ものづくり補助金平成27年度製造業岩手県

自社独自の染色技術を活用した新商品の販路拡大と生産性向上

株式会社京屋染物店

成果1日(8時間)の処理量 1,665枚→6,000枚

この事例のポイント

  • 乾熱固着では1日(8時間)の処理量が1665枚にとどまり、生産量を増やせなかった。
  • 乾熱固着から蒸熱固着へ移行するため「蒸し箱」を導入した。
  • 1日(8時間)の処理量 1,665枚→6,000枚。蒸熱固着の導入により生産量が大幅に増加し、1日の処理量は1665枚から6000枚になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社京屋染物店
所在地岩手県 一関市
業種繊維工業
従業員数14人
資本金500万円
設立1919年

事業の背景

当社は大正8年創業の染物屋で、半纏、風呂敷、神社仏閣の門幕などの印染めを主たる事業とし、祭りを支える染物製品を提供してきた。2015年には「藍染刺子ジャケット」が「The Wonder 500」に認定されたことを機に、新商品開発と販路拡大を決意した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力乾熱固着では1日(8時間)の処理量が1665枚にとどまり、生産量を増やせなかった。
  • コスト・採算従来のボイラ(100kg/h)では85度の湯の生成に約90分かかり、その間作業が止まっていた。
  • 人手・技能洗浄がすべて手洗いで、半纏9着の洗浄に1回あたり3時間かかっていた。
  • 納期・工程藍染刺子ジャケットは1着の生産に約1カ月を要し、納品まで1年近くかかっていた。

やったこと

乾熱固着から蒸熱固着へ移行するため「蒸し箱」を導入した。蒸気で加熱するため生地の重なりに関係なくムラなく色を定着でき、1日(8時間)の処理量は乾熱固着の1665枚から6000枚に増加した。あわせて最大500kg/hの新型ボイラを導入し、85度の湯を10分で生成できるようにした。自動水洗機の導入により、1回あたり15着の洗浄を2時間で実施できるようにした。

加工機蒸し箱
その他新型ボイラ
加工機自動水洗機

新しい製品・サービス:自社ブランド「こはば」の手ぬぐい、バッグ、コースターなど、および藍染刺子ジャケットを中心とした新商品

事業の効果

  • 1日(8時間)の処理量 1,665枚→6,000枚
  • 85度の湯の生成時間 90分→10分
  • 自動洗浄機による洗浄能力 3着→15着

蒸熱固着の導入により生産量が大幅に増加し、1日の処理量は1665枚から6000枚になった。新型ボイラと自動水洗機により湯の生成と洗浄の作業効率が向上し、品質向上と作業時間の短縮が図られた。藍染刺子ジャケットはリードタイムが短縮され、生産量の増加と販売価格の引き下げに対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    100年の染物事業を基盤に、蒸熱固着への移行を新商品開発と販路拡大の強化に位置付けており、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自社一貫生産の強みと高評価の藍染刺子ジャケットに触れるが、市場動向との対比や競争優位の根拠の記述は少ない。

  • 課題の認識と解決4

    乾熱固着で1日1665枚だった処理量が蒸熱固着で6000枚になり、洗浄時間も短縮と、課題と効果が数字で示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量が約3.6倍の6000枚に増える目標と、新型ボイラ・自動水洗機で作業時間を短縮した実績が示されている。

  • 事業を進める体制2

    経営体制や人材、事務処理能力を補助事業遂行に充てる記述は見当たらず、わずかに職人の挑戦に触れるのみである。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    藍染刺子ジャケットの評価や顧客要望の販売価格引き下げへの対応は読み取れるが、ターゲットとニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後のヨーロッパ・アジア販路拡大や商品開発の方針は示されるが、スケジュールや遂行方法の具体性は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    手捺染や藍染など伝統的な染色の高付加価値品を扱い、国内外の高評価に触れるが、市場の普及度との比較は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    日本古来の染めの技術や祭りを支える点に触れるが、波及効果や雇用創出への言及は具体的ではない。

  • 費用対効果3

    設備導入で生産量増加や作業時間短縮が示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    ボイラ・自動洗浄機の導入は示されるが、デジタル技術や新ビジネスモデルでサプライチェーンに貢献する内容は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    伝統技術と和服の現代的提供は触れるが、日本経済の構造転換や成長分野への進出との関係は読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    岩手県一関市の老舗として祭り用品を手がける地域性に触れるが、地域経済の牽引に関する記述は限られる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はヨーロッパやアジアへの販路拡大も視野に入れ、さらなる商品開発に力を注いでいく。

事業者の声

日本古来の染めの技術と和服のあり方を、現代の人々が暮らしの中で楽しめるよう、変わらない技術を持って提供することが当社の使命であり、取り組んでいく課題である。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。