ものづくり補助金平成27年度製造業群馬県

チェーン刺繍技術を応用した伸縮性に優れた立体刺繍製品の開発

この事例のポイント

  • 既存のケミカルレース設備では、袖口・襟周り・裾回りなど伸び縮みが激しい部分には使用できない。
  • 伸縮部位への利用を可能にするため、ストレッチ糸による刺繍が可能なチェーン刺繍機を新規に導入した。
  • ピリング試験と破裂強さ試験では目標値を大幅に上回った。

事業者のプロフィール

所在地群馬県 桐生市
業種繊維工業
技術分野立体造形
従業員数3人
設立1955年

事業の背景

当社は主に婦人用生地への装飾刺繍加工を行う刺繍業者で、高い技術力が要求されるケミカルレースをコア技術としている。近年、ケミカルレース技術により立体造形物を刺繍でつくれるようになり、パーティやブライダルなどで立体感と高級感のある刺繍装飾が好まれている。従来の刺繍は基布の上に装飾を施すものだったが、ケミカルレース技術により独立した衣服の部品としての用途活用が可能になった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存のケミカルレース設備では、袖口・襟周り・裾回りなど伸び縮みが激しい部分には使用できない。

やったこと

伸縮部位への利用を可能にするため、ストレッチ糸による刺繍が可能なチェーン刺繍機を新規に導入した。このチェーン刺繍機を用いてケミカルレースの試験片を試作した。チェーン刺繍と既存技術である平刺繍のそれぞれの試験片を用いてケミカルレース加工を施した試作品を製作した。糸の素材は、チェーン刺繍はポリエステル100%のストレッチ糸、平刺繍はレーヨン100%である。試作品の実用化評価のため、平刺繍とチェーン刺繍それぞれのケミカルレース試験片を用いて群馬県繊維工業試験場で物性試験を実施した。さらに取引先にヒアリングを行い、試作したサンプルを評価してもらった。

加工機チェーン刺繍機

新しい製品・サービス:チェーン刺繍機を用いた伸びるケミカルレース(伸縮性に優れた立体刺繍製品)

事業の効果

ピリング試験と破裂強さ試験では目標値を大幅に上回った。伸び率試験は目標値をわずかに下回ったものの既存技術を大幅に上回り、実用化に問題はないとされた。一方、引裂強さ試験と引張強さ試験は目標値を大きく下回ったが、これらは三越伊勢丹グループの必須項目ではなく商品化は可能とされる。取引先からは「ストレッチ性のある服に刺繍できる可能性を感じた」との評価を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来のケミカルレース技術を衣服部品へ展開する流れが書かれているが、過去の取組との連続性や経営戦略上の位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    三越伊勢丹グループの要求品質や取引先ヒアリングに触れ、高級感の需要は読み取れるが、競合に対する優位性の具体的な比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    袖口や襟周りで伸縮性がないという課題が明示され、解決策として伸びるケミカルレースの開発が示されているが、事業計画の成長見込みは薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    引裂強さ・引張強さは目標値を大きく下回ったと書かれ、伸び率はわずかに下回った程度で、高付加価値化の目標値の実現性は読み取りにくい。

  • 事業を進める体制2

    従業員数3人、担当の業務体制や事務処理能力について記載はわずかで、体制は間接的にしかうかがえない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    婦人用生地への刺繍、パーティやブライダル需要、袖口・襟周りの用途、取引先ヒアリングの評価など、ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    取引先2次加工メーカーを通じた一流ブランドへの技術提案という展開方法は示されているが、スケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ケミカルレースは立体感と高級感を持つ刺繍で、従来の服地上の装飾とは異なる用途を開拓する点が書かれ、高付加価値化の方向性が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域の繊維業の技術継承や雇用への言及はなく、国が補助する積極的な理由はわずかにうかがえる程度である。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえるのみ。

  • イノベーションへの貢献2

    チェーン刺繍機による新たな刺繍技術の開発は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーンへの波及は記載がない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    桐生市の繊維業者であることは書かれるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済への波及は記載がない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

袖口や襟周りなどの伸縮部分での用途を提案し、衣服への立体刺繍加工の分野で製品展開を行う。取引先二次加工メーカーを通じて一流ブランドへ技術提案を行い、販路開拓を図る。引裂強さは刺繍糸の密度と強度の変化を調査し、強度向上を追求する。

事業者の声

ストレッチ性のある服に刺繍できる可能性を感じた

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。