ものづくり補助金平成27年度製造業岩手県

小型高周波電気炉導入による伝統鋳物の生産性向上と環境の改善

有限会社 南部鉄瓶元祖鈴木主善堂

成果自社内溶解作業の回数 1回/月→2回/月

この事例のポイント

  • 周辺環境の変化により、ススや煙の出る鉄溶解作業を自社内で行うことが難しくなっていた。
  • 電気を熱源とする小型高周波誘導加熱装置(小型高周波電気炉)を導入した。
  • 自社内溶解作業の回数 1回/月→2回/月。自社内で少量の鉄溶解が可能になり、試作品を含む多品種少量生産を効率的に行えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 南部鉄瓶元祖鈴木主善堂
所在地岩手県 盛岡市
業種金属製品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境,測定計測
従業員数7人
資本金500万円
設立1616年

事業の背景

当社は江戸時代より約400年にわたり南部鉄器や鉄製生活用品の製造を行っている。工房には店舗が併設され、鉄瓶や茶釜などの伝統工芸品、鍋などの民芸品や生活用品も販売している。周辺は住民の交代や業種変更が進み、粉塵や騒音、CO2排出を理由に甑炉による溶解作業の機会が激減した。リーマンショック以降落ち込んだ鉄製品の需要は、近年の景気回復と南部鉄器ブームにより盛り返している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力周辺環境の変化により、ススや煙の出る鉄溶解作業を自社内で行うことが難しくなっていた。
  • 人手・技能粉塵や騒音、CO2排出などの問題から甑炉を使った溶解作業の機会が激減し、他社の溶解鉄を買い入れる「もらい湯」に生産量を依存していた。
  • 納期・工程数十個単位の小ロット受注が増えているが、試作品を含む少量生産を外注しており、納期の調整が難しく多様な顧客ニーズに対応できずにいた。
  • コスト・採算「もらい湯」は鋳型や道具一式を持ち込む手間があり、一定量の型が確保できなければ生産コストに見合わなかった。

やったこと

電気を熱源とする小型高周波誘導加熱装置(小型高周波電気炉)を導入した。最大20kgまでの少量の鉄溶解が可能で、用途に応じて融解量を調整できる。粉塵・騒音・CO2を発生させずに良質な材料(溶解鉄、鋳鉄)を製造できる。本機の導入以降、自社内での溶解作業は年に1回程度から月に2回程度へ大きく増加した。装置の調整も兼ねた稼働を行っている。

加工機小型高周波電気炉(小型高周波誘導加熱装置)

事業の効果

  • 自社内溶解作業の回数 1回/月→2回/月

自社内で少量の鉄溶解が可能になり、試作品を含む多品種少量生産を効率的に行えるようになった。納期が短縮され、顧客の要望に応じた納期対応ができるようになった。もらい湯に比べ人的コスト・時間的コストが大幅に低減した。粉塵や騒音、CO2の発生がなくなり作業環境も改善し、伝統技術の担い手確保や工房見学による普及にもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    江戸時代から約400年の南部鉄器製造を続けてきたことや、もらい湯から自社溶解へ切り替えた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    数十個単位の小ロット受注増や、多様な顧客ニーズへの対応課題は読み取れるが、競争優位の根拠となる市場データや競合比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    もらい湯の納期調整の難しさを課題に挙げ、年1回から月2回程度への溶解回数増加で納期短縮と多品種少量対応を図る流れが具体的に読み取れる。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    溶解回数が年1回から月2回程度へ増えた点は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社員の負担軽減や職人の活躍に触れるだけで、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鉄瓶や茶釜、ドアノブ、鉄製食器など製品の種類と、顧客ニーズへの対応が書かれるが、ターゲットの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    導入後の溶解作業の回数や工房見学の計画は書かれているが、中長期の検証や実施スケジュールは明確ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    南部鉄器ブームによる需要回復は触れられるが、高付加価値化や高価格化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    国の伝統工芸技術の継承、有形民族文化財の工房、観光客誘致への効果が書かれ、公的意義はうかがえる。

  • 費用対効果3

    もらい湯の人的・時間的コストが大幅に低減したとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高周波誘導加熱というデジタル技術ではなく電気炉の導入で、新しいビジネスモデルや地域イノベーションへの言及はわずかにうかがえる。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    盛岡市指定の有形民族文化財を備えた工房で、工房見学による集客や伝統工芸の普及効果が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

伝統工芸品、鉄製品ともに技術力や開発力があれば需要は今後も伸びていくと思われる。本事業で整備した設備を生かし、顧客ニーズにきめ細かに対応して事業拡大を図りたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。