ものづくり補助金平成27年度製造業千葉県

航空宇宙・医療分野等で使用される超小型部品製造に貢献する高精度平坦度の金属箔の連続生産方法の開発

株式会社日本クロス圧延

成果生産性(1日あたり) 60m/日→480m/日

この事例のポイント

  • 従来の金属箔は平坦度が1000㎜/1㎜程度で、精密なフォトエッチング加工に必要な1000㎜/0.1㎜の平坦度を満たせなかった。
  • 既存の連続焼鈍炉を改良し、低コストでテンションアニールに対応できるようにした。
  • 生産性(1日あたり) 60m/日→480m/日。試作品の平坦度は1000㎜/0.1㎜の精度で生産できることを検証し、評価したすべての材料で精度を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社日本クロス圧延
所在地千葉県 茂原市
業種非鉄金属製造業
技術分野精密加工,複合・新機能材料
従業員数30人
資本金2,525万円
設立1973年

事業の背景

平成26年度に経営革新計画の承認を受け、高機能金属材料を少量・短納期で製造販売する新ブランド「R&D Materials」を立ち上げた。航空機・宇宙産業や医療機器産業などの新成長分野の企業や研究機関から、フォトエッチング加工に対応できる平坦度に優れたフルフラット材料のニーズが多いことが分かった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の金属箔は平坦度が1000㎜/1㎜程度で、精密なフォトエッチング加工に必要な1000㎜/0.1㎜の平坦度を満たせなかった。
  • コスト・採算平坦度を改善するために材料を短く切断して1枚ずつ処理する方法は、一度に処理できる数量が少なく高コストになっていた。
  • 品質・精度材料を重ねて処理するため傷がつきやすいという品質上の問題があった。

やったこと

既存の連続焼鈍炉を改良し、低コストでテンションアニールに対応できるようにした。連続焼鈍処理が1100℃で行うのに対し、テンションアニールに適した400℃前後でも炉内の均熱制御により使用できることを確認した。張力は焼鈍処理の50㎏に対して300㎏以上が必要となるため、コイラーのベルト摩擦方式をパウダークラッチに替えて高張力を安定して発生させた。さらに材料の左右で張力を制御し、曲がりをエッジコントローラーで検出して自動で修正できるようにした。炉内に高温で使用可能なセラミックロールを設置し、材料を挟んで物理的に平坦度を修正できるようにした。

加工機連続焼鈍炉(改良)
加工機パウダークラッチ(コイラー)
検査測定エッジコントローラー
その他高温用セラミックロール

新しい製品・サービス:テンションアニール技術によるフルフラット材料

事業の効果

  • 生産性(1日あたり) 60m/日→480m/日
  • 製造コスト 3,000円/m→500円/m
  • 平坦度 1mm(1000mmあたり)→0.1mm(1000mmあたり)

試作品の平坦度は1000㎜/0.1㎜の精度で生産できることを検証し、評価したすべての材料で精度を達成した。生産性は従来の8〜10倍に上がり、製造コストも大幅に下がった。擦り傷が発生しない品質面の利点も得られた。台湾、韓国、ASEANの電子部品メーカーから引き合いが大幅に増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成26年度に経営革新計画の承認を受け、新ブランドR&D Materialsを立ち上げた流れを踏まえ、フルフラット材料開発が既存の事業展開と一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    航空機・宇宙・医療機器の研究開発者向けニーズを把握し、平坦度1000mm/0.1mmという高精度を実現する点で競争優位性を示している。

  • 課題の認識と解決4

    従来は短く切断して平坦度を改善し高コストだった課題を示し、生産性60m/日から480m/日、コスト3000円から500円/mという数字で解決を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    生産性が60m/1日から480m/1日、製造コストが3,000円/1mから500円/1mへと具体的数値で目標と実績が示され、精度達成も検証されている。

  • 事業を進める体制2

    社長と担当者のコメントから開発体制はうかがえるが、人材や事務処理能力の具体的な確保状況は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    台湾・韓国・ASEANの電子部品メーカーから引き合いが増えているとあり、顧客ターゲットとニーズの裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    既存連続焼鈍炉の改良、コイラー制御、セラミックロール設置という実施内容は示されるが、中長期のスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    フルフラット材料は一般的な金属箔(1000mm/1mm)より高精度な0.1mmを実現し、同分野で高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    航空宇宙・医療分野の新成長分野向け材料とあり、日本のものづくりへの貢献はうかがえるが、波及効果や雇用創出の数値は示されない。

  • 費用対効果4

    生産性8倍・製造コスト約6分の1への改善が示され、既存炉の改良で低コストに開発した点から費用対効果の高さが読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    テンションアニールと制御技術の開発はうかがえるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    新成長分野の航空機・宇宙・医療機器向けの材料とあり、構造転換への寄与がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

台湾、韓国及びASEANの電子部品メーカーから引き合いが大幅に増えており、今後も国内外への販路開拓を進めてフルフラット材料の需要が増加すると予測している。

事業者の声

弊社は「高機能材料で日本の技術を支えます!」を会社の目的と掲げています。今回の技術開発で高精度な部品を製造するために欠かせない高精度なフルフラット素材を製造することに成功しました。この新しい技術が「日本のものづくり」のお役に立てれば幸いです。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。