ものづくり補助金平成27年度製造業福井県

漆器業界初のインクジェット印刷機を導入した漆器等製品の一貫生産体制の構築

有限会社漆琳工芸

この事例のポイント

  • 生活様式の洋風化により本物の漆塗り漆器製品への需要が減少している。
  • 印刷版が不要で一度にフルカラー印刷ができるUVインクジェット印刷機を導入した。
  • 印刷版の製作と乾燥の工程が不要になり、従来のパッド印刷やスクリーン印刷に比べて大幅にコストを削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社漆琳工芸
所在地福井県
業種その他の製造業
技術分野デザイン

事業の背景

漆器製造は小規模事業所が一定の地域に集まり、生産工程ごとに分業して行われる業界である。同社は印刷・塗装以降の工程に必要な技術や設備を持ち、一貫生産を行ってきた。近年は本物の漆器製品の需要が減る一方、漆器の技術を生かした少量多品種の食器分野へ進出する企業が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑生活様式の洋風化により本物の漆塗り漆器製品への需要が減少している。
  • 納期・工程食器分野では多様なデザイン、短納期、小ロットでの対応が求められている。
  • コスト・採算既存の印刷技術は工程が多く、一色ごとに印刷版が必要なため、コストがかかりすぎる。

やったこと

印刷版が不要で一度にフルカラー印刷ができるUVインクジェット印刷機を導入した。寿司皿であれば一度に12枚まで印刷できる。同社が得意とする曲面への印刷技術を応用し、くぼみの頂点からの高低差7mm、曲面は10mままでの鮮明な印刷に成功した。従来の独自技術とUV硬化インクの濃度、着弾性能を調整し、色ムラや柄のボケを抑えた。UV硬化インクにより乾燥工程が不要になり、グラデーションやぼかしなどの表現も可能になった。

新しい製品・サービス:UVインクジェット印刷による多色・フルカラー印刷技術を用いた食器などの漆器製品

事業の効果

印刷版の製作と乾燥の工程が不要になり、従来のパッド印刷やスクリーン印刷に比べて大幅にコストを削減できた。版の作成が不要なため試作も低コストで行え、デザイン変更などの急な仕様変更にも柔軟に対応できる。多色印刷、小ロット、短納期に対応できるようになり、少量多品種の受注が可能になった。デジタルデータによりデザイン変更にも即対応できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性分業が基本の漆器業界で印刷以降の全工程を一貫生産する稀有な企業という強みと、少量多品種・短納期への対応が書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決版の製作や乾燥工程が不要になりコストが大幅に削減できたという課題解決と、工業用品やノベルティへの展開が書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けくぼみの高低差7mm、曲面10mmまでの鮮明印刷、一度に12枚印刷など具体的な性能と寿司皿・お椀への用途が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。コスト削減の効果は述べられているが数値はない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のパッド・スクリーン印刷の工程が多く一色ごとに版が必要という課題と、漆器の一貫生産体制を構築する点は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    分業が基本の漆器業界で印刷以降の全工程を一貫生産する稀有な企業という強みと、少量多品種・短納期への対応が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    版の製作や乾燥工程が不要になりコストが大幅に削減できたという課題解決と、工業用品やノベルティへの展開が書かれている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。コスト削減の効果は述べられているが数値はない。

  • 事業を進める体制2

    人材や事務処理体制については書かれていない。印刷機メーカーと製品開発を進める旨がわずかにうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    くぼみの高低差7mm、曲面10mmまでの鮮明印刷、一度に12枚印刷など具体的な性能と寿司皿・お椀への用途が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は工業用製品やノベルティ分野に活用し、メーカーと企画段階から製品開発に携わると書かれているが、スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の多色印刷が難しかった曲面・くぼみへのフルカラー印刷を、UV硬化インクと独自技術で実現している点が書かれている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    伝統的な漆器業界の需要減少への対応と新市場開発への期待がうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は薄い。

  • 費用対効果3

    版やデータの工程削減によりコストが大幅に減ったと書かれているが、投入額と付加価値の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    デジタルデータでデザイン変更に即対応できる点は示されているが、サプライチェーンへの波及は具体的に書かれていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    従来の漆器から食器・工業用製品など新分野へ進出する方向性がうかがえるが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    地域の伝統的な漆器製造の技術を活かし、少量多品種の新市場を開拓する点が事例に具体的に書かれている。

今後の展望

今後は漆器等製品に限らず、工業用製品やノベルティなど様々な分野に活用し、メーカーと企画段階から製品開発に携わっていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。