ものづくり補助金平成29年度製造業和歌山県

スプレードライヤー導入による繊維練り込み素材の生産プロセス改良

協同組合ラテスト

成果電力効率は従来の乾燥機の約5.35倍となった。

この事例のポイント

  • 紀州備長炭や天然鉱石は金属のように硬いため、複数回に分けて粉砕を行う必要があり、手間がかかる。
  • 従来は微粉砕を得意とする湿式粉砕を用いていたが、乾式での粉砕では平均粒径数マイクロメートルが限界となるため、湿式粉砕と組み合わせて行っている。
  • 電力効率は従来の乾燥機の約5.35倍となった。スプレードライヤーの導入により乾燥工程の生産性が上がり、粉末の回収量が大幅に増加した。

事業者のプロフィール

事業者名協同組合ラテスト
所在地和歌山県 和歌山市
業種化学工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数13人
資本金300万円
設立1991年

事業の背景

株式会社ラテストは和歌山県の技術開発型ベンチャーで、独自の粉砕技術を使い紀州備長炭などの天然素材を粒、パウダー、ペーストに加工している。主力は紀州備長炭の微粒子粉末で、ポリエステル繊維に練り込んだ紀州備長炭繊維を布団などの寝装品や衣類、歯ブラシなどに供給しており、化学関連商社を中心に販路を築いている。天然鉱石パウダーも寝装商品に使われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力紀州備長炭や天然鉱石は金属のように硬いため、複数回に分けて粉砕を行う必要があり、手間がかかる。
  • コスト・採算粉砕の工程が多いため電気代などの生産コストも高い。
  • コスト・採算生産コストが高いため、他社製に比べて価格面での競争力が弱い。

やったこと

従来は微粉砕を得意とする湿式粉砕を用いていたが、乾式での粉砕では平均粒径数マイクロメートルが限界となるため、湿式粉砕と組み合わせて行っている。乾燥工程には液体を熱風で粒子にするスプレードライヤー HL-10型(大川原化工機)を導入した。液滴に熱風を接触させることで瞬時の乾燥が可能になり、熱に敏感な物質でも変質が極めて少ない。このため濃縮、濾過、粉砕、分級、乾燥という多くの工程を一挙に省略できるようになった。

  • 加工機スプレードライヤー HL-10型

事業の効果

  • 電力効率は従来の乾燥機の約5.35倍となった。
  • 紀州備長炭パウダーの価格 20,000円/kg→18,000円/kg
  • 天然鉱石パウダーの価格 17,000円/kg→15,000円/kg

スプレードライヤーの導入により乾燥工程の生産性が上がり、粉末の回収量が大幅に増加した。電力などの生産コストも削減でき、価格面での競争力を向上させるめどが立った。今後は価格競争力の強化に注力し、展示会や研究会で広報して拡販を進める。SDGsに沿った自然素材を循環させる製品づくりを武器に、寝装や衣類に限らず食品、化粧品、医薬分野にも販路を広げる計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標紀州備長炭パウダーを1kg20000円から18000円、天然鉱石パウダーを17000円から15000円に下げる数値目標が示されている。
  • 5
    費用対効果粉末回収量が3日で数kgから1時間で数kgに増え、電力効率は従来乾燥機の約5.35倍と費用対効果が数値で示されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性紀州備長炭の安定仕入れルートと微粒子粉砕技術、化学商社中心の販路が強みとして示され、他社比で価格競争力が弱い点も課題として挙がっている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員13名の企業であることは書かれているが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は見当たらない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    紀州備長炭の粉砕技術を長年培ってきたことや、繊維・化粧品向けに製品化してきた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    紀州備長炭の安定仕入れルートと微粒子粉砕技術、化学商社中心の販路が強みとして示され、他社比で価格競争力が弱い点も課題として挙がっている。

  • 課題の認識と解決4

    粉砕の手間と電気代が課題と明示され、スプレードライヤー導入で工程を省略し電力効率約5.35倍とする解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標5

    紀州備長炭パウダーを1kg20000円から18000円、天然鉱石パウダーを17000円から15000円に下げる数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員13名の企業であることは書かれているが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    繊維練り込み製品の寝装・衣類・歯ブラシ用途や、商社筋の多様なニーズへの対応など、顧客ターゲットと用途が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展開として価格競争力強化、展示会での広報、食品・化粧品・医薬への販路拡大が示されているが、スケジュールの記載は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    紀州備長炭を微粒子化して繊維へ練り込む用途は、同分野での高付加価値化を図る取組として具体的に読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    県特産の紀州備長炭の活用や地域素材の循環利用は読み取れるが、雇用創出や波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果5

    粉末回収量が3日で数kgから1時間で数kgに増え、電力効率は従来乾燥機の約5.35倍と費用対効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    ベンチャーとして粉砕技術を磨いた点はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    天然素材を循環させるサステナブルな製品づくりやSDGs対応がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    和歌山県特産の紀州備長炭を活用し、県認定ブランドの商品を持つ点から地域資源の活用は読み取れる。

今後の展望

価格面の競争力を強化し、SDGsに沿った製品づくりで食品、化粧品、医薬分野への販路拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。