ものづくり補助金平成27年度製造業山梨県

パワー半導体実装に適したギ酸リフロー装置の開発

シーマ電子株式会社

成果半田ボイド率は1%低減となった

この事例のポイント

  • 従来のギ酸リフロー装置は熱容量が大きいホットプレート加熱方式のため、加熱と冷却に多大な時間がかかり生産性が悪かった。
  • パワー半導体実装に最適なIR(赤外線)ヒーター加熱方式のギ酸リフロー装置を、独自の付加仕様に基づき開発・導入した。
  • 半田ボイド率は1%低減となった。開発したギ酸リフロー装置により生産性が向上し、半田ボイド率が1%低減するとともにチップ位置のずれも制御された。

事業者のプロフィール

事業者名シーマ電子株式会社
所在地山梨県 韮崎市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野接合・実装,表面処理
従業員数60人
資本金1,000万円
設立1983年

事業の背景

シーマ電子は1983年に半導体パッケージ材料の販売からスタートし、半導体メーカーやリードフレームメーカーに独自材料を納入してきた。パワー半導体は電車や電気自動車などに使われ、各社が研究開発に力を入れている分野である。現在、パワー半導体関連の売上はセンターの6割を占めるまでになっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来のギ酸リフロー装置は熱容量が大きいホットプレート加熱方式のため、加熱と冷却に多大な時間がかかり生産性が悪かった。
  • 品質・精度ホットプレート上面は赤外線の輻射加熱のため金属表面での反射と吸熱を考慮した温度制御や温度測定技術が重要な開発課題であった。
  • 新製品・新技術厚いパッケージに対応するため、真空チャンバーの高さが一般的な15mm程度では足りず、パワー半導体モジュール用途では課題であった。

やったこと

パワー半導体実装に最適なIR(赤外線)ヒーター加熱方式のギ酸リフロー装置を、独自の付加仕様に基づき開発・導入した。プレート下面は直接熱伝導のIRヒーター内蔵グラファイトプレート、上面は輻射のIRランプヒーターによりワームを均一加熱する方式を採用した。はんだ接合部に熱歪を発生させないよう上下可動水冷冷却プレートを開発・導入し、冷却時間の短縮と冷却速度の制御を可能にした。真空チャンバーは厚いパッケージに対応する高さ70mmの仕様とし、カーボン製のチップ固定治具を独自に開発して熱膨張差による寸法ズレを制御した。ダミーサンプルによる能力検証では目標値を達成した。

加工機ギ酸リフロー装置(IRヒーター加熱方式)
その他カーボン製チップ固定治具

新しい製品・サービス:パワー半導体実装に適したIRヒーター加熱方式のギ酸リフロー装置

事業の効果

  • 半田ボイド率は1%低減となった
  • チャンバー高さ 15mm→70mm

開発したギ酸リフロー装置により生産性が向上し、半田ボイド率が1%低減するとともにチップ位置のずれも制御された。厚いパッケージやモジュールにも対応できるようになり、顧客へのアピール度も高まった。大型パッケージを想定した厚物ダミーサンプルでの能力検証でも目標値を達成した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    1983年創業の半導体パッケージ材料販売から、2000年の試作装置導入、10~20年かけた組立環境整備へと段階的に事業を広げた経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    パワー半導体は日本がイニシアティブをとれる分野と述べられ、韓国や台湾にシェアを奪われる一般半導体との対比はあるが、強みの定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ギ酸リフロー装置の課題として熱容量の大きさや加熱・冷却時間の長さが挙げられ、半田ボイド率1%低減などの成果で解決を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    半田ボイド率を1%低減し、チップ位置ずれを制御、厚物ダミーサンプルで目標値を達成したと書かれており、数値での成果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    設計・試作・評価センターを4、5人から立ち上げ、組立作業を行える環境を整備してきた経緯はあるが、補助事業を担う人員や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    パワー半導体関連が売上の6割を占め、試作から少量産まで対応できる点やパッケージ厚さへの対応が顧客へのアピールになると書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    大量生産は難しいが少量産に対応すると方向性は示されているが、遂行スケジュールや中長期の課題検証の具体は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ギ酸リフロー方式は業界で地位を確立しつつあるが、従来装置の課題を解決し、真空チャンバー高さ70mmなど高水準の仕様を実現したと書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    パワー半導体は省エネや日本の半導体産業の再生に重要とされ、国が支援する意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額と付加価値増加や生産性向上の関係は示されておらず、わずかに生産性向上がうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献3

    先端的なパワーデバイスの試作評価を担い、大学や大手電機メーカーとの連携が触れられているが、サプライチェーンへの貢献の具体性は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出4

    パワー半導体は省エネ需要の高まりと日本の半導体産業の再生に関わる分野とされ、構造転換に資する文脈が具体的に書かれている。

  • 地域経済への波及2

    山梨県韮崎市の拠点で事業を行っている点はうかがえるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

パワーデバイスのニーズはさらに高まる見通しで、同社に求められるものも増えていくとみられる。韮崎の設計・試作・評価センターは今後ますます重要拠点となっていくだろう。

事業者の声

まだブレイクスルーは見えていませんが、大きな可能性を持っていることは確かです。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。