ものづくり補助金平成26年度製造業佐賀県

高周波焼入れ技術の導入により、コストダウンを可能としたマザーマシン生産体制の構築

株式会社 唐津プレシジョン

成果ベッド1本あたりの焼入れリードタイム 9日→3日

この事例のポイント

  • 中国製の大型旋盤が日本製より3割ほど割安で出回り、価格競争で不利になっている。
  • 既設の門型プレーナーに高周波焼入れユニットを設置し、大型旋盤の土台となるベッドの摺動面の剛性と耐磨耗性を高めるための焼入れ作業を自社で行えるようにした。
  • ベッド1本あたりの焼入れリードタイム 9日→3日。ベッドの高周波焼入れを自社で行えるようになり、外注にかかっていた時間とコストを大きく減らせる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 唐津プレシジョン
所在地佐賀県 唐津市
業種生産用機械器具製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数136人
資本金1億円
設立1916年

事業の背景

明治42年創業で、創業時から工作機械の製造・販売一筋に取り組んできた。大型旋盤、大型研削盤、ホブ盤、歯車形削り盤、歯車研削盤などを設計・製造している。工作機械市場はリーマンショックで一時大きく縮小したが、現在は回復傾向にある。日本製の高品質な工作機械には相応の付加価値があるものの、近年は中国を中心とした海外製工作機械と競合する場合もある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算中国製の大型旋盤が日本製より3割ほど割安で出回り、価格競争で不利になっている。
  • 納期・工程大型旋盤の土台となるベッドの高周波焼入れを遠方の外注先に頼んでおり、外注加工と運賃に時間とコストがかかっている。
  • 生産能力大型旋盤の受注を増やすためには、コスト削減、納期短縮、品質向上が必要である。

やったこと

既設の門型プレーナーに高周波焼入れユニットを設置し、大型旋盤の土台となるベッドの摺動面の剛性と耐磨耗性を高めるための焼入れ作業を自社で行えるようにした。装置は相見積もりの結果、㈱コウノセイキを通じて日本電子工業㈱製の装置を発注し、平成28年3月31日に納品され、据付後の4月5日に第1次焼入れテストを完了した。当社側の電力増強工事が4月20日に完了してフルパワー使用が可能になり、4月23日から25日に検収テストを実施した。テストはテーブル速度220mm/分、コイルと焼入れ対象物の隙間3mm、周波数20KHZの条件で行い、コイル形状や各種条件を変えながら試験を重ねた結果、クラックがなく硬度も良好だったため検収とした。

加工機高周波焼入れ装置(日本電子工業㈱製)
加工機高周波焼入れユニット(既設門型プレーナーへの設置)

事業の効果

  • ベッド1本あたりの焼入れリードタイム 9日→3日
  • 従来ベッド1本あたりの焼入れ外注に約80万円かかっていたが、費用面で大幅なコストダウンが見込まれる。

ベッドの高周波焼入れを自社で行えるようになり、外注にかかっていた時間とコストを大きく減らせる見込みである。焼入れのリードタイムは3分の1以下に短縮され、費用面でも大幅なコストダウンが見込まれる。ベッドの剛性と耐摩耗性が高まり、KARATS製大型旋盤の品質向上につながる。価格、納期、品質の各面でユーザーの利益を高め、競合他社との競争力向上をもたらすと考えられる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業108年で工作機械一筋とあり、大型旋盤の受注獲得を目的とした取組と位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国製大型旋盤が日本製より3割ほど割安との数字があり、品質面の優位性と価格競争の状況を踏まえた取組と読める。

  • 課題の認識と解決4

    外注の運賃・時間、ベッド1本あたり最大9日・約80万円の焼入れ外注コストという課題を示し、リードタイム3分の1以下の見込みが書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイムを3分の1以下に短縮、ベッド1本あたり約80万円のコスト削減の見込みを数字で示している。付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    相見積もりで装置を発注し、テストから検収まで段階的に実施した経緯が書かれている。人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型旋盤の品質向上と価格・納期面の優位性がユーザーメリットとして述べられているが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    テスト条件を変えながら段階的に検証し、クラックや材質の課題を特定して検収に至った経緯が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    大型旋盤の高付加価値化を図る内容だが、ジャンルの普及度や高水準化の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の工作機械メーカーの競争力向上という趣旨はうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果3

    外注費の削減とリードタイム短縮の数字は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    高周波焼入れの社内化という工程改善はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    佐賀県唐津市の地元企業で、地域の工作機械製造の競争力強化に取り組むと読めるが、地域波及の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ベッドの焼入れを夜勤で行う必要があるなど制約は残るものの、価格・納期・品質の面でユーザーの利益が高まり、競合他社との競争力向上につながると見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。