ものづくり補助金平成27年度製造業静岡県

医療用コイルの製造技術向上による医療機器分野の市場開拓

沢根スプリング株式会社

この事例のポイント

  • 国内の顧客であった自動車部品メーカーの海外現地生産化により国内市場が縮小しており、医療分野など新たな市場を開拓する必要があった。
  • 微細加工用の極細線コイリングマシンを導入した。
  • 導入したマシンにより、線径0.1mm以下の長巻コイルやマイクロコイルの製造が可能になり、小型化する製品のニーズに応えられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名沢根スプリング株式会社
所在地静岡県 浜松市南区
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
資本金3,000万円
設立1966年

事業の背景

1966年に設立し、輸送用機器向けを中心に機械要素部品のばねを製造してきた。主要な顧客は自動車部品メーカーだったが、顧客の海外現地生産化により国内市場が縮小するという環境変化があった。そのため33年前から小口・スポット品の市場開拓に注力し、ばねの通販を進めて国内に約3万社の通販顧客を抱えるようになった。現在は小口・スポット品の売上割合が6割、量産・リピート品が4割で、多品種・小ロット品が多い医療分野は当社の販売戦略に合う有望な市場と位置づけられている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信国内の顧客であった自動車部品メーカーの海外現地生産化により国内市場が縮小しており、医療分野など新たな市場を開拓する必要があった。
  • 生産能力部品の小型化により線径0.1mm以下のばねの需要が増えていたが、微細加工用の生産体制が整っていなかった。
  • 新製品・新技術従来のステンレス線では耐蝕性や生体適合性に難があるため、新素材を使ったばねを作る必要があった。

やったこと

微細加工用の極細線コイリングマシンを導入した。マシン各部の調整機構の動作精度は1/1000mm単位以下で、線径20μm(0.02mm)以下の加工も可能であり、D/d(中心径と線径の比率)の小さい加工も安定して行える。検長機は1/1000mm単位での測定が可能である。従来は目視と拡大鏡で行っていた段取りに移動式顕微鏡を使ったところ、段取りのしやすさが格段に向上し、これまでの限界を超えた難易度の高い段取りも可能になった。これにより、従来より細い線径0.016mm〜0.09mmに対応する加工方法を確立し、線径0.1mm以下の長巻コイルやマイクロコイルの製造が可能になった。

加工機極細線コイリングマシン

新しい製品・サービス:医療機器部品(気管内チューブ用・カテーテル用)向けの超微細加工コイル、およびカテーテル治療用の長尺多条多層巻コイル。

事業の効果

導入したマシンにより、線径0.1mm以下の長巻コイルやマイクロコイルの製造が可能になり、小型化する製品のニーズに応えられるようになった。医療機器部品の加工に本格的に参入でき、気管内チューブ用やカテーテル用のコイルの超微細加工に取り組めるようになった。幅広い線径に対応できることで、小ロット・多品種の医療機器分野の多様なニーズに応えられ、販売戦略上の大きな強みになると期待される。段取りのしやすさも大きく向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来、33年前から小口・スポット品へ注力し、国内約3万社の通販顧客を持つなど、過去の取組が一貫して医療分野の市場開拓につながっている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    小口・スポット品が売上の6割を占め、毎年の医療機器展示会出展で市場ニーズを把握している。幅広い線径への対応を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    線径0.1mm以下の需要増や、ステンレス線の生体適合性の課題を具体的に認識し、微細加工用コイリングマシンで解決を図っている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    「チーム主義経営」に触れているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器部品向けに、0.016〜0.09mmの極細線対応と小ロット・多品種対応という価値と、顧客ニーズへの対応を整理している。

  • 事業化までの道筋2

    長尺多条多層巻コイルへの挑戦を「予定」とするのみで、遂行方法や具体的なスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金30,000千円のみが記載され、財務状況や金融機関からの資金調達の見通しは書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ばね製造の一般的な分野に対し、医療向け極細線(0.1mm以下)加工という高付加価値・高水準の分野への挑戦が示されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    医療機器分野の市場開拓とされるが、雇用創出や経済波及など国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    1/1000mm単位の動作精度など高精度化には触れているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記述されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    成長分野である医療分野への進出と、新たな分野への相乗効果が述べられており、構造転換への寄与がうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医療機器部品の新規事業として、薄肉・細径化したカテーテル治療や内視鏡治療に使われる長尺のワイヤー加工品に挑戦し、ばねメーカーならではの製法でトルク伝達性の高い製品に仕上げていく予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。