ものづくり補助金平成27年度製造業福島県

超微粒子の野菜・果物パウダーの開発と機能性素材の高付加価値商品化

有限会社白虎食品

この事例のポイント

  • 既存顧客の売上を伸ばし、新規顧客層にもアプローチできる商品を増やす必要があった。
  • 会津小菊南瓜、オタネニンジン、茎立、サツマイモ(干しイモ)を素材に超微粒子パウダーを試作・開発した。
  • 試作した超微粒子パウダー4点すべてが試食評価で「商品化可能」と評価された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社白虎食品
所在地福島県 会津若松市
業種食料品製造業
従業員数20人
資本金700万円
設立1981年

事業の背景

当社は会津の素材を生かしたカット野菜の製造やドライ真空加工を行う食品加工会社である。年々市場が拡大している中食産業をメインターゲットにする一次加工食品メーカーで、小売向けの最終商品も製造している。会津地域には当社以外に一次加工食品メーカーがなく、ほぼ市場を独占していた。近年は大手メーカーがカット野菜やドライ真空加工に進出し始めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信既存顧客の売上を伸ばし、新規顧客層にもアプローチできる商品を増やす必要があった。
  • 新製品・新技術市場での優位性を保つため、より付加価値の高い商品を開発することが欠かせなかった。
  • その他近年は大手メーカーがカット野菜やドライ真空加工に参入し始め、会津地域で続いてきた市場の独占状態が揺らいでいた。

やったこと

会津小菊南瓜、オタネニンジン、茎立、サツマイモ(干しイモ)を素材に超微粒子パウダーを試作・開発した。乾燥が不完全だと粉砕時に水分で粒子が粗くなったり均一化されなかったりするため、いずれの野菜もスライサーで2mm角にカットしてから乾燥させた。通常の商品は70μm~300μm程度の粗粉が主流だが、茎立、会津小菊南瓜、サツマイモ(干しイモ)は30μm、オタネニンジンは20μmに設定して粉砕し、超微粒子の試作品を完成させた。20μmの超微粉砕が可能な粉砕機と根菜皮むき機を導入して活用した。完成した試作品4点は、地元大手菓子店の商品開発担当者、ホテルのレストランのシェフ2名、大手スーパーのバイヤーが試食評価し、4点すべてが「商品化可能」と評価された。

加工機超微粉砕が可能な粉砕機(20μm)
加工機根菜皮むき機

新しい製品・サービス:会津伝統野菜を素材にした超微粒子パウダー(会津小菊南瓜、オタネニンジン、茎立、サツマイモ(干しイモ)など)

事業の効果

試作した超微粒子パウダー4点すべてが試食評価で「商品化可能」と評価された。これを受けて20μm~30μmの超微粒子パウダー野菜・果物の商品化に向けた事業を継続し、粉末の委託加工および自社商品の展開を行う体制を構築した。既存のカット・乾燥技術に粉砕加工技術が加わったことで、野菜や果物の一次加工内容をほぼ網羅でき、総合一次加工メーカーとして市場拡大を図る体制が整った。試作したサツマイモ(干しイモ)パウダーは、生の状態と比べタンパク質や脂質などすべての栄養素で高い上昇率が認められ、少量でも栄養を摂取できるため新規顧客の獲得も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のカット野菜・ドライ真空加工の延長として粉砕加工に進出した流れは読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    会津地域で同業他社がほぼなく市場を独占している状況、大手メーカーの参入に対する優位性維持の必要性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    既存顧客の売上拡大と新規顧客層へのアプローチという課題を示し、超微粒子パウダーの商品化に向けた事業継続が書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、粒度20μmや4点中4点の商品化評価がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    委託加工および自社商品展開の体制を構築したとあり、HACCP対応工場や生産設備の活用は読めるが人材面の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    介護食・病院食・離乳食など市場拡大分野、4点すべてで商品化可能との試食評価など、ターゲットと需要の裏付けが具体的。

  • 事業化までの道筋3

    今後の商品開発や海外販売促進の計画は触れられているが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超微粒子パウダー(20~30μm)は通常の70~300μm粗粉と比べ高付加価値化を図るものとして具体的に示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地元会津の農業振興や雇用への貢献、JAグループとの連携に触れるが、国が補助する積極的理由としては具体性が薄い。

  • 費用対効果2

    既存の設備とノウハウを活用し費用を抑えて高い投資効果が得られるとあるが、補助金額に対する数値の記載はない。

  • イノベーションへの貢献2

    粉砕技術の導入による新商品開発は読めるが、先端デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はほぼない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    介護食・健康食品など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換との関連は書かれていない。

  • 地域経済への波及5

    会津の伝統野菜を活かし、地元生産者や農業高校と協力して地域の農業振興に貢献する事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地元生産者と協力し、会津産の野菜や果物を使った通年で販売できる付加価値の高い商品づくりを進めていく予定である。JAグループと協力して県産果物を加工し、海外での販売促進につなげる計画も進行中である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。