ものづくり補助金平成26年度サービス業(他に分類されないもの)長崎県

鉄スクラップの韓国輸出拡大のための革新的な放射能検査体制の構築

宝和金属株式会社

この事例のポイント

  • 韓国が日本からの鉄スクラップ輸入を規制し、輸出事業者による固定式の放射能検知測定が義務化された。
  • メーカーと協力して、1基の検知器で線量を測定できる移動型固定式放射能検知器を開発した。
  • 移動型の検知器により、港で直接線量を測定でき、測定のための輸送が不要になった。

事業者のプロフィール

事業者名宝和金属株式会社
所在地長崎県 長崎市
業種廃棄物処理業
従業員数33人
資本金1,000万円
設立1972年

事業の背景

宝和金属株式会社は、リサイクル資源となる鉄スクラップを国内外に販売している。建築ラッシュが続く韓国では品質に優れた日本の鉄スクラップの需要が高く、国別で見た日本からのスクラップ輸出量は第1位である。福島での原発事故を受けて韓国は日本からのスクラップ輸入を規制し、これまでの第三者機関への委託に加えて輸出事業者での固定式放射能検知測定を義務化した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信韓国が日本からの鉄スクラップ輸入を規制し、輸出事業者による固定式の放射能検知測定が義務化された。
  • コスト・採算従来方式の固定式検知器は基礎工事や配線埋設が必要で、工事費が膨大になり、対象物を検知器まで運ぶ輸送も現実的ではなかった。
  • 納期・工程鉄スクラップは相場があり受注後すぐに輸出する必要があるが、港と測定場所の往復では高値取引を逃すおそれがあった。

やったこと

メーカーと協力して、1基の検知器で線量を測定できる移動型固定式放射能検知器を開発した。この検知器は移動して設置できることが大きな特徴である。放射能測定が必要な際は検知器を港まで持っていき、その場で線量を測定できるようにした。従来はデスクトップ型パソコンで行っていたモニタリングを、移動が容易なノート型パソコンに対応させるためソフトウェアを改良した。

検査測定移動型固定式放射能検知器
ソフトモニタリング用ソフトウェア(ノート型パソコン対応)

新しい製品・サービス:移動型固定式放射能検知器

事業の効果

移動型の検知器により、港で直接線量を測定でき、測定のための輸送が不要になった。輸送コストは深堀岸壁・神ノ島岸壁の平均で約48%削減された。韓国との取引は設備導入後も売上を維持し、設備がなければ生まれなかった売上を含めると見た目以上の効果がある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性2

    鉄スクラップの韓国向け輸出拡大という方向性はうかがえるが、過去の取組との一貫性を示す記述は読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    韓国の建築ラッシュで日本の鉄スクラップ需要が高く輸出量が国別1位という外部環境と、品質の良い鉄スクラップを扱うという強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    固定式設備の導入で大口取引先への輸出に必須の測定を内製化する課題が明確で、輸送コストを約48%削減した数字も示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    輸送コスト約48%削減や韓国取引売上比率などの結果は示されるが、高付加価値創出や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    韓国の大口取引先への輸出時に検査が必須という顧客ニーズと、移動型検知器が選ばれる理由が1基で測定でき移動設置可能という点で整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    メーカーと協力して開発した経緯はあるが、遂行方法やスケジュール、課題解決の方法の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    放射能検知の移動型固定式設備は従来方式と比べた新しさが書かれるが、分野の普及度や高水準の高付加価値化の記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    韓国向け輸出という日本の鉄スクラップ貿易に関わる点はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は読み取れない。

  • 費用対効果4

    設備導入後の韓国取引売上比率25.3%や18%、輸送コスト約48%削減など、投入に対する効果の数字が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    移動型検知器や既存パソコンのノート型対応というデジタル面の工夫はあるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    長崎市の企業という地域性はうかがえるが、地域の特性を活かした経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。