ものづくり補助金平成27年度製造業山梨県

「シーム溶接工程」の改善による生産ライン全体の生産性向上と収益基盤の強化

山梨大瀬工業株式会社

成果溶接スピード 1m/分→1.5m/分

この事例のポイント

  • 巻き型燃料タンク生産ラインのエンドプレートシーム溶接工程がボトルネックとなり、ライン全体の生産能力が上がらない。
  • 巻き型燃料タンク生産ラインのうち効率の悪い1台について、エンドプレートシーム溶接工程を改善するため、巻き型タンク用バーチカルシーム溶接機を導入した。
  • 溶接スピード 1m/分→1.5m/分。組立ライン全体の1時間当たりの出来高が約16%向上し、生産性が上がった。

事業者のプロフィール

事業者名山梨大瀬工業株式会社
所在地山梨県 上野原市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野機械制御,接合・実装
従業員数55人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

山梨大瀬工業は1973年に創業し、トラックやバス、発電機用の燃料タンクを手掛ける専門メーカーで、多品種少量生産を強みとしている。東北震災以降は発電機の重要性が高まり、長時間連続運転に対応するため発電機の増産と燃料タンクの大型化が進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力巻き型燃料タンク生産ラインのエンドプレートシーム溶接工程がボトルネックとなり、ライン全体の生産能力が上がらない。
  • 新製品・新技術大型化する発電機用燃料タンクへの対応には溶接設備の高速化と導入が必要だったが、既存設備では長さ1600㎜程度までの対応にとどまっていた。
  • 納期・工程受注生産で生産台数の変動が大きく、増産時には深夜残業が続き、労働環境の改善のために生産能力の向上が必要だった。

やったこと

巻き型燃料タンク生産ラインのうち効率の悪い1台について、エンドプレートシーム溶接工程を改善するため、巻き型タンク用バーチカルシーム溶接機を導入した。溶接電流の低減と溶接スピードのアップを図り、溶接スピードは従来の1.0m/分から1.5m/分に向上した。溶接部の溶け込み状態や接合強度を確認する溶接強度試験と、密封性を確認する気密試験を行い、どちらも基準を満たし良好と判断された。

加工機巻き型タンク用バーチカルシーム溶接機

事業の効果

  • 溶接スピード 1m/分→1.5m/分
  • エンドプレートシーム溶接の出来高 9.3台/時→12.6台/時
  • 組立ライン全体の出来高 21台/時→24.3台/時

組立ライン全体の1時間当たりの出来高が約16%向上し、生産性が上がった。エンドプレートシーム溶接の出来高も増加してボトルネックが解消された。工場稼働時間の短縮と省エネ化も期待でき、大型タンクにも対応できるようになり収益基盤の強化の目途が立った。新設備の導入は社員のモチベーションアップにもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の燃料タンク専門メーカーであることや多品種少量生産の強みが書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    発電機の長時間運転化や大型化、電気自動車普及の見通しなど外部環境に触れ、多品種少量対応を強みとして示している。

  • 課題の認識と解決5

    ボトルネック工程のエンドプレートシーム溶接の出来高が1時間9.3台から12.6台に増え、組立ライン全体は21台から24.3台、約16%向上と数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    組立ライン全体の時間当たり出来高が21台から24.3台(約16%向上)と数値目標と実績が示され、大型タンク対応も既に確認されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員55人の会社であることは書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先ニーズの多様化、発電機の大型化ニーズ、1750mmの要望があり、多品種少量対応が選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    溶接強度試験や気密試験、溶接スピード検証など課題解決の手順は書かれるが、中長期のスケジュールは明記されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    大型燃料タンクの高水準化にわずかに触れるが、分野の普及度や認知度についての記述はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域での雇用創出を目的に創業したことや地元の社員が多いことが書かれ、地域雇用への貢献がうかがえる。

  • 費用対効果4

    約16%の生産性向上と省エネ効果、工場稼働時間の短縮が示されるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    旧秋山村での雇用創出や地域産業を担う思いが書かれ、地域の特性を活かした事業であることがうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

電気自動車の普及で状況はより難しくなると見込まれるが、社員とともに生きるという創業以来の理念を守り、競争力を高めていく方針。

事業者の声

特に部品を接合する溶接部については、品質の良し悪しが燃料漏れにつながることがあるため、溶接工程はとても重要です

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。