ものづくり補助金平成27年度製造業千葉県

CNC旋盤導入による腹腔鏡下用巾着縫合器の早期製品化

株式会社平田精機

この事例のポイント

  • 手術中に執刀医が器具を組み立てる必要があり、手技が確立していなかった。
  • 腹腔鏡下用巾着縫合器について、既製品から製品形状・仕様を見直し、先端部品をコンパクトにして組み立てを不要とし、5mmトロカー創から挿入できるようにした。
  • 本事業で開発した腹腔鏡下用巾着縫合器は2017年4月に完成し、共同開発した医師が日本消化器外科学会総会などで有用性を発表した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社平田精機
所在地千葉県 市川市
業種業務用機械器具製造業
技術分野デザイン,精密加工
従業員数13人
資本金1,000万円
設立1969年

事業の背景

当社は長年の精密機械部品や金型の製造で培った精密加工技術を活かし、内視鏡下外科手術用の洗浄・滅菌して再使用する器具を開発・製造してきた。2011年に外科医と共同開発した低侵襲手術用鉗子「細径鉗子 Endo Relief」は国内約400病院で使用され、韓国・台湾にも輸出している。手術の低侵襲化が進む中で、より高度な技術を支える医療機器の開発が不可欠になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手術中に執刀医が器具を組み立てる必要があり、手技が確立していなかった。
  • 品質・精度既存製品では形状と操作性・安全性の改善が必要だった。
  • 人手・技能部品の大きさが1mm以下から数10cmまで幅広く、形状も複雑化していた。

やったこと

腹腔鏡下用巾着縫合器について、既製品から製品形状・仕様を見直し、先端部品をコンパクトにして組み立てを不要とし、5mmトロカー創から挿入できるようにした。また、食道胃接合部癌への対応として器具先端が屈曲するようにした。高精度複雑形状加工が可能な新規CNC旋盤を導入し、段取時間の削減と加工精度・加工速度の向上により生産を効率化した。

加工機CNC旋盤

新しい製品・サービス:腹腔鏡下用巾着縫合器

事業の効果

本事業で開発した腹腔鏡下用巾着縫合器は2017年4月に完成し、共同開発した医師が日本消化器外科学会総会などで有用性を発表した。開腹手術と同じ手技で食道空腸吻合を簡便に行える器具は他になく、手技の標準化により腹腔鏡下胃全摘術がさらに安全に行えることが期待されている。新設備により精度・加工速度が向上し、満足のいく製品を製造できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    2011年の細径鉗子や既製品からの改良など、医療機器開発を継続してきた経緯が具体的に書かれ、今回の巾着縫合器も一貫した取組として読める。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内約400病院で使用、韓国・台湾へ輸出と数字が示され、性能面・価格面の優位性が学会で評価されたと読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    手術中に組み立てる手間が課題と明確に認識され、先端部品のコンパクト化で5mmトロカー挿入を可能にする解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかに製品化後の期待がうかがえるのみである。

  • 事業を進める体制3

    従業員13名で外科医との共同開発体制が書かれるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    外科医からの直接依頼というニーズの裏付けと、胃全摘後の食道空腸吻合を開腹手技で行える点という選ばれる理由が具体的である。

  • 事業化までの道筋3

    2017年4月完成、学会発表など経過は示されるが、中長期の課題検証や遂行スケジュールの記述は限定的である。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    医療機器の中でも医師と共同開発した特殊な内視鏡用器具で、同分野で独自の屈曲機構を持つ点が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    医療費抑制や低侵襲化への効果がわずかに触れられるが、雇用創出や波及効果の具体的な記述はない。

  • 費用対効果2

    CNC旋盤導入で段取時間削減や加工速度向上が述べられるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    医工連携や精密加工技術の融合は書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は具体的に読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    千葉県市川市・鎌ケ谷市の地域企業として医工連携に取り組む点は読めるが、地域の経済成長への牽引は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業により導入された設備と、培ってきた精密加工技術・少量生産のノウハウを融合・発展させ、ものづくり企業として医工連携による手術器具の開発を引き続き進める。

事業者の声

自分が望む手術をするために、平田さんと平田さんの会社がなくては手術がうまくいかない。そう思っている内視鏡外科医はたくさんいます。感謝しかないですね。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。