ものづくり補助金平成26年度製造業福岡県

クラウド連携型肥育牛脂肪交雑(しもふり)推定装置の開発

株式会社ロジカルプロダクト

この事例のポイント

  • 超音波画像は人の目では判別しにくく、AIによる自動判定が必要だが、学習に必要なサンプルデータベースが装置内だけでは不足していた。
  • 本体に無線LANアクセス機能を搭載したB.M.S推定装置を開発し、無線LANアクセスポイントを介してクラウドにアクセスできる機能を備えた。
  • クラウド上でユーザーが登録した肥育牛情報と超音波画像、B.M.S格付結果を蓄積できるようになり、推定精度は利用が増えるほど高まる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ロジカルプロダクト
所在地福岡県 福岡市
業種情報通信機械器具製造業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数26人
資本金3,000万円
設立1994年

事業の背景

同社は無線技術を中心に、電子回路の設計・開発から組込ソフト、機構設計まで社内で一貫して手掛けている。牛肉の等級であるB.M.S(12等級)によって肉牛1頭の価格は70~200万円もの差がつく。しかしB.M.S格付けは出荷後の枝肉で判断されるため、肥育農家は途中の管理を判断しにくい。2010年から畜産試験場や大学と共同で、超音波画像をAIで解析しB.M.S値を推定する装置の開発に取り組んでいた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度超音波画像は人の目では判別しにくく、AIによる自動判定が必要だが、学習に必要なサンプルデータベースが装置内だけでは不足していた。
  • 品質・精度肥育牛の月齢や超音波画像取得時の深度ゲインなどの設定がデータベースと合わず、十分な推定精度が出せないケースがあった。
  • その他B.M.S格付けは出荷後の枝肉で判断されるため、肥育農家は肥育途中で飼養管理が適切か判断できず、先が読めない不安を抱えていた。

やったこと

本体に無線LANアクセス機能を搭載したB.M.S推定装置を開発し、無線LANアクセスポイントを介してクラウドにアクセスできる機能を備えた。超音波画像から抽出したパターンファイルとB.M.S結果をエクセルで編集し、データベースへ変換できるソフトも制作した。宮崎大学で肥育牛の超音波画像を大量に収集し、画像データと格付けB.M.S値を基に新たなデータベースを作成した。このデータベースをもとにクラウド上で推定を実行したところ、良好な結果が得られた。クラウド上では超音波エコー画像の測り方や診断画像のデータベースを確認でき、利用者同士が疑問の解決や意見交換をできる仕組みも用意した。

検査測定B.M.S推定装置(無線LANアクセス機能搭載)
ソフトクラウド連携型データベース・推定機能
ソフトパターンファイル・B.M.S結果のデータベース変換ソフト

新しい製品・サービス:クラウド連携型肥育牛脂肪交雑(しもふり)推定

事業の効果

クラウド上でユーザーが登録した肥育牛情報と超音波画像、B.M.S格付結果を蓄積できるようになり、推定精度は利用が増えるほど高まる見込みである。肥育農家は途中の段階で肉質の見通しを立てやすくなり、不安を減らして飼養管理の判断に役立てられる。利用者同士で疑問を解決できる場も生まれ、肥育農家の経営改善と安定化につながる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    無線技術や組込ソフトを社内で一貫して手掛けてきた経緯と、畜産試験場からの相談から装置開発に至った流れは読めるが、経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    肥育農家の先が読めない不安という外部課題と、無線・ハード設計を社内で一貫して行う強みは読み取れるが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    肥育農家が早めの出荷判断に迫られる課題を示し、クラウドDBで推定精度を高め経営改善につなげる具体的な方向性が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標値や付加価値額の数値は記載がなく、良好な結果が得られたという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制4

    大学、畜産試験場、宮崎大学、佐賀大学などと研究チームを編成し、従業員26人の体制で開発したことが具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    牛肉1頭の価格差が70〜200万円と示され、農家の不安という明確な顧客ニーズと、クラウドで簡単に使える機能が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    2014年のプロトタイプから、クラウド会員サービス化に向けた改善と仕組みづくりという今後の段階は示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    B.M.S推定の自動化は普及していない分野で、事例はその新規性と有望な輸出品となる可能性を示している。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    和牛の輸出拡大や後継者問題の解決につながる可能性が書かれており、国が支援する意義はうかがえるが、経済波及の数値はない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額と付加価値増加の関係は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献4

    超音波画像解析とクラウドDBを組み合わせ、利用者の増加で精度が高まる仕組みは、デジタル技術によるイノベーションの具体例である。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    畜産分野のデジタル化と輸出品化への言及があり、構造転換に資する方向性は読めるが、市場成長の数値は示されていない。

  • 地域経済への波及3

    福岡県や宮崎県、佐賀県の研究機関と連携した点は地域性が読み取れるが、地域の雇用創出や成長への具体的な記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

このクラウドサービスを会員向けに運用できるよう、さらなる改善と仕組みづくりを目指し、肥育農家の経営改善と安定化を支援していく。本システムが肥育農家に浸透し、良質な和牛の生産力が高まれば、日本の有望な輸出品となり、後継者問題の解決にもつながると期待している。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。