ものづくり補助金平成24年度大阪府

不織布の加工技術を用いたディスポーザブル「腹腔鏡手術器具ホルダー』の試作開発

株式会社工販

成果目標金額を13〜15%下回る製造価格を達成

この事例のポイント

  • 手術時に腹腔鏡手術器具が床に落下すると衛生上再使用できず、高額な器具が使い捨てになって医療機関の経済的負担が大きい。
  • 大阪大学の協力のもと、不織布加工に強い大衛株式会社と、プラスチック加工技術を持つ株式会社工販が共同で腹腔鏡手術器具ホルダーの試作品を開発した。
  • 目標金額を13〜15%下回る製造価格を達成。試作品の検証により、臨床使用中の器具落下事故が1件も発生せず、器具の受け渡し回数が激減した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社工販
所在地大阪府 大阪市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数220人
資本金5.196億円
設立1927年

事業の背景

大衛株式会社は昭和初期に創業し、戦後一貫して衛生材料の製造販売を続けてきた。産科・婦人科分野の衛生材料に強く、産科用品では全国シェア約40%を持つ。自社ブランド「アメジスト」シリーズは業界で知名度が高い。1990年代前半に導入された腹腔鏡手術は国内の実施件数が飛躍的に増えており、この市場の拡大が背景にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術手術時に腹腔鏡手術器具が床に落下すると衛生上再使用できず、高額な器具が使い捨てになって医療機関の経済的負担が大きい。
  • 新製品・新技術腹腔鏡手術では術者の手が腹腔内に入らないため、器具の受け渡しや出し入れの手間が多く、手術効率と器具出し看護師の負担に課題がある。

やったこと

大阪大学の協力のもと、不織布加工に強い大衛株式会社と、プラスチック加工技術を持つ株式会社工販が共同で腹腔鏡手術器具ホルダーの試作品を開発した。不織布製のポケット部は大衛が担当し、プラスチック製の開口部は工販が担当した。術者の体型差やモニターを見ながらの出し入れやすさを考慮して形状を何度も改良し、先端が130℃以上になるデバイスに対応するためポケット部の耐熱性を検証した。大阪大学の外科医による機能・操作性・装着性の検証と、実際の腹腔鏡手術での試用試験を行った。耐熱不織布を見直して製造コストを目標より13〜15%下回る価格を達成し、2014年度中の上市時期の目処も立てた。

新しい製品・サービス:腹腔鏡手術器具ホルダー(エンドエプロン/ENDO APRON)

事業の効果

  • 目標金額を13〜15%下回る製造価格を達成
  • 臨床使用中の手術器具の落下事故は1件も発生せず
  • 市場規模 500万円→2,000万円

試作品の検証により、臨床使用中の器具落下事故が1件も発生せず、器具の受け渡し回数が激減した。手術効率の向上と器具出し看護師の負担軽減に手ごたえを得た。製造コストは目標より13〜15%下回り、2014年度中の上市時期も見通せるようになった。特許権・意匠権・商標権の出願も終え、製品は上市済みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    付加価値・賃上げの目標市場を約500万円から3年後に2,000万円へ拡大する目標が数字で示されている。賃上げ目標はない。
  • 4
    事業を進める体制大衛が不織布、工販がプラスチック開口部を分担し、大阪大学の外科医と協力して検証した体制が具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け手術器具の落下事故防止や器具受け渡し回数の激減など、顧客ニーズと効果が具体的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用医療機関の経済的負担軽減や看護師の負担軽減が期待できると書かれ、社会的意義はうかがえるが、波及効果の数値はない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    現場ニーズから腹腔鏡手術器具ホルダーを開発し、産科分野で全国シェア約40%の事業との関連が示されているが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    産科用衛生材料で全国シェア約40%、4つの自社ブランドを持つ強みが書かれ、外部環境との関係は一部読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    手術器具の落下による経済的負担や手術効率低下という課題が示され、製品で解決を図る方向は読み取れるが、成長計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標4

    市場を約500万円から3年後に2,000万円へ拡大する目標が数字で示されている。賃上げ目標はない。

  • 事業を進める体制4

    大衛が不織布、工販がプラスチック開口部を分担し、大阪大学の外科医と協力して検証した体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    手術器具の落下事故防止や器具受け渡し回数の激減など、顧客ニーズと効果が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    量産体制を3年で確立する予定や胸腔鏡・子宮鏡への展開計画が書かれているが、遂行方法は概略にとどまる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    腹腔鏡手術器具ホルダーは新しい分野の製品で、製造コストを目標より13〜15%下回る価格を達成したと書かれている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    医療機関の経済的負担軽減や看護師の負担軽減が期待できると書かれ、社会的意義はうかがえるが、波及効果の数値はない。

  • 費用対効果3

    製造コストを目標より13〜15%下回らせ、手術器具の落下防止効果が示されているが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    大学との共同開発や不織布とプラスチックの組み合わせが書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    神戸や大阪の企業間の共同開発が書かれるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は薄い。

今後の展望

3年後の量産体制確立と市場規模2,000万円を目指す。長期的には素材見直しによるさらなる価格低減、胸腔鏡手術や子宮鏡手術への分野展開、海外販売も視野に入れる。

事業者の声

製品開発には多額の開発費用が必要なため、弊社のような中小企業にとっては一歩踏み出すことが困難でした。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。