ものづくり補助金平成27年度製造業富山県

縫製による組み立て技術の確立により、金属・接着剤を使用しない製作工程を実現

黒部紙業株式会社

この事例のポイント

  • 従来は接着剤や固定金具を使ってボビンを組み立てており、接着剤が乾くのを待つ必要があって工程に時間のロスが生じていた。
  • ボビンは紙製であり、プラスチック製に比べて低コストで製造でき、処分しやすく回収が不要という利点がある。
  • 接着剤の乾燥待ちが不要になり、製作工程が短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名黒部紙業株式会社
所在地富山県 黒部市
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野機械制御
従業員数28人
資本金1,000万円
設立1959年

事業の背景

当社は段ボールをはじめとする各種紙を使った加工品の製造・販売を行っている。段ボール箱などの梱包用パッケージが売上のおよそ半分を占め、残りの半分は特殊な形状の紙工作品によるものである。大規模な生産設備を備えた競合他社も多く、大量生産のパッケージではコストの面で優位性を打ち出しにくいため、顧客の要望に応じたオーダーメイドの製品に特化して差別化を図ってきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来は接着剤や固定金具を使ってボビンを組み立てており、接着剤が乾くのを待つ必要があって工程に時間のロスが生じていた。
  • コスト・採算接着剤や固定金具を用いた組み立ては工程が長く、製作工程の短縮が求められていた。
  • 納期・工程顧客から金属類の使用を最小限に抑えることを求められる場合が少なくなく、接着剤と巻き取る製品の素材が化学反応を起こして変色などに至る可能性もあった。

やったこと

ボビンは紙製であり、プラスチック製に比べて低コストで製造でき、処分しやすく回収が不要という利点がある。従来は接着剤や固定金具で組み立てていたが、本事業では縫製による組み立て技術の確立をめざした。ボビンの形状に沿って曲線で縫い付けられる機械は当時存在しないと思われたため、直線で縫製を行う装置を改良することとなった。円形に二重の縫製を行う必要があり、当初は真円に近い形で縫製できなかったが、富山県立大学と連携して装置の改良を行い、各方面の意見を仰いで検討・改良を重ねた。平成28年末には製品化に堪えるレベルの縫製ができるようになった。

加工機改良された縫製装置

新しい製品・サービス:縫製によるボビン

事業の効果

接着剤の乾燥待ちが不要になり、製作工程が短縮された。金属や接着剤を使わない製作工程を実現し、製品の環境対応を推進できた。縫製による製作の打診を複数社から受けるなど新たな受注につながっている。展示会への出展も行い、一般・企業いずれの参加者からも大きな反響があった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    段ボール加工・紙工作品が売上の半分を占めるとあり、紙製ボビン製造への継続的取組は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大規模設備の競合が多い中、オーダーメイド特化で差別化する方針と、技術スタッフの多さが強みとして書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    接着剤乾燥待ちの時間ロスや金属使用制限という課題認識はあるが、高付加価値化の具体的な数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    受注打診が複数社あるとのみ記載され、付加価値や賃上げの目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    富山県立大学との連携や技術スタッフを多く擁する体制が書かれているが、人員や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    環境対応や処分のしやすさなど紙製ボビンの利点と顧客要望への対応が示されているが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    平成27年から28年末の製品化、29年の展示会4回予定など時期の流れはあるが、課題解決の詳細な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    紙製ボビンは金属・接着剤を使わない点が特徴で、特殊な形状対応など高付加価値を狙う方向性はうかがえる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    環境対応や金属使用の抑制が挙げられているが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    製作工程の短縮は示されるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    VRを活用した疑似工場見学など新しい取組はあるが、サプライチェーンへの貢献としては具体性が薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    富山県の大学との連携や黒部市の企業である点はうかがえるが、地域経済への牽引効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

縫製によるボビン製作の打診を複数社から受けている。今後は品質をさらに向上させ、多様な規格に沿った縫製ができるよう装置の改良に取り組んでいる。平成29年中に4回の展示会出展を予定しており、知名度向上と新たな依頼獲得をめざす。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。