ものづくり補助金平成27年度製造業三重県

流動層造粒乾燥機を活用した錠剤の生産量5倍化プロジェクト

中外医薬生産株式会社

成果乾燥時間(1バッチ) 6時間→0.5時間

この事例のポイント

  • 打錠用顆粒の乾燥工程に時間がかかり、生産性が低いことが固形剤製造の最大の課題であった。
  • 高速型の流動層造粒乾燥機を導入し、錠剤の基となる打錠用顆粒の造粒・乾燥工程を一貫して行えるようにした。
  • 乾燥時間(1バッチ) 6時間→0.5時間。流動式乾燥の導入で乾燥・造粒工程が大幅に短縮され、生産量は5倍化し、日産50万錠程度から250万錠程度への増産体制を築…

事業者のプロフィール

事業者名中外医薬生産株式会社
所在地三重県 伊賀市
業種化学工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数157人
資本金5,330万円
設立1919年

事業の背景

同社は大正8年創業の医薬品メーカーで、現在はOTC医薬品が8割、医療用医薬品が2割を占める。OTC医薬品は医療用医薬品に比べて売上変動リスクが高い。安定した受注が見込める医療用医薬品分野へ重点を置き、製造面で受注の平準化と長期安定生産を図る方針へ転換しようとしていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力打錠用顆粒の乾燥工程に時間がかかり、生産性が低いことが固形剤製造の最大の課題であった。
  • コスト・採算OTC医薬品は医療用医薬品と比べて売上変動リスクが高いため、医療用医薬品分野へ重点を移して受注の平準化を図る必要があった。

やったこと

高速型の流動層造粒乾燥機を導入し、錠剤の基となる打錠用顆粒の造粒・乾燥工程を一貫して行えるようにした。乾燥時間は設備導入前の6時間から20時間に対して、目標1時間に対し実績0.5時間に短縮した。1バッチ量は80kgのままで、流動式乾燥により1バッチ400kgの処理が可能になり、1日生産量は80kgから400kgになった。これにより日産50万錠程度から250万錠程度への増産体制を築いた。造粒は従来の撹拌造粒機とは別に行っていたが、流動層造粒機で兼用できるようにし、造粒工程は2時間から1時間に短縮した。

加工機流動層造粒乾燥機(高速型流動層造粒機)

新しい製品・サービス:流動層造粒乾燥機を活用した錠剤の生産量5倍化による医療用医薬品の錠剤製造受託体制

事業の効果

  • 乾燥時間(1バッチ) 6時間→0.5時間
  • 造粒工程時間 2時間→1時間
  • 1日生産量 80kg→400kg
  • 1日生産量(錠数) 50万錠→250万錠
  • エネルギー使用量が68%削減

流動式乾燥の導入で乾燥・造粒工程が大幅に短縮され、生産量は5倍化し、日産50万錠程度から250万錠程度への増産体制を築いた。粒度分布の偏在がなくなり打錠性と品質が向上し、今後歩留まりのさらなる向上が期待される。エネルギー使用量は68%削減され、環境に配慮した生産体制を構築できた。医療用医薬品の製造受託増加により、医療用とOTCの生産比率を2:8から4:6へ変える計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の製剤技術と糖衣技術を活かし、医療用医薬品へ重点を移す方針が書かれているが、過去の取組との連続性を示す具体的な数字や経緯は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    OTC8割・医療用2割の構成や売上変動リスクを踏まえ、医療用比率を4:6に引き上げる目標と、大手にない生薬錠剤化技術の優位性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    乾燥工程を6~20時間から0.5時間に短縮し、日産50万錠から200万錠程度への増産と生産規模5倍化という数字つきで課題解決が示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    1日生産量を50万錠から250万錠程度とする目標に対し、実績も同水準と示され、エネルギー使用量68%削減という数値も記載されている。

  • 事業を進める体制4

    小型ラボでの事前研究、導入機械の経験者確保と新人養成の円滑化、従前からの技術力が挙げられ、体制面の根拠が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大手製薬会社との共同開発や主力取引先からの受託増加計画があり、顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の共同開発や受託増加の計画は示されているが、中長期の課題検証やスケジュールの記載は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    生薬など今まで錠剤化が難しかった医薬品を製品化できる技術で、大手にないものとして高付加価値の差別化が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    医薬品の安定供給や大手との共同開発への寄与が書かれているが、雇用や波及効果の定量的な記載はない。

  • 費用対効果4

    乾燥工程の20時間超短縮、生産規模5倍化、エネルギー使用量68%削減など投資に対する効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    口腔崩壊錠への展開やエネルギー削減による環境配慮は書かれているが、サプライチェーンへの貢献の記述は限定的。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療用医薬品への重点転換は書かれているが、経済社会の構造転換に関する記述はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及3

    伊賀市に拠点を置く医薬品メーカーとして、地域の強みである製剤技術を活かす点が書かれているが、地域経済への波及は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医療用医薬品とOTC医薬品の生産比率を「医療用 2:OTC 8」から「医療用 4:OTC 6」を目指す。糖衣錠を切り口に固形剤(錠剤)による医療用医薬品の生産受託を強化し、ジェネリック医薬品の受託強化で売上の安定化を図るとともに、大手との製剤技術による共同開発を推進する計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。