ものづくり補助金平成27年度製造業岐阜県

工具分野でのデザイン面の付加価値を追加し、医療分野では現場のトレーサビリティをサポートするレーザマーカー導入

林刃物株式会社

成果リードタイム 3日→0.5日

この事例のポイント

  • 金型からの新製品開発はイニシャルコストが増え、製品投入までの期間も長くなるため、既存製品にデザインを施す方法をとってきた。
  • レーザー印字装置を社内に導入し、マーキング条件のシミュレートと内製化のための製品試作を行った。
  • リードタイム 3日→0.5日。レーザー印字により、リードタイムが3日から4時間半に短縮され、ロットナンバー印字の内製化の見込みが立った。

事業者のプロフィール

事業者名林刃物株式会社
所在地岐阜県 関市
業種非鉄金属製造業
技術分野デザイン,情報処理
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1960年

事業の背景

当社は1960年設立で、刃物類の製造技術を60年以上培ってきた。文具用・工具用ハサミの需要は少子化の影響などで横ばいが続いており、打開策として女性をターゲットとした「DIY女子」の需要拡大を図ってきた。自社ブランド「ALLEX」シリーズはグッドデザイン賞などを受賞している。近年はサージカル事業部を設立し、医療用鋼製小物の製造・販売にも参入した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術金型からの新製品開発はイニシャルコストが増え、製品投入までの期間も長くなるため、既存製品にデザインを施す方法をとってきた。
  • 品質・精度従来の電解腐食マーキング法では印刷に滲みや掠れが出て、印字サイズも3ミリまでに制限されていた。
  • 納期・工程電解腐食マーキングではポジ版の作成に1日かかり、印字作業を外注していたため出荷までに数日を要していた。
  • 品質・精度医療用鋼製小物にはトレーサビリティのためロットナンバーの刻印が求められるが、小ロット多品種や被印字体を選ばない刻印技術、摩擦に強い印字品質が必要だった。

やったこと

レーザー印字装置を社内に導入し、マーキング条件のシミュレートと内製化のための製品試作を行った。並行してリードタイムの検証も実施した。試作では文字や模様に加えてQRコードも印字し、スマートフォンでの読み取り成功率を検証した。さらに印字後に研磨を行い、マーキングが消えないかどうかも検証した。オールステンレス製のハサミに1mm幅の縞模様を印字し、当社HPのQRコードも印字できるようにした。

加工機レーザー印字装置

新しい製品・サービス:オールステンレス製の既存製品「ALLEX」シリーズにストライプや水玉などのデザインを施した女性向け製品、および医療用鋼製小物(鉗子ピンセット類など)へのロットナンバー刻印。

事業の効果

  • リードタイム 3日→0.5日
  • 印字サイズ(最小幅) 3mm→1mm
  • ポジ版作成時間 24時間→0時間

レーザー印字により、リードタイムが3日から4時間半に短縮され、ロットナンバー印字の内製化の見込みが立った。1mm幅の縞模様や小さな文字、2.5mm×1.5mmのロットナンバーを曲面にも印字できるようになり、医療用鉗子ピンセット類への刻印が可能になった。ポジ版が不要になり、デザイン面を強化した新製品の開発や、医療機関への無償の刻印対応による備品管理の手間削減で他社との差別化につながっている。今後はロゴマークや名入れ、OEMへの対応も見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の「ALLEX」シリーズにデザインを施す取組が過去の延長として示されるが、経営戦略上の位置づけの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    少子化で需要横ばいの中、DIY女子向けにデザイン付加価値を追加し、オールステンレス製のラインナップが強みとして具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    金型新製品開発のコスト・期間デメリットを課題とし、既存製品へのデザイン追加で解決する方針が事業計画として示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、リードタイム短縮の数値はあるが付加価値の目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    印字作業を外注していた点や内製化の見込みはうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記載は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    縞模様や水玉によるDIY女子向けの価値、QRコード印字や1mm幅の模様対応など、顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作での印字・研磨後の消失検証などの遂行内容はあるが、中長期のスケジュールや課題解決の段取りは具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    医療用ロットナンバー刻印の内製化や曲面印字を可能にし、従来の電解腐食法では不可能だった水準の高付加価値化を示している。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    医療機関の備品管理の手間削減など地域やサプライチェーンへの効果がうかがえるが、国が補助する理由としての波及効果は具体的でない。

  • 費用対効果3

    リードタイムが3日から4時間半に短縮される点などは示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー印字とQRコード対応による医療機関の情報処理機能付加は示されるが、新ビジネスモデルとしての広がりは限定的である。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    関市の刃物産業という地域性はうかがえるが、地域経済を牽引する効果についての記載は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はロゴマークや名入れ等にも対応でき、OEMといったオリジナル性の高い商品への対応もしやすくなると考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。