ものづくり補助金平成24年度大阪府

日本初の低コスト・高付加価値な繊維加工糸の開発と生産の確立

株式会社丸昌商店

この事例のポイント

  • 国内の繊維産業は1991年をピークに出荷額が減り、現在はピーク時の3割にまで落ち込んでいる。
  • 既存の紡績設備を改良し、多色スポット染色のスペースダイを低価格化し、物性の優れた加工糸の開発と生産体制の確立を目指した。
  • スペースダイの代替となる低価格で耐久性のある加工糸を開発し、国内では同価格帯で供給できる業者がほとんどないため一定の優位性を確保した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸昌商店
所在地大阪府 泉南市
業種繊維工業
技術分野溶射・蒸着
従業員数53人
資本金2億円
設立1962年

事業の背景

同社は1962年創業で、泉州地域の繊維産業に属し、敷物用の表面パイル糸を主に製造している。製品はカーマット、ラグ、ロールカーペットなどである。国内の繊維産業は製造原価の引下げ圧力から素材や製品の海外調達が進み、1991年をピークに出荷額が減少して現在はピーク時の3割まで落ち込んだ。同社も受注確保が難しい時期を経験し、景気の波に左右されない高付加価値な加工糸を開発する意識が生まれた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力国内の繊維産業は1991年をピークに出荷額が減り、現在はピーク時の3割にまで落ち込んでいる。
  • コスト・採算既存のスペースダイ製品は高価格で、耐久性にも課題があった。
  • 品質・精度スペースダイ製品は意匠性にも向上の余地が残されていた。
  • 人手・技能原料の調達先となる業者が限られていた。

やったこと

既存の紡績設備を改良し、多色スポット染色のスペースダイを低価格化し、物性の優れた加工糸の開発と生産体制の確立を目指した。機械設備の改良と原料の購入に補助金を充てた。開発分野での長年の経験により製品イメージが明確だったため、開発は予定通り進んだ。その結果、高額だったスペースダイの代替品として、国内でもほとんど例のない低価格で供給できる繊維加工糸の開発に成功した。

  • 加工機紡績設備改良加工糸製造用の機械設備

新しい製品・サービス:低価格で供給できるスペースダイ代替の繊維加工糸

事業の効果

スペースダイの代替となる低価格で耐久性のある加工糸を開発し、国内では同価格帯で供給できる業者がほとんどないため一定の優位性を確保した。販売は一般個人向けと事業者向けを各50%とし、事業者向けではホテルなど未開拓分野を狙う計画である。新製品の販売は既存の敷物用パイル糸が好調で海外向けも伸びていることから、時期や方法を検討したうえで市場に投入する。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1962年創業で敷物用パイル糸を主力とし、大手製薬会社との抗菌技術開発を3年計画でグレードアップするなど、過去の取組と一貫した事業展開が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性市場との対話を重視し、国内出荷額がピーク時の3割に落ちた状況で高付加価値な加工糸を開発した点から、外部環境と自社強みを踏まえた戦略が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決海外調達加速で受注が落ちた課題を認識し、低価格のスペースダイ代替糸を開発して優位性を狙う具体的な取組が書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標4、5件の新規開発案件を揃える方針はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    1962年創業で敷物用パイル糸を主力とし、大手製薬会社との抗菌技術開発を3年計画でグレードアップするなど、過去の取組と一貫した事業展開が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市場との対話を重視し、国内出荷額がピーク時の3割に落ちた状況で高付加価値な加工糸を開発した点から、外部環境と自社強みを踏まえた戦略が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    海外調達加速で受注が落ちた課題を認識し、低価格のスペースダイ代替糸を開発して優位性を狙う具体的な取組が書かれている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    4、5件の新規開発案件を揃える方針はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員53人の企業で補助事業を行う旨はあるが、補助事業を遂行する人材や体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    低価格で供給できる点や、ホテルなど未開拓分野への事業者向け販売、一般個人と事業者を各50%とする販売比率など、ターゲットと選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    2015年以降の新規案件予定や海外輸出拡大の方向性はあるが、遂行方法やスケジュールの詳細は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    高価格で耐久性に課題があったスペースダイを低価格化し、意匠性と物性を高める方向が書かれているが、高水準の高付加価値化を裏付ける数値はない。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    泉州地域の地場産業である繊維産業を牽引する存在を目指すと書かれており、地域産業への貢献はうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえるのみ。

  • イノベーションへの貢献2

    抗菌・防カビ機能の開発や大手製薬会社との連携は書かれているが、先端的デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションへの言及は乏しい。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    繊維産業の後退の中で新分野を開拓する姿勢はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出とは明確に結びついていない。

  • 地域経済への波及3

    大阪府南部の泉州地域で繊維産業を担い、地場の雇用を支える立場が書かれているが、地域の特性を活かした成長効果の数値は示されていない。

今後の展望

短期的に4〜5件程度の新規開発案件を揃え、2015年以降にも別の新規開発案件を予定している。海外向けにはアメリカやオーストラリアへの輸出拡大を狙う。

  • 目標:1991年をピークに減少し、現在はピーク時の3割まで落ち込んでいる

事業者の声

大手企業と中小企業の違いを理解し、保有する有形無形の資源を有効活用することにより、自社でしかできないことを実現していく

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

東京都平成24年度

不良率の低減とコストダウンの確立

スマートメーター専用の治具を開発し、部品ごとに治具形状と掛け数を同期化することで、同一電流量での多品種部品のめっき加工を可能にした。

効果:生産量 100%→130%

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。