ものづくり補助金平成24年度山口県

自動薪供給装置付きハイブリッド燃料に対応した超省エネ食品乾燥機の開発

株式会社木原製作所

この事例のポイント

  • 椎茸農家の利益率を上げるには乾燥工程の省エネ化が重要だが、従来の灯油を使う乾燥機は燃料費がかかり、原油価格の変動にも影響を受けやすかった。
  • 椎茸乾燥機の燃料を灯油から薪に切り替え、平成17年の試作機で発生していた課題を改良して製品化を目指した。
  • 本事業で技術改良と新製品開発が計画どおり実施され、薪で要求水準を満たす乾燥を可能にする装置の開発に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社木原製作所
所在地山口県 山口市
業種生産用機械器具製造業
技術分野動力伝達
従業員数70人
資本金4,500万円
設立1951年

事業の背景

当社は明治35年創業の乾燥機メーカーで、国内トップシェアの葉たばこ乾燥機をはじめ、食品・農林水産物用乾燥機を主力製品としている。省エネ性能にも高い技術力があり、優秀省エネルギー機器表彰を含む多くの受賞歴がある。椎茸農家からは乾燥機の省エネ化への期待が高く、各業界でも環境や コスト意識が高まり、用途に応じた乾燥機への要望が以前からあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算椎茸農家の利益率を上げるには乾燥工程の省エネ化が重要だが、従来の灯油を使う乾燥機は燃料費がかかり、原油価格の変動にも影響を受けやすかった。
  • 新製品・新技術平成17年の試作機には、大きさや形状の異なる薪を着火点に確実に配置する技術、温度管理機能、燃焼炉の耐久性、搬送装置の省スペース化、操作盤の操作性といった課題が残っていた。
  • その他乾燥機の環境負荷を下げ、地域エネルギーである薪を活用して農家のコスト競争力に貢献できる乾燥機を開発する必要があった。

やったこと

椎茸乾燥機の燃料を灯油から薪に切り替え、平成17年の試作機で発生していた課題を改良して製品化を目指した。具体的には、大きさや形状の異なる薪を着火点に確実に配置する技術、温度管理機能、燃焼炉の耐久性向上、搬送装置の省スペース化、操作盤の操作性向上に取り組んだ。温度制御では、排気温度を測定して薪を自動挿入する「空間内温度制御システム」を開発し、搬送では省スペース・軽量化に優れた「棒状固形燃料保管搬送装置」を開発した。後者は特許出願中である。操作盤は山口県産業技術センターと共同で開発し、ボタン配置を工夫して高齢者も操作しやすくした。

新しい製品・サービス:薪を燃料とする省エネ・環境性能に優れた椎茸乾燥機(空間内温度制御システム、棒状固形燃料保管搬送装置を搭載)

事業の効果

本事業で技術改良と新製品開発が計画どおり実施され、薪で要求水準を満たす乾燥を可能にする装置の開発に成功した。薪の活用により灯油の燃料費が減り、椎茸農家の収益性向上が期待される。低炭素化された椎茸は産地の差別化やブランド化にもつながる。開発した技術は他用途の乾燥機にも展開し、若手社員の技術力と管理能力も向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    顧客とニーズの裏付け椎茸農家の要望、灯油比での省エネ効果、高齢者にも操作しやすい操作盤など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。
  • 4
    地域経済への波及山林の整備や地域エネルギーの活用、産地ブランド化、林業全体の活性化への寄与など、地域の特性を活かした波及が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果灯油使用量の削減効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に試作機を平成17年に完成し、灯油使用量を半減する乾燥機開発など継続的な取組が書かれ、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    椎茸農家の利益率向上や原油価格変動への対応、山林保有が多い点に触れ、外部環境と強みの関係がある程度読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    乾燥工程の省エネ化が農家の利益率向上の課題と書かれ、燃料費削減や収益性向上が期待されると述べられている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    灯油10の要求水準を満たす乾燥を可能としたと書かれているが、付加価値額や賃上げの目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    山口県産業技術センターとの共同開発、若手社員の参画、技術力向上が書かれ、体制の一部は読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    椎茸農家の要望、灯油比での省エネ効果、高齢者にも操作しやすい操作盤など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から製品化への改良点①〜⑤と次のユニット化など今後の研究開発計画が書かれ、スケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    新を燃料とする省エネ型椎茸乾燥機で、既存の灯油型と比べた差別化が書かれているが、市場の普及度に関する記述は薄い。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    間伐材活用による山林整備や地域エネルギー活用、産地のブランド化への貢献が書かれ、地域波及の方向性はうかがえる。

  • 費用対効果2

    灯油使用量の削減効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動挿入やセンサーによる温度制御など新技術が書かれるが、サプライチェーン全体への革新性の記述は限定的である。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    低炭素化や再生可能な地域エネルギーの活用が書かれ、政策方向との関連がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及4

    山林の整備や地域エネルギーの活用、産地ブランド化、林業全体の活性化への寄与など、地域の特性を活かした波及が具体的に書かれている。

今後の展望

現地搬入や組み立ての簡略化を目的に乾燥機のユニット化など新たな改善点を明確にし、研究開発を継続する。椎茸農家や関係機関、行政と連携し、省エネで環境にやさしい椎茸として産地のブランド化に貢献する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。