ものづくり補助金平成27年度学術研究、専門・技術サービス業石川県

奥能登珠洲「揚げ浜式製塩法」に導入する製塩システム開発と製塩事業

株式会社Ante

この事例のポイント

  • 揚げ浜塩の生産量を上げ、市場に安定して供給する必要があった。
  • 海水を濾過装置に通して高濃度塩水処理を行うことで、限られた日照時間を効果的に利用して乾燥させた。
  • 新システムの導入により製塩作業の効率が向上し、作業時間が短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社Ante
所在地石川県 珠洲市
業種専門サービス業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金300万円
設立2009年

事業の背景

弊社は創業以来、地域資源を活用した商品開発や限界集落活性化事業に取り組んできた。500年以上の歴史を持つ揚げ浜式製塩法で作られる塩を使ったサイダーや食品は地元で愛され全国に流通し、香港・シンガポールなど海外への販路も確立していた。しかし揚げ浜式製塩法を行っているのは能登半島だけであり、揚げ浜塩は希少で入手困難になっていた。地域では放棄された塩田や農地の増加、高齢化、限界集落化、後継者不足により伝統継承が途絶える危険性が浮き彫りとなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力揚げ浜塩の生産量を上げ、市場に安定して供給する必要があった。
  • 人手・技能揚げ浜式製塩は塩田不足と後継者不足に直面し、重労働のため塩が不足していた。
  • コスト・採算従来の方法での揚げ浜式製塩法は採算が合わなかった。
  • 新製品・新技術既存商品の一部が製造・販売できず、新商品開発も進まなかった。
  • 納期・工程製塩作業は夏の炎天下の時間帯に集中して行われ、天候に左右されていた。

やったこと

海水を濾過装置に通して高濃度塩水処理を行うことで、限られた日照時間を効果的に利用して乾燥させた。さらに釜焚きの時間を短縮し、エネルギーを抑えた。これにより体力的な作業負担を軽減し、作業効率化を図った。従来の揚げ浜式製塩法の工程に新プロセスを導入し、製造環境を改善した。放棄された塩田を再び塩田として復活させ、揚げ浜塩の生産振興に取り組んだ。

その他濾過装置
その他釜

新しい製品・サービス:揚げ浜塩を使った新商品

事業の効果

新システムの導入により製塩作業の効率が向上し、作業時間が短縮された。放棄された塩田を復活させ、揚げ浜塩の生産量が増加し安定供給につながった。製塩の作業により地元雇用が生まれ、伝統継承につなげている。揚げ浜式製塩法の後継者も確保できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の地域資源活用商品開発や限界集落活性化に取り組んできたと書かれ、製塩事業参入は一貫性があるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    揚げ浜塩は希少で入手困難との外部環境と、サイダーの全国流通・香港等海外販路という強みが書かれるが、競争優位の定量的根拠は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    採算が合わない問題や塩不足を課題として認識し、一部機械化で効率化する対応が示されている。成長への数値目標は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量の増加や安定供給は目指すとあるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    生産者や行政と協力体制を確立し、製造工程の視察と検証を重ねたと書かれるが、人員確保は今後の課題として述べられている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    揚げ浜塩の希少性や地元で愛される商品という価値は読み取れるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けの具体性は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    濾過装置による高濃度塩水処理で日照時間の活用と釜焚き時間の短縮を図る手段は示されるが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    揚げ浜式製塩法は唯一能登半島にのみ残る希少な製法で、普及度が低い分野への取組と読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    放棄された塩田を復活させ、地元雇用を生み伝統継承につなげた点が具体的に書かれ、地域波及の積極的理由がうかがえる。

  • 費用対効果2

    作業効率向上や時間短縮は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    濾過装置による製造工程の改善は書かれるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの活用は読み取れない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    塩を一大産業とし観光事業にも広げる構想が述べられるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出とは明示されていない。

  • 地域経済への波及5

    奥能登珠洲の揚げ浜式製塩法を地域資源として活かし、地元雇用や限界集落の塩田復活につながる点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

塩の製造部門の人員確保に努め、引き続き安定した質のよい塩の生産を伸ばす取り組みを強化していきたい。

事業者の声

今後の大きな展望として、塩を使った商品開発だけではなく、塩をキーワードにタラソテラピー(海洋療法)など能登の景観をも生かした観光事業にも取り組み、塩を能登の一大産業としたい。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。