(加工ヘッド15→20頭)。20ヘッド型の加工エリア可変式刺繍機の導入により、これまでできなかった現行柄の倍のサイズや連続柄の刺繍が高効率で可能に…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社山之内刺繍
所在地愛媛県 西条市
業種繊維工業
技術分野デザイン,機械制御,情報処理
従業員数20人
資本金500万円
設立1986年

事業の背景

有限会社山之内刺繍は、今治地区のタオル製造業者から刺繍業務を請け負ってきた刺繍業者で、得意先は約20社ある。品質面や価格面が評価されてきた。県内刺繍業者の大半は後継者問題により存続が危惧されており、導入機による高効率生産体制の確立は課題解決の一つとして重要な位置付けにある。国内の刺繍事業者は低賃金を背景とした海外業者との単価競争にさらされている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術タオル業界の刺繍は同一柄・大量生産向けの多頭式刺繍機が主流で、ワンポイント刺繍や名入れにとどまっており、デザイン性の高い刺繍や広範囲の連続柄を開発できていなかった。
  • 生産能力現行機は各ヘッド幅が可動範囲となり隣接ヘッドとの間が最大の加工横幅となるため、大物製品には刺繍柄が目立たなかった。
  • 生産能力現行機では隣同士で柄を連動させた連続柄の作製ができなかった。
  • 人手・技能県内刺繍業者の大半が後継者問題で存続が危惧されており、従業員の高齢化や人手不足などの人材面の課題も多かった。
  • コスト・採算国内の刺繍事業者は低賃金の海外業者との単価競争があり、生産性の高い刺繍機の導入が競争力強化に必要だった。

やったこと

20ヘッド型の加工エリア可変式刺繍機を導入した。Wアクション仕様では、ヘッド2つ分の可動領域を使い、刺繍柄の横幅を現行機の倍のサイズまで可能にした。20頭のうち奇数ヘッドのみを使用するため一度の生産数は減るが、刺繍が大型となり加工単価が上がるため付加価値と収益性が向上する。オーバーラップ仕様では、隣のヘッドとの可動範囲を重ね合わせ、幾何学模様や花などの連続柄を刺繍できるようにした。これによりシーツやタオルケットなどの大型商品から製品化前の反物生地まで広範囲の刺繍が可能となり、半製品として計画的に在庫を保有することも可能になった。

加工機20ヘッド型加工エリア可変式刺繍機(Wアクション、オーバーラップ仕様)

新しい製品・サービス:大柄・連続柄の刺繍を施したタオル製品、布帛製品への刺繍、タオル製品以外の製品への進出

事業の効果

  • 現行機に比べて導入機は約30%増(加工ヘッド15→20頭)
  • 加工ヘッド数 15頭→20頭
  • 現行機の倍のサイズまで刺繍柄の横幅が可能

20ヘッド型の加工エリア可変式刺繍機の導入により、これまでできなかった現行柄の倍のサイズや連続柄の刺繍が高効率で可能になった。刺繍柄のデザインの高度化、差別化、高付加価値化が図られ、生産効率アップや原価低減、生産性向上にもつながった。タオル製品以外の製品等への進出も可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    タオル業界向け刺繍業者として今治地区の製造業者から受注してきたと書かれ、既存事業との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県内刺繍業者の後継者問題や海外業者との単価競争を挙げ、得意先約20社・品質と価格の評価を踏まえて差別化の方向を示している。

  • 課題の認識と解決4

    従業員の高齢化や人手不足を課題とし、現行機比約30%増の加工ヘッド増と大柄・連続柄による付加価値向上を解決策として示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    現行機比約30%増の生産能力や原価低減は書かれるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数20名と代表者名のみが書かれ、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大柄・連続柄刺繍による差別化と、シーツやタオルケット等の大型商品への展開という顧客像と訴求点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    タオル以外の新商材への展開や商品開発の進行が書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ワンポイント刺繍が主流の中で大柄・連続柄を実現し、同一業界内で高付加価値化・高単価化を図る取組として読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    県内刺繍業者の存続危惧や後継者問題に触れており、地域産業の課題として雇用や地域への影響がうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    加工単価と収益性が向上すると書かれるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新型刺繍機の導入は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献に関する記述はわずかにうかがえる程度。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    今治地区のタオル製造業者との取引や地域産業の継続が課題として示され、地域の経済への寄与がうかがえるが具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

得意先からの受注に加え、大柄・連続刺繍により同業者との差別化と付加価値向上が期待でき、売上の増加を見込んでいる。タオルだけでなく新たな商材への活用も視野に商品開発を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。