ものづくり補助金平成24年度大阪府

ベアリング専用脱磁器および残留磁気判定機の試作開発とテスト販売

マグネットフォース株式会社

成果脱磁コイルの発熱上昇 50℃→10℃

この事例のポイント

  • 自動車用ABSのハブに磁気が残り、センサーの誤作動を招くとの自動車会社からのクレームがあり、脱磁の改善が必要になった。
  • 軸受メーカーの要望を基に、脱磁能力の向上、省エネ、脱磁時のベアリングの振動と騒音の減少、脱磁コイルの発熱による焼損防止、脱磁後の検査体制の確立を試作の目標として定めた。
  • 脱磁コイルの発熱上昇 50℃→10℃。脱磁能力は当初の5〜10ガウスから3ガウス以下に向上し、脱磁時の振動と騒音も激減した。

事業者のプロフィール

事業者名マグネットフォース株式会社
所在地大阪府 吹田市
業種電気機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数14人
資本金1,000万円

事業の背景

同社は高精度装置も手掛ける磁気応用機器の総合メーカーで、古くから引通型や鉄心入り脱磁コイルを用いた磁気発生装置を製造してきた。製造のほとんどは外注と協力で行い、代表を中心に新技術の開発に重点を置く開発特化型の企業で、取扱いの過半数を自社開発製品が占める。売上構成の約半分を自動車業界との取引が占め、その多くがABS分野の製品だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度自動車用ABSのハブに磁気が残り、センサーの誤作動を招くとの自動車会社からのクレームがあり、脱磁の改善が必要になった。
  • 生産能力軸受メーカーからの聞き取りで、ベアリング脱磁時の省エネ、脱磁能力、振動、騒音の諸問題を抱えていることが分かった。
  • 新製品・新技術脱磁器市場は成熟していると考え、社内で基礎研究を進めていたものの中断して放置していた。
  • 品質・精度脱磁後のベアリングを全数検査できる体制が整っていなかった。

やったこと

軸受メーカーの要望を基に、脱磁能力の向上、省エネ、脱磁時のベアリングの振動と騒音の減少、脱磁コイルの発熱による焼損防止、脱磁後の検査体制の確立を試作の目標として定めた。脱磁器、コンベア、残留磁気判定機の試作開発を並行して進めた。残留磁気判定機は基本設計図を元に試作した回路を実際のベアリングサンプルで検証し、さらに量産を見据えて試作基盤へ改良した。個別の検証や統合テストを重ね、当初の目標を満たす試作機の完成に至った。

  • その他ベアリング脱磁装置PSD型・Eco型ベアリング脱磁用コンベア
  • 検査測定残留磁気判定機

新しい製品・サービス:ベアリング専用シューター式の小型脱磁装置(PSD型)、ベアリング専用コンデンサ式の小型・省エネ脱磁装置(Eco型)、および残留磁気判定器

事業の効果

  • 脱磁コイルの発熱上昇 50℃→10℃

脱磁能力は当初の5〜10ガウスから3ガウス以下に向上し、脱磁時の振動と騒音も激減した。省エネ効果は95%の低減を果たし、脱磁コイルの発熱上昇も大きく抑えられて目標値を大きく上回った。国内の4大軸受メーカーに既に約20台を納品し、高い効果に驚きをもって迎えられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内4大軸受メーカーに約20台納品し、脱磁能力を5-10ガウスから3ガウス以下に、省エネ95%低減と既存品を大きく上回る強みを示している。
  • 4
    課題の認識と解決センサー誤作動の顧客クレームを課題として認識し、6つの目標を設定して振動・騒音・発熱も含め解決に導いた実効性が具体的に示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け軸受メーカーへのヒアリングで課題を把握し、デモで効果を示した上で、業界内で他社にない脱磁性能を訴求している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献磁気技術の新規開発と製造の高度化は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は記述が薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    従来から自社で脱磁器の基礎研究を行い、顧客ニーズを契機に磁気機器メーカーとして開発を再開しており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内4大軸受メーカーに約20台納品し、脱磁能力を5-10ガウスから3ガウス以下に、省エネ95%低減と既存品を大きく上回る強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    センサー誤作動の顧客クレームを課題として認識し、6つの目標を設定して振動・騒音・発熱も含め解決に導いた実効性が具体的に示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    4年後の市場は脱磁装置単体で1億4,000万円、付属品含め5億3,000万円と見込まれ、目標売上の根拠が示されている。

  • 事業を進める体制3

    社内に特別な製造設備はないが、代表を中心に全社員で問題点を洗い出し、試作と検証を繰り返す体制が記述されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    軸受メーカーへのヒアリングで課題を把握し、デモで効果を示した上で、業界内で他社にない脱磁性能を訴求している。

  • 事業化までの道筋3

    試作機を個別検証と統合テストで段階的に確認し、今後は他業界向けの仕様を順次開発する計画が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    脱磁器市場は成熟していると見られていたが、ベアリング向けに高い脱磁能力と省エネを実現し、業界の常識を超える性能を持つ点が示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    自動車部品の磁気による誤作動という課題の解決や、チェーン・釣り針など他業界への波及が見込まれ、国が補助する理由が読み取れる。

  • 費用対効果3

    省エネ95%低減や発熱上昇を50℃超から10℃以下に抑えた効果が示され、補助投入に対する効果の高さがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    磁気技術の新規開発と製造の高度化は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は記述が薄い。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    自動車部品や軸受分野の省エネ・高精度化に寄与する点は読めるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

4年後の市場は脱磁装置単体で1億4000万円、付属部品や残留磁気判定機を合わせると5億3000万円ほどと見込まれる。海外の世界最大のベアリングメーカーとも取引の話が進んでいる。チェーン、釣り針、釘等のメーカーからも多数の製品をケースごと脱磁したいというニーズが判明し、今後も各業界の要求仕様を見据えて試作開発を続ける。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。